【畳屋マーケティング】売り上げを伸ばしている店がやっている5つの事

 

こんにちは!

 

畳職人の樋口です。

 

今回は・・・売り上げを伸ばしている畳屋さんがやっている5つのことを紹介します。

 

その前にリスク分散に関して紹介したいと思います。

 

現在の日本では、新しい物やサービスが次々に出てきて、あっという間に常識が非常識に変わっています。

 

この諸行無常で移り変わりが激しい時代に1つのことだけに力を集中するのは危険です。

 

今回は畳屋に向けて書いた記事なので、畳屋にフォーカスを当てリスク分散について解説していきます。

あなたは勝ち組ですか

 

「昔はどこも大差なかったのに、最近は忙しい畳店と暇な畳店がはっきり分かれている」なんて耳にしました。

 

ハッキリ言えば、勝ち組負け組かということでしょう。

 

あなたは勝ち組ですか?

 

仮に勝ち組だったとして、3年先、5年先、10年先までずっと勝ち続けられますか?

 

一番の取引先だった工務店の経営悪化やチラシ業者の進出、地域の過疎化に自然災害と勝ち組から負け組に落下していく要因は、考えればいくつも出てきます。

 

この不確実性のリスクを考慮する為に保険としてリスク分散という言葉があります。

 

簡単な話、何が起こるかわからないから、一個ダメになっても良いようにリスクを分散しておこうという考え方です。

 

私の場合、畳職人に襖、障子、クロス、タイルカーペットの施工、ホームページ作成、ブログ記事作成のお手伝いに、自身のウェブメディアに畳屋ネットワークの構築、資産運用などリスク分散させています。

 

初めからリスク分散しようという考え方ではなかったのですが、やりたいことをやってたら勝手にこうなったというのが本当のところ。

 

つまり、やりたいことなら何でもいいから強化して磨いておくことで、不確実性のリスクに対処することが可能かと思います。

 

それと同時に本業?って言えばいいのかわかりませんが、思い入れのある事業が、疎かになってしまっては元も子もないですよね。

 

私にとっては、それが畳業なので、今回は畳業について「なぜ事業が停滞してしまっているのか」「売り上げを伸ばしている畳店がやっている5つのこと」を紹介したいと思います。

なぜ停滞してしまっているのか

 

畳需要の低下!!!って多くの畳屋さんが即答しますが、それが必ずしも全てとはかぎらないと思います。むしろ畳というプロダクトではなく、畳屋さん自身に問題があるのではと思います。

 

心の問題

 

まず心の問題として「それを造れば、彼が来る」のようなフィールド・オブ・ドリームス的な思想に問題があります。

 

If You Build It, He Will Come - Field of Dreams (1/9) Movie CLIP (1989) HD

 

このフィールド・オブ・ドリームスは、ある日トウモロコシ畑から聞こえる「それを造れば、彼が来る」という謎の声をもとに野球場を作り、物語が動いていく。

 

家族の絆が暖かい感動の映画なのですが、それは映画の中だけで、現実はそれを造っただけでは誰も来ません

 

商品やサービスを作ったらお客様に安心して使っていただく為に「どう使うのか」「使ったらどう便利になるのか」「アフターサービスは大丈夫か」など紹介しなければなりません。

 

「畳は昔から日本にあるから紹介不要」などの考え方は捨てる必要があります。

 

そして、一番の心の問題は「昔はよかった」と言い、過去を振り返って美化し、現実逃避して未来を考えないようにしてしまうことです。

 

実はこの思考は畳屋だけでなく、日本人全般的に見受けられる残念な考え方です。

 

第3代アメリカ大統領トーマス・ジェファーソンは「過去に何があったかよりも、未来に何があるかということに、私は興味がある」という言葉を残しています。

 

これがアメリカ人の考え方で、今日まで世界を革新し続けてきたマインドなのです。

 

ではでは、これまで心の問題提起をしてきましたが、みなさんが一番気になるであろう実務的な問題提起に移りたいと思います。

経費の使い方

まずはお金のことからはじめていきましょう。

 

畳屋さんのような個人商店ではお金の流れ(キャッシュフロー)はとても重要なことです。

 

工務店・建設会社の支払いは翌月末、小切手なら2、3ヶ月後先の支払いになるのに対して、材料屋から仕入れたら今月の二十日締めで支払いだったりするので、毎月幾らかの内部留保を残して置かなかったら、資金繰りに苦労することになります。

 

そこで多くの畳屋さんが考えるのが、無駄な経費を削減しようと冷房&暖房(電気代)・人件費・広告費などを減らしていくことだと思います。

 

 

ですが、夏真っ盛りの時に冷房をつけないと生産性が落ちます。

 

これは感情論ではなく25℃から28℃に気温が上がると生産性が6%も下がることが研究でわかっています。

 

人件費に関しても同じことが言えて、「報酬を与える」ことは少なからずインセンティブが生まれます。

 

仕事が不調だからと言って給料を減らすとやる気も落ち、生産性が下がり、悪循環を作り出してしまう原因になります。

 

そして広告費に関して言うと、投資に見合うほどの売り上げをあげているのにもかかわらず、広告費を削減してしまう例があり、それは非常に勿体無い話になります。

 

そうならないためにもROI(Return On Investment):投資利益率とROAS(Return on Advertising Spend)を測定することをオススメします。

 

・投資利益率とは投資した金額に対してどれだけの利益を回収できたかを測る指標。

・ROASとは広告を出してどれだけ売り上げたかを測る数値

 

計算式

 

ROI=売上総利益÷(広告宣伝費+人件費)×100

 

ROAS=1年間の累積売り上げ÷広告料金(掲載料金)

 

この2つを計算することで売り上げが上がっているのにも関わらず、経費を削減してしまうような間違いは防げるでしょう。

 

では、続いて競合他社についての話をしたいと思います。

 

近くに強いライバルがいる

畳屋というのは一般的に地域密着で市場が限られています。

 

したがって、強いライバルがいると苦労する商売です。

 

そこで必要なことが、競合他社との差別化だろうと思います。

 

その為にはまずライバルである畳店について「なぜ強いのか」を研究することが必要になります。

 

マクドナルド創業者レイクロックは「知りたいことは全部ゴミ箱の中にある」と述べています。

 

レイクロックは夜中にライバル店に侵入しゴミ箱を漁って、他店が肉やパンをどれだけ消費したか調べたそうです。

 

それも一度や二度ではないらしい・・・。

 

 

実際にやったら住居侵入の罪で逮捕されるので参考にならないわけではありません!

 

畳屋さんはもっと楽で、畳表のメクリの数で1日に何枚くらい表替えをしているか検討がつきますし、廃材(ゴンボウ)を見れば、どういう仕事をしているのか検討がつきます。

 

不用意に捨てているゴミで競合他社の様々な情報を手に入れることができるわけです。

 

そしたら他店との差別化の話に移りますが、畳屋での差別化を考えると多角化が思いつきます。

 

例えば、畳とお風呂場の取れかかったクロス(壁紙)の施工を頼みたい御宅があるとして「畳のみで商売しているお店」と「畳だけでなく襖、障子、クロス、CFをしているお店」どちらに頼んだ方がお客様にとって便利だと思いますか?

 

 

当たり前なクイズですが、内装全般してるお店に頼んだ方が便利だと感じます。

 

これを言うと必ず「設備投資がその分掛かるだろう!」と反論されるのですが、設備投資にどれくらい掛かるか計算しましたか?と聞きたいです。

 

計算してみたらすぐにわかりますが、めちゃくちゃ安いです。

 

ただ、壁紙(クロス)に関しては、一般のお客様で部分的な仕事でないと労働時間計算で割に合わないケースも出てくるので注意が必要です。

 

お客様は畳を買いたいと思っているの?

そもそも畳替えする必要性がなければ誰も買ってくれません。

 

お客様の中には畳替えをしようと思っても明日、明後日、来月、来年と月日が去って、忘れてしまうことまであります。

 

つまり、畳替えをしたいと思うような広告・営業をしなければ畳替えの必要性が有る人以外は買わないのです。

 

昔は営業なんかしなくても仕事がありました。

 

しかし、現代の日本は和室の数も激減し、若い人の中には「畳って何?」と知らない人まで出てきてしまったのです。

 

ですが、悲観する必要はなく、逆を言えば「知ってもらえば仕事がくるかも」ぐらいポジティブにいればいいと思います。

 

そこで重要になってくるのがマーケティングになります。

 

マーケティングと言うと最近キングコングの西野さんのマーケティング本が話題になっていますよね。

 

思い出は人間にとって必要なこと」これは畳にも言えることで、外国人観光客の多くは和室(畳のある部屋)で泊まりたいと思っています。

 

 

日本に来た思い出として和室(畳の部屋)なのです。

 

まずは畳の必要性がある人をきちんと認識し、宣伝していく必要があります。

 

では、必要性がない人へのマーケティングはどうしたらいいのかについて「売り上げを伸ばしている店がやっている5つの事」を紹介していきます。

売り上げを伸ばしているお店がやっている5つのこと

 

まず前提として話したいことがあります。

 

お客様が畳屋にもつイメージの変化についてです。

 

昔の良い畳店と呼ばれるお店は国産畳表と麻縁、丹波裏の藁床を使い、それに伴って優れた技術力がある畳店のことでした。

 

現在の良い畳店はというと「安い」「アフターがしっかりしてる」「会社だから安心」な畳店に変わってしまっているわけです。

 

上記でも記した通り、畳表の質も技術力も説明しないとわからないお客様が増えたということです。

 

畳についてある程度知識があったお客様が年々少なくなってしまっている。

 

これは時代の変化?デフレだから?原因はわからないですが、売り上げを伸ばしているお店は共通して畳について説明することは重要なことだとおっしゃっています。

 

まずは、この前提を理解していただけたらと思います。

 

では「売り上げを伸ばしている店がやっている5つの事」に移ります。

広告がキャッチーなフレーズ

広告は見出しが大事だと言います。

 

目に引く見出し1つでお客様からの受注も増えたと聞きました。

 

そこで重要になるのがお客様を惹きつけるワードを大きな文字で書くこと。

 

お客様を惹きつけるワードを大きな文字で書くことと言われても、惹きつけるワードなんて、なかなか思いつかないですよね。

 

いくつか参考になる例を紹介します。

 

株式会社ファミリーマート「あなたと、コンビに、ファミリーマート」

 

セブンイレブン「セブンイレブン良い気分」

 

HONDA「The Power of Dreams」

 

SUBARU「Your story with」「あなたと車、どんな物語がありますか」

 

インテル株式会社「インテル入ってる」

 

キューピー「愛は食卓にある」

 

コスモ石油株式会社「ココロも満タンにコスモ石油」

 

マスターカード「お金で買えない価値がある。買えるものはマスターカードで」

 

ナイキ「Just Do It」

 

こんなキャッチーなフレーズを生み出せたらお客様に与えるインパクトは大きいでしょう。

 

でも実際はそう簡単なものではありません。

 

そこで本屋にある「ポップ」を参考にすると良いと思います。

 

ポスカPOPインタビュー ドン・キホーテ様

 

大きな本屋だとかなりキャッチーなフレーズが並んだりするので参考になるのではないかと思います。

 

お客様の心配を減らすための広告の文

 

マーケティングに関する有名な言葉で”誰もあなたのことなんか知らない”という言葉があります。

 

キャッチーな広告を出したからといって、お客様はあなたのことを知らないのだから注文するのに躊躇してしまいます。

 

まずは信頼をデザインしなければいけません。

 

例えば、自分のお店をよく知ってもらうために、SNSで発信したり、ブログ記事書いたり、自己紹介コーナーを作ったり、YouTubeに作業場の動画を投稿したり、地域で影響力を持つ人にシェアしてもらったり、寺社などの信頼度抜群の口コミを載せたり(許可が必要)、新聞やテレビなどのメディアに出演した場合は写真を広告に貼ったりするなど、努力が必要です。

 

具体的にターゲットを決めている

 

まず、前提として万人受けする広告などは絶対に作れません

 

80代・60代・40代・20代どの世代に向けての広告かによって文字の大きさ、文字の濃さ、デザインも全て変わってきます。

 

広告のデザインだけでなく、ターゲットとなる商品も変わってきます。

 

例えば、60代から上の世代の人は天然い草が圧倒的に人気で、中国産い草ではなく国産い草にこだわっている人が多い。

 

それなのに中国産い草の縁無し畳を勧める広告を出したら無駄金になります。

 

つまり売り上げを伸ばしているお店は、広告1つターゲットとなる客層を決めて一点集中的に出しているのです。

 

それは客層だけではありません。

 

地域別でも同様に言えます。

 

例えば、京都市左京区にある宝ヶ池周辺などは、比較的富裕層が住んでいる地域ですが、西洋建築の家が多く、和室も洋風和室というか縁無し畳が納品されているケースが多いです。

 

東京でも同じことが言えて、田園調布や世田谷区などは富裕層が多いですが、多くの家が西洋建築です。

 

何が言いたいかというと、そのような西洋建築の家に縁付き畳の広告を出したところで飛びつきは悪いのではないかと思います。

 

地域毎にマーケティング調査を行い、どのような人が住んでいるのかどのような家に住んでいるのか、把握しておく必要があります。

 

広告などにつけるお得な特典

畳屋で特典というと、ミニ畳やネーム入りのタオルが主流です。

 

それをもらって喜ぶ人も確かにいますが、違う特典を付けてみるのも1つの方法ではないかと思います。

 

例えば、地域の伝統工芸品や自分の書いた本、季節の掛け軸など他店には無いオリジナルな特典になって印象に残ると思います。

 

でも地域の伝統工芸品や季節の掛け軸などは予算が少し掛かるので、相互共助の精神でジョイント出来たら予算の問題も解決できます。

 

「自分で書いた本」に関しては、本(だいたい10万字ぐらい)さえ書けばAmazonで簡単に出版できるので是非やってみてください。

 

話は変わりますが、皆さんはテレフォンショッピングを見ますか???

 

私はテレフォンショッピングが好きでよく見るのですが、商品に必ずついているのが、次のような特典です。

 

「今ならフライパンと包丁をセットでお付けして〜円」「今なら下取り1万円引きです」「今ならネックレスにイヤリングをお付けして〜円」

 

テレフォンショッピングではもうお馴染みのフレーズですよね。でも「今なら」「今だけ」「セットでお付けして」はマジックワードで効果はとても大きいです。

 

 

またテレフォンショッピングに限らず、クーポンや次回割引など購買意欲をそそるような特典は、とても効果的です。

 

ただ、畳は次回割引まで期間が長過ぎるので他に使える割引・クーポン(楽天・Amazon・TSUTAYAなど)にすると良いでしょう。

 

積極的なネット活用

 

「建築業者をどのように選ぶか」関東圏で無作為に調査した結果「60%近くの人がネットで建築業者を選ぶ」と回答しました。

 

これは一年前くらいの調査ですが、これから時間が経つにつれて間違いなくパーセンテージは上昇します。

 

その時に「ネットはやっていませんでした」では話にならず、途中参入では何年も前から発信してきた人に差を付けらてしまっています。

 

売り上げを伸ばしているお店ほど、ネットに果敢に投資しているのです。

 

そうでなくては厳しい競争の中で駆逐されるのがよくわかっているからでしょう。

 

また海外からの注文もネットから受けている事業者も増えてきました。

 

特に畳需要が高まる中国や台湾、シンガポールをはじめとした東南アジアでは新しい市場として、その国の言葉に翻訳し発信している業者もあります。

 

最低でもSNSでコミュニティに参加したり、ホームページを作成するなどは必須です。

 

私たちもそのようなサービスを検討している最中なのでぜひ参加してください。

新しい事に挑戦している

 

「進化しないものはいつか滅びる」

 

これは自然界の原則です。

 

上記記述のように、ただマーケティングを頑張れば畳業界が発展するわけではありません。

 

「日本の伝統文化だから大丈夫」なんてのは迷信で、滅びる時にはあっという間です。

 

私たちに残されている可能性は新しいチャレンジをすること。

 

少し前「餅は餅屋で」なんて言われた時代がありました。

 

しかし今の時代、餅を餅屋で買うより、餅をスーパーで買う人の方が多くなりましたよね。

 

Amazonの登場、IOTの普及、ドローンの進化で、餅を買う時スーパーさえ必要ない時代がやって来るかもしれません。

 

それは建築業界でも起きている変化です。

 

限られた成長市場を狙って、リクルート、アマゾン、ベンチャー企業、大型家電量販店などが、相次いで建築業界に新規参入しています。

 

それをもって「畳は畳屋で」なんて言うのは、過ぎ去りし過去であると私たちは思っています。

 

そんな気持ちを共有するように、畳業界を盛り上げようと新しいことに挑戦している畳屋さんもたくさんいます。

 

例えば、海外に畳屋を開き事業をおこなったり、今までになかった新しい形の畳を作ったり、畳表を楽器に張って施工し、畳の応援歌を歌うなど、それぞれに特化した多彩なジャンルで挑戦している畳屋さんがあります。

 

私たちはインターネットが最も重要だと思っていますが、どんなジャンルでも頑張っている畳屋さんとは情報を共有して、一緒に盛り上げていけたら良いなと考えています。

 

もし「一緒に盛り上げたい」「こんなことをしているから情報交換しよう」と言う方がいたら遠慮なく、ご連絡ください。

 

その場合、twitter、Facebook、このサイトのお問い合わせなどからお願いいたします。

 

ただ、連絡が遅れることが御座います。ご了承ください。

最後に

 

いかがだったでしょうか。

 

競合他社といえど畳業界を盛り上げたい気持ちは一緒だと思います。だが競争しなければ生き残れない。他店との競争は市場を成長させるのに絶対に必要なことですが、日本人としては本当は得意なことではありません。

 

日本人が本来得意とするのは、町のコミュニティで一緒に畑を耕して穀物を育てたり、1つの寺社を地域の畳職人みんなで工事するなど共創の精神なんですよね。

 

みんなで集まって協力してアウトプットする方が、個人で競争するより、遺伝子的には長けているはずなんです。それも最後に伝えたいと思います。

 

 

読んでいただきありがとうございました。

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