
「畳ってどこに頼んでも同じじゃないの?」 「安い畳屋があるけど、品質は大丈夫?」
そんな疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。
実は、畳職人には“国家資格”が存在します。それが「一級畳製作技能士」です。 この記事では、現役の一級畳製作技能士である樋口裕介が、資格の内容や技術の違い、資格がある職人に依頼するメリットを詳しくご紹介します。
一級畳製作技能士とは?
「一級畳製作技能士」は、厚生労働省が認定する国家資格です。 この資格は、畳製作に関する高度な技能を持つ職人に与えられます。
項目 | 内容 |
---|---|
資格名 | 一級畳製作技能士(国家資格) |
所管 | 厚生労働省(試験運営は中央職業能力開発協会) |
目的 | 高度な畳製作技術を持つ職人の証明 |
受験条件 | 実務経験7年以上 または 二級合格後2年以上など |
試験内容 | 実技試験(畳の製作及び本式の床の間作成)+学科試験(畳の構造・い草などの材料・安全衛生、建築知識、寸法学など) |
試験内容:実技と学科試験で何が求められるのか?
実技試験では、限られた時間内に板入れ本畳(自分らの代の後から五八になったと聞く)を一枚製作し、用意された枠内に畳を納めること。
※板入れ本畳とは、畳床に框板を縫い込み製作する畳。板を入れる理由は、畳は人が歩くと摩擦が生まれ、框が丸くなってしまう。それを防ぐために板を入れて框の角を立たせる。

また、龍鬚表(リュウビンオモテ)を使い、本式の床の間を作成することが求められます。

本式の床の間とは、床板の裏面にノコギリで糸の通り道を作り、畳表を張り付ける方法で、針を上手に使わないと糸が締まらない難しさがあります。
- 畳の寸法、縫い目の細かさ、糸の締り具合、厚さの精度、畳表の傷、床落としの角度など、すべてが数ミリ単位で評価されます。
- 試験に臨む態度や使用する材料の扱い方、道具の使い方も審査対象
- 学科試験では畳の構造や歴史、畳材の特徴、畳の寸法学(主に割本法と十字法)、建築知識、作業安全まで幅広い知識が問われます
国家資格というだけあり、合格するには高度な技能と知識、そして現場経験が必要です。
ちなみに、二級畳製作技能士試験は素框畳製作(框に何も入れない畳)と黒縁の上敷き一枚ずつの作成です。作業はそこまで難しくないですが、時間制限が一級畳製作技能士試験よりも短く、厳しいのが特徴です。
※なぜ時間制限が厳しく感じるかというと、畳の作り方が関東と関西で違うからに起因します。例えば、関東は平刺しを肘で締めて縫っていきますが、関西は平刺しを肘で締めず、全て縫い終わってから裏返しして踵で糸を踏みつけながら締めます。他、からくりといった作業など細かいところで違いがあり、関西勢は時間制限が厳しいようになってしまっています。
無資格業者との違いとは?
もちろん、資格がなくても畳の施工はできます。しかし、次のような違いがあります。
比較項目 | 一級技能士 | 無資格業者 |
技術の裏付け | 国家試験で証明済み | 不明 |
経験年数 | 最低7年以上 | 不明 |
対応力 | 畳の種類・特殊形状にも対応 | 限定的な場合が多い |
安心感 | トラブル時の説明責任も明確 | 対応が不安定な場合あり |
一級畳製作技能士だからできる安心の対応とは?

※こちらの画像は備後表中継ぎ表を使ったお茶室用の64目両目乗り板入れ炉畳。中継ぎとは備後い草の太い真ん中部分だけを継いで作った畳表。お茶室用の64目両目乗りとは上前と下前の両方が目乗りになるように作られた畳表。茶室などに使われる高精度な仕立て技法です。炉畳とは炉縁を入れる為に加工した畳のこと。
私自身も一級畳製作技能士として、これまで数多くの畳を製作・施工してきました。 この資格を取得してよかったと思うのは、次のようなときです。
- お客様に技術の根拠を示せる(安心して任せてもらえる)
- 畳の状態に応じた細かい提案ができる
- 畳の寸法ズレや傾きを極力抑えることができる
- 店舗や外国人観光客向けなど特殊な畳にも対応できる
樋口畳商店ではすべて一級技能士が対応します

畳は敷き込んでしまえば技術が全く見えない敷物です。手を抜こうと思えばいくらでも手を抜くことはできます。私が京都で修業し学んだことは、技術とは目に見えない箇所に使われることだということ。一級畳製作技能士になり、その考え方はより強くなりました。樋口畳商店では見えない部分にも手間暇こだわりを持って丁寧な仕事をしていきます。
樋口畳商店では、すべての施工において一級畳製作技能士が責任を持って対応します。 見た目の美しさだけでなく、長く快適に使える畳を提供することをお約束します。
おわりに:安心できる畳職人選びのために
一級畳製作技能士は、単なる肩書きではなく、長年の経験と努力の結晶です。 畳の張り替えや新調を検討されている方は、ぜひ一級畳製作技能士の資格を持つ職人かどうか、一級畳製作技能士が作っている畳かどうかを確認してみてください。
樋口畳商店では、LINEでの無料相談も受け付けています。どんな小さなご相談でもお気軽にお申し付けください。皆様からのお問い合わせを心からお待ちしております。
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