世の中の腹立たしう、むつかしう、片時あるべき心地もせで、ただ、いづちもいづちも行きもしなばやと思ふに、ただの紙のいと白う清げなるに、よき筆、白き色紙、陸奥紙(みちのくがみ)など、得つれば、こよなうなぐさみて、さはれ、かくて暫しも生きてありぬべかんめり、となむおぼゆる。また、高麗縁(こうらいばし)の筵(むしろ)青うこまやかに厚きが、縁の紋(へりのもん)いとあざやかに黒う白う見えたるを、引きひろげて見れば、何か、なほこの世は、さらにさらにえ思ひ捨つまじと、命さへ惜しくなむなる
枕草子 二六二段 御前にて、人々とも
簡単に訳すと。
世の中に腹が立ってムカつく。正直言って死にたい。でもそんな時、真っ白な陸奥の紙とか高麗縁の美しい紋の畳を見れば、この世も悪くないな!って命を惜しくなってしまう。
清少納言は枕草子のなかでこのように述べています。畳を愛してくれた清少納言。私は嬉しく思う一方で、清少納言が愛した畳をもっとたくさんの人に知ってもらいたい。そして使ってもらいたい。そう思い、清少納言の愛した畳を再現しました。
清少納言が愛した畳とはどんな畳?
清少納言は枕草子の中で、高麗縁という言葉を残しています。高麗縁とは、高麗から伝わったとされる格式の高い縁のことで、一般的には紋縁と呼ばれています。
高麗縁にはそれぞれ格式があります。一番格式の高い高麗縁は白大紋。次が白小紋(九条紋)になります。ちなみに高麗縁ではないですが、皇族が使う最高級に格式が高い縁として繧繝縁という縁もありますが、ここでは関係ないので割愛します。
では、清少納言が使っていた高麗縁は何だったのでしょうか。
清少納言の位は少納言ですから官位相当は従五位下。これを畳縁の格式に当てはめると無地の紫が相当することになります。ただ、清少納言は枕草子のなかで「縁の紋(へりのもん)いとあざやかに黒う白う見えたる」と言っていますから無地の紫ではなく、あざやかな黒と白が見える畳縁。そうなると自分が使っている畳ではなく、仕えていた方が使っていた畳なのかもしれません。
清少納言が仕えていた方は藤原定子。藤原定子は一条天皇の后ですから位はとても高いものでした。三后ともなれば、おそらくは繧繝縁。つまり高麗縁ではありません。
では、一体どこの畳なのでしょう。
ここからは私の推測ですが、藤原定子が主催する宮廷サロンなるもののなかで見つけた畳なのではないかと思っています。宮廷サロンとは教養人のお勉強会みたいなもので、清少納言はもちろん数人の貴族が参加し和歌などを嗜んでいたと言われています。
宮廷サロンに参加していた貴族が誰なのかはわかりませんが、私の推測では摂政&関白以下の身分だと思いますので、高麗縁は白小紋(九条紋)ではないかと予想します。
清少納言が愛した畳とは、青くて清らかな畳表に、黒と白が美しい九条紋の高麗縁の畳。
もちろんこれが正解なのかはわかりません。当時の畳が残っているわけではないので。ただ、樋口畳商店ではこれが正解に近いのではないかと思っています。
ちなみに余談ですが、枕草子によれば、藤原定子は清少納言に高麗縁の畳をプレゼントしたそうです。
御座といふ畳のさまにて、高麗など、いと清らなり
枕草子
最初誰からの贈り物かわからなかったようですし、いろいろ複雑な気持ちだったみたいですが、畳はとても綺麗だと言っています。
清少納言よかったですね。
清少納言が愛した畳の購入方法
清少納言が愛した畳の購入方法をご紹介します。購入方法はふたつです。
ひとつはオンラインショップで購入する。
▽クリーマ はこちら:https://www.creema.jp/item/16058727/detail
▽BASEはこちら:https://wakokusikimo.base.shop/items/75491962
もうひとつは樋口畳商店へ直接お問い合わせください。
電話、メール、LINEなどからお問い合わせできます。お気軽にお問い合わせください。
以上、清少納言が愛した畳とは?枕草子をもとに清少納言が愛した畳を再現した、でした。