安売りチラシ畳業者と地域の畳屋との違いは?|それぞれの畳屋の特徴

 

皆さん、こんにちは!畳職人の樋口です。今回はそれぞれの畳屋の特徴を紹介します。

 

畳を注文したいけど
どこに頼めば良いかわからない

 

ある時、ポストに入っていた畳屋のチラシ。

 

そこには今だけ限定1帖2700円の文字が。

 

畳って安いじゃないか!!!ここにしよう!

 

と思いますよね。でも・・・。

 

ちょっと待った!!!

 

確かに、安い値段の畳を買いたい!という気持ちは理解できますが、価格で釣る安売りチラシ畳業者はかなり危険です。

 

では、一体何が危険なのか。今回は安売りチラシ畳業者の特徴から、地域の畳屋まで、それぞれの畳屋の特徴を紹介します。

 

これから畳を張り替えたいと思っている方、今後畳を注文する予定の方の参考になれば幸いです。

それぞれの畳屋の特徴

それぞれの畳屋の特徴
・安売りチラシ畳業者
・地域の畳屋
・ホームセンターの畳
・社寺やお茶室の仕事を専門的にしている畳屋
・内装もしている畳屋

 

安売りチラシ畳業者

安売りチラシ畳業者とは、安い値段が書かれたチラシを配り、客に目を引かせて注文させる畳業者のことです。この畳業者に2タイプ存在します。①企業努力で安い値段の畳を販売している会社②安い値段でエサをまき、価格を吊り上げボッタくる畳業者です。①は消費者の立場に立ってものづくりをしている何の問題もない素晴らしい会社である一方、②は高齢者を食い物にする詐欺紛いのインチキ畳業者です。畳業界全体の信頼を損なう可能性がある為、全国の畳組合も危惧しているのが現状です。被害に遭われた方は消費者センター&近くの畳屋さんに相談することをお勧めします。

 

 

安売りチラシ畳業者とは、価格の安さを武器に宣伝し、消費者の購買意欲を促進させるマーケティング手法を使った畳業者のことです。

 

おそらく皆様のポストにも一度や二度投函されたことがあるのではないでしょうか。

 

へー。畳ってこんなに安いんだ!

 

チラシの価格を見て畳のイメージが変わったという方もいるかもしれません。

 

とはいえ安売りチラシ畳業者にはよく言われていることがあります。

 

「安売りチラシ畳業者はチラシ詐欺だ!」です。

 

しかし、実際に利用した消費者の中には満足のいく施工だったとの意見もあります。

 

では、なぜ安売りチラシ畳業者の中で賛否が割れるのか。

 

安売りチラシ畳業者には二種類のタイプが存在します。

 

①企業努力で安い値段の畳を販売している畳業者

 

②安い値段でエサをまき、価格を吊り上げてボッタくる畳業者

 

①に関しては何もいうことはありません。消費者に寄り添った素晴らしい畳業者です。

 

問題は②の畳業者。

 

畳に詳しくない人、高齢者をターゲットに安い値段でエサをまき、食いついたところをボッタくる。悪質極まりない詐欺紛いな畳業者です。

 

もちろん、私たち畳職人側も畳業界全体の信頼が失われる可能性があるとして、注意を促す啓蒙活動や、ウェブでの情報発信に力を入れていますが、駆逐するまでには至っていません。

 

残念なことに最近は、消費者センター&畳組合への相談件数も増えており、増加傾向にあると私は推測しています。(データはない)

 

言うまでもありませんが騙す方が100%悪い。しかし、騙されない為には情報を得ておくことも重要なことだと思います。

 

では、どうしたら①と②の畳業者を見分けることができるのか。騙されないで済むのか。

 

実はすごく簡単に見分けることができます。

 

家に見積もりに来てもらった際、「今、この場で確定料金(精算の料金)を出してくれ!」と畳業者にお伝えすればいいのです。

 

一般的な畳業者(詐欺行為を行わない)であれば、家に見積もりに来た段階で、直ぐに確定した料金を出すことができます。(畳の枚数、畳のサイズ、畳のグレード、畳の縁、家までの距離など、場合によっては10分〜20分くらい計算に時間が掛かることもある)

 

したがって、もし「この場では確定した料金は出せない」「畳替え工事(当日)を行なった際に料金が変わることがある」などと言う畳業者がいた場合、間違いなく詐欺紛いの畳業者です。

 

注意してください。

 

ちなみに畳業者の中には概算で見積もりを出す業者が多くあります。(私もほとんど概算で出す)

 

その理由はマチマチですが、私の場合概算と精算にそこまで大きな違いがない(誤差、総額で上下3000円程度)ので、概算で出しています。(もちろん、精算で出して!と頼まれれば出します)

 

つまり、概算で見積もりを出す畳業者が全部悪であるわけではない。ということも知っておいてもらえたらと思います。

 

地域の畳屋

地域の畳屋とは、地域に根ざした畳屋のことで、地域コミュニティの中で商売をしているスタイルになります。地域コミュニティでの商売は信頼が全てなので、一番安心して頼める畳屋であることは間違いありません。また、昔からの馴染みだと”友達価格”の値段で施工してもらえたり、家の工事の際に信頼できる業者を紹介してくれたりと何かと助かる畳業者です。一方で「営業してるのか、してないのかイマイチわからない」「おじいさんの職人で頼むのが不安。申し訳ない」などの意見もあります。高齢化+跡継ぎがいないなどの問題が深刻化しているのが現状です。

 

地域の畳屋とは、地域密着型の畳屋という意味で、地域のコミュニティの中で商売しているスタイルになります。

 

地域のコミュニティで商売をしたい!と思ったら、最も大切にしなければいけないのが「信頼関係」です。

 

地域とは恐ろしいもので、詐欺紛い的な悪いことをすれば瞬く間に口コミで広まります。

 

もし地域で口コミが広まれば落ちるスピードはあっという間です。

 

地域に根ざして商売をしている畳屋はそれが良くわかっています。

 

だから、地域の消防に入ったり、祭りの手伝いをしたり、子供たちの見守りをしたりと信頼に関わる行事を積極的に請け負うのです。

 

したがって、地域の畳屋で悪いことをする畳屋は”ほとんど”いないと言えます。

 

また、地域の畳屋のコミュニティは信頼できる方たちの集まりであることがほとんどです。

 

その中には大工さんや表具屋さん、水道屋さんに電気屋さんまで様々な業種の人たちが集まっています。

 

もし、「雨漏りした」「電気が点かない」「トイレが壊れた」などの家の困りごとがあったら畳屋に紹介してもらうのもアリかもしれません。

 

ただ、地域の畳屋には問題ごとも有ります。

 

いつもの畳屋さんにお願いしたいけど、最近お店閉まってるし、やってるのかしら・・・。

 

地域の畳屋さん、おじいさんの職人さんだし、タンスとか重い荷物が多いから頼みにくいわ。

 

などの意見もあります。これはまさに、職人の高齢化と後継者不足からくる問題です。

 

畳屋の平均年齢が上がり続け高齢化する一方で、若者の職人が増えず後継者不足から廃業する畳屋さんが相次いでいます。

 

これら問題が、私個人的に良いか悪いかは、おいて置くとして、田舎に住む方の畳替えができない!不必要に価格が上昇する!などの生活に害をきたすことになるのは、避けなければならないことだと思います。

 

日々、問題が深刻化する中で私たちにできることは何か?問われています。

 

ホームセンターの畳

ホームセンターの畳とは、ホームセンター側から下請け依頼された畳加工業者がライン式の機械を用いて、アルバイト店員が施工する畳のこと。使ってる藺草は国産、中国産とマチマチだが、細く短い藺草を使用している。耐久性に難が有り、色合いも決して良くはない。ただ、値段が安い為、畳を気軽に楽しんでもらう分にはお勧めな商品です。

 

ホームセンターの畳とは、ホームセンター側から下請けをもらった畳加工業者が、ライン式の機械を使い、ほぼ自動で畳を製造し、ホームセンターに納品する畳のこと。

 

作っているのは畳職人ではなく、アルバイト店員な為、技術的な知識は皆無といえ、畳の耐久性に難があるのも事実。

 

使っている藺草(畳の材料)は国産藺草または中国産藺草のどちらか商品によってマチマチだが、細く短い藺草を細い綿糸の縦糸で編み込んだ、これまた耐久性に難がある畳表になっています。

 

藺草を収穫して何年か置いているのか不明ですが、色も焼けてしまっているのが殆どです。

 

とはいえ、値段もすごく安く、たくさんの人に畳を親しんでもらえる意味では、素晴らしい商品です。

 

和室がない御宅の方、畳を知らない世代、畳に触れたことがない子供には是非ともおすすめ!

 

ちなみにホームセンターじゃなくても安い置き畳は購入できます。

 

▼置き畳はこちら置き畳のおすすめって何?|置き畳のメリット&デメリットについて紹介 

 

▼畳マットはこちら畳マットは赤ちゃんに優しいのか?|安くてオススメな畳マットを紹介

 

▼寝ござはこちら【国産い草】子供のお昼寝に人気!夏におすすめの寝ござを紹介

 

気になるのがあったらチェックしてみてください。

 

社寺やお茶室の仕事を専門的にしている畳屋

社寺やお茶室の仕事を専門的にしている畳屋とは、技術力を売りにしている畳屋のこと。社寺は普通の畳屋の仕事とは違い紋縁や有職畳を扱う。お茶室は畳の目(下前)や炉畳など技術力だけでなく知識力も必要になる。よって、これらを専門的に仕事している畳屋は、技術的な方向に特化した畳屋になっている。価格は一般的な畳の値段に比べ高いので、簡単な畳の仕事を頼むのは損な気がします。「技術的に難しいだろうな。これは。」という仕事をお願いしましょう。 地域の畳屋との見分け方は、名刺やお店の看板、ホームページに「〇〇庁御用達」「〇〇家御用達」などの文言が並んでいる場合が多い。

 

社寺やお茶室の仕事を専門的にしている畳屋とは、一言でいえば技術力を売りにしている畳屋のこと。

 

社寺やお茶室の畳は、一般的な畳と施工が違います。

 

例えば、格式の高いお寺に用いられる紋縁。

 

※画像は許可なく使用しないでください

 

神社に用いられる有職畳。

 

※こちらの画像も許可なく使用しないでください

 

お茶室で用いられる両目乗り中継ぎの炉畳。

 

※こちらの画像も勝手に使わないでください

 

このように社寺やお茶室における技術力は、一般的な畳に対しての技術力と違うものになっています。(口で上手く説明できませんが、紋を合わせたり、畳の目を両方乗っけたりなどなどです)

 

また、技術力だけでなく知識力も必要になります。

 

畳についてはこちら畳の効果とは?日本固有の文化である畳について紹介 

 

したがって、社寺やお茶室の仕事を専門にしている畳屋は、技術力に特化した、疑いようのない畳のエキスパートなのです。

 

とはいえ、弱点もあります。

 

それが料金の高さです。

 

え?畳ってこんなに高いの?

 

技術力を売りにしている畳屋は、一般的な張り替え料金に比べて高い傾向にあります。

 

理由は技術料と耐久年数、敷き込んだ時のクオリティにあると思われます。

 

基本的に技術とクオリティはお客様にはわかりません。

 

「わからない」とはバカにしているわけではなく、畳の施工がお客様の目から見えない箇所にしてあるからです。

 

畳を敷き込んだ後、見えるところは藺草や畳ヘリなどの表面上だけで、縫った後、もしくは切った箇所、糸の姿などは見えないですよね。

 

つまり、畳屋が手を抜こうと思えばいくらでも手を抜けるし、手を抜いたことはお客様に絶対にバレないわけです。

 

とはいえ、技術は時間が経ってくると畳に不備が生じて手を抜いたことがわかってきます。

 

それが技術力による差です。

 

※畳においての技術力とは何かを詳しく説明するとめちゃくちゃ長くなってしまい、このブログ記事の趣旨も変わってしまう恐れがあるので、また別の記事で書きたいと思います。

 

したがって技術力を売りにしている畳屋で畳替えを頼むと以前より長持ちする。そして綺麗に仕上げてくれる。だから高い!というわけです。

 

技術力を売りにしている畳屋に仕事を依頼するなら、難しい現場(社寺やお茶室、三角形の和室、台形の和室、円形の和室、廊下の畳敷、狂った寸法の和室、突貫工事で作った飲食店の座席、寄席のない洋室に畳敷き詰めなど)がおすすめです。

 

おそらく一般的な畳屋では綺麗に仕上げてもらえずクレームに繋がるような現場も、技術力を売りにしている畳屋なら完璧に仕上げてくれるはずです。

 

では、一般的な畳と技術力を売りにしている畳屋を見分ける方法はあるのでしょうか。

 

技術力を売りにしている畳屋の多くの場合、名刺やお店の看板、ホームページに「〇〇庁御用達」「〇〇家御用達」などの文言が書かれています。

 

そのあたりをチェックして探してみてください。(京都だったら紹介できますのでお問い合わせフォームからでもフェイスブックからでも連絡ください。)

 

 

内装もしている畳屋

内装もしている畳屋とは、畳工事だけでなく、襖や障子、壁紙(クロス)やCF、タイルカーペットなどの内装仕事も請け負う畳屋のことです。主に地域密着であり、地域のコミュニティで成り立つ商売である。とはいえ、一般的な畳屋に比べ、内装仕事も請け負うことからお客様側の利便性は高く、信頼度も高い。とはいえ、肝心の畳の技術レベルが低かったり、他作業の技術レベルが低いなどの問題もある。アパートやマンション、借家などの技術がいらない簡単な作業で、なるべく安く施工したいという方にお勧めです。余談ですが、昔は内装をしている畳屋を「何でも屋」「便利屋」などと揶揄していたこともありましたが、今では一般化しつつあります。地域の畳屋も過渡期を迎えているということでしょう。

 

内装もしている畳屋とは、畳工事だけを請け負うのではなく、襖や障子、網戸や壁紙(クロス)、CFやタイルカーペットなどの内装工事も請負、施工している畳屋のことを言います。

 

ビジネスモデルは地域の畳屋と同じで、地域密着の中コミュニティを大切にして商売している畳屋になります。

 

地域の畳屋との違いは「内装工事」という施工できる幅が広い分、お客様との距離も近く、信頼関係を構築しやすいと言われています。

 

あるお客様(工務店)の意見によれば、「畳は畳屋、襖と障子は表具屋、壁紙はクロス屋、CFは床屋。って分けて頼むのめんどくさい。一度に全部頼めたら段取りが減って本当に楽」との声も。

 

このように内装もしている畳屋は利便性が高く、信頼を得られやすいメリットがあります。

 

とはいえ、デメリットもあります。

 

内装もやっている畳屋は、肝心の畳の技術力が低い可能性があります。

 

ここだけの話、内装工事で一番利益率が高いのは「畳」です。

 

一方クロスの利益率は、ものすごく低いんです。

 

商売は利益率の高い仕事をする方が儲かります。

 

したがって利益率の高い仕事から利益率の低い仕事を広げていく、ということは、利益率の高い仕事を受注できていないことになります。(畳屋がそれぞれ専門の職人を雇っている、もしくは下請けに回しているなら話は別ですが)

 

思惑として畳の技術レベルを上げ、利益率の高い仕事を受注するより、利便性を向上させ購買力を上げる方が、良いと判断したのかもしれません。

 

そのピボットにとやかく言う資格はありませんが、技術的レベルが一般的な地域の畳屋に比べて落ちている可能性は否定できないかと思います。

 

また、全く本業でないCFやタイルカーペットは技術的にレベルが低い可能性があります。

 

この辺は注意した方がいいかもしれません。(襖や障子、クロスは大丈夫かと思います)

 

おすすめは、管理物件(アパートやマンション、借家)のメンテナンスです。

 

大家さんや不動産は、内装もしている畳屋にお願いすると段取りが楽で安く施工してくれるかもしれません。

 

一度チェックしてみてください。

 

2021年更新、新しい畳業者の選び方を投稿しました。見てもらえたら幸いです。

 

▼畳業者の選び方:【2021年】畳のプロがおすすめする失敗しない畳業者の選び方 

 

以上、安売りチラシ畳業者と地域の畳屋との違いは?それぞれの畳屋の特徴でした。

最後に

いかがだったでしょう。

 

それぞれの畳屋の特徴はわかりましたか。

 

畳屋を選ぶ際の参考になれば嬉しいです。

 

本文でも書きましたが、安売りチラシの畳業者は本当に注意が必要です。

 

でも、それもおかしな話ですよね。なんで購入する側が注意して購入すんだよ!って感じです。

 

ビジネスは一人じゃ成立しない。

 

だからビジネスとは、自分の為にするものじゃなくて、人の為にするもの。

 

こんな当たり前のことがわからないなら畳屋やって欲しくないですね。

 

 

読んでいただきありがとうございました。良かったらシェアお願いします。

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