今回は畳業界にも関係するリフォームとリノベーションの話。
リフォーム&リノベーション市場は数少ない成長市場と言われ、早い段階で7兆円を越すのではないかと注目されています。
そんな大きな市場であるリフォームとリノベーション市場にある変化が起きています。
それは大きな市場をチャンスと捉えて様々な業種の企業が参入してきているのです。
例えば、大型家電量販店『ヤマダ電気』人材派遣サービス『リクルート』ECサイト『アマゾン』などなど。
他にもベンチャー企業各社が参入している状況です。
通常であれば企業の参入は市場の健全化が期待でき、お客様にとってはプラスに働くはず。
ところが、お客様にとって悪影響を与えかねない事態になっています。
それは一体どういうことか。
今回はリフォームとリノベーションの違いについて、リフォームとリノベーション市場の成長に潜む問題点についてご紹介していきます。
リフォームとリノベーションの違いは?
まず前提として、リフォームとリノベーションの違いを理解しておかなければいけませんね。
どちらも住宅に手を加える(工事、施工する)点では同じですが、『目的』の部分でリフォームとリノベーションには違いがあります。
リフォームとは老朽化した建物を建築当初の性能に戻すこと
リノベーションとは、修復だけでなく用途や機能を変更して性能を向上させたり価値を高めたりすること
簡単に言ってしまえばリフォームは元に戻すための「修復」の意味合いが強い。
例えば、古くなったキッチンを新しいものに変えることや、汚れた壁紙を張り替える、汚れた外装を塗り直すなどの小規模な内装工事や外装工事は「リフォーム」に分類されます。
一方、リノベーションは工事の規模も間取りの変更を伴うような大規模なものということになります。
以上のことからリフォームとリノベーションの違いは理解していただけたと思います。
ちなみに、こちら2つの画像ともマンションをリノベーションしたものになります。
実はリノベーションは中古マンションを買う若い夫婦に人気があるのです。
若い夫婦に人気のリノベーション
ここ最近メディアで取り上げられ注目を集めているのが、公共団地を含めた中古マンションのリノベーションです。
中古マンションは安く住めることが利点ですが、その反面中古マンションには昭和を感じさせる空気もあり、若い層からは人気がありませんでした。
問題はデザイン性と部屋が狭く感じてしまうこと。そのようなテンプレート化している家、住宅スペースは若い層には好まれません。
そこでリノベーションです。
リノベーションはお部屋の仕切りなども壊すので、公共団地のような壁で遮られ狭く感じられる空間も広い空間に変えることが可能です。
また、デザイン性も若い層に人気のカフェスタイルや北欧スタイル、和モダンなスタイルなどオシャレでかっこいいお部屋に大変身します。
すごくオシャレですよね。
これが3万〜8万前後の格安で借りれる公共団地だったら嬉しいですよね!
実は自分達でリノベーションをしなくてもリノベーション済みの中古マンションや公共団地もあります。
リノベーション済みの分少し家賃は高めですが、普通の賃貸マンションを借りるよりは安く抑えることができると思います。(賃貸マンションの物件によりますが・・・。)
”リノベる”のインタビュー動画も掲載しておきますのでご覧ください。
幸せそうでなによりです:(;゙゚'ω゚'):
オシャレでカッコいいお部屋に住みたい!でも、これからのことを考えて予算を抑えたい。
そういう方にリノベーションはおすすめな工事内容なのではと思います。
またリノベーションは中古マンションだけではありません。
リノベーションにより刑務所まで新しい価値に変えてしまいます。
刑務所をホテルにリノベーション
リノベーションは海外でも盛んに行われ、廃れた建造物をユニークな建物に建て替えています。
有名なのが、リバティー,ラグジュアリーコレクションホテル,ボストン (The Liberty, a Starwood Luxury Collection Hotel, Boston)です。
この建造物の元々はチャールズストリート刑務所として使われていた建物でした。それをリノベーションして刑務所からホテルに変身させた。
ただ、全てを生まれ変わらせたわけではなく刑務所として使っていた時の名残である柵や鉄格子などを残すことで人々に好奇心を与えています。
このホテルには『CLINK(刑務所)』というレストランもあり、牢屋の鉄格子の中で食べる興奮は観光客に人気の一つだそうです。
それ以外にも夕方ぐらいからオープンするバー『alibi(アリバイ)』も人気の1つ。
『alibi(アリバイ)』は酔っ払いの留置所だった場所。
alibi(アリバイ)の床やレンガ壁は刑務所当時の資材を使っているのでその頃の雰囲気が残っているとのこと。
一度は訪れてみたい・・・。
ちなみに日本でも似たようなことをするらしい。
奈良県で少年刑務所として使われていた『奈良監獄』をリノベーションしてホテルとして使おうという動きがあります。
この奈良監獄は五大監獄の1つで日本に唯一現存する監獄です。2017年2月に国の重要文化財にも指定されています。
奈良監獄ホテルの竣工はまだ先の2020年らしいですが、完成が楽しみですね。
続いては廃校した小学校をリノベーションして新しい価値に生まれ変わらせようという取り組みについて紹介したいと思います。
小学校をオフィスにリノベーション
宮崎県宮崎市にある廃校になった旧むかさ小学校をリノベーションしてベンチャー企業や起業家が集まるコミュニティスーペスと企業が入るオフィスに変身させました。
YouTube動画内で「新しい自分のルールの街づくり」とプロジェクトリーダーの村岡氏は言っています。
「まず大切なのはコミュニティがあり続ける事ができるか、どうかだと。ここを拠点にしてビジネスコミュニティが生まれていく。」
いつの日か日本のシリコンバレーが誕生し、世界を革新するようなプロダクトやサービスがここで生まれるかもしれません。
また、まちづくり事業会社シーセブンハヤブサとツクルバ主導で、他の廃校になった学校もリノベーションによってオフィスやコミュニティスペースとして変身させる事業も行なっています。
リノベーションの費用としては、国の補助金も利用して町が1億6000万かけて整備するそうです。
そんな街づくりなどにも一役かっているリノベーションですが、実はリノベーションの問題点もあります。
リノベーションの問題点
盛り上がりをみせる成長市場であるリノベーション市場。
相次ぐ企業参入も頷けます。
ところが一方でリノベーション市場は消費者を見てないという意見があります。
実は新築で家を建てるのと中古一軒家の住宅×リノベーションで改築するのと価格を比べると上回るケース(たいして変わらない金額になるケース)が起きてしまっているのです。
一部では新築で建てた方が断然安く建てられてしまうケースまで存在するとか。
では、なぜそのような事が起きてしまっているのでしょうか。
リノベーションと新築の価格が変わらない理由
理由は2つ考えられます。
2.中古住宅×リノベーションの価格が高い(施工料?設計料?)
1.新築を建てる時に既製品を使っての施工が増えたため新築の価格が落ちたこと
新築を建てる時に既製品を使っての施工が増えたため新築の価格が落ちたことが一つ理由にあると言われています。
もちろん注文住宅は別ですが、新築の現場に行くと既製品を使っての施工は当たり前となっています。
それゆえに、宮大工さんがいうには『釘を打てない大工が増えた』と言っていました。
つまり既製品で施工して、たくさん家を建てればそれだけ価格は落ちるという事です。
2.中古住宅×リノベーションの価格が高い(施工料?設計料?)
もう一つは、中古住宅×リノベーションの価格が高い(施工料?設計料?)ことが原因と言われています。
これに関してはハッキリと言えないのですが、リノベーション費用が建造物の具合によって割高になる可能性があります。
場所(立地)、家の形、グレード(リノベーションに使われる建材などなど)によって価格は違うのですが、例えば、神奈川県で25〜30坪で七千万円超える中古物件(土地なし)もありました。
しかし住宅設備メーカー、京王電鉄、ベンチャー企業、大型家電量販店、IT企業など異業種の相次ぐ新規参入で市場原理が働きリノベーション費用が下がると思っていたのですが、、、。
おそらく1つは職人の単価が叩かれ過ぎたことがあると思います。
そもそも今の建築業界の仕組みで、職人の単価を叩くことは若者の離職率を加速させ、外国人労働者に頼らざるおえない状況を作り出していると思います。
せめて異業種の新規参入組は、職人の単価ぐらい勉強してきてほしいものです。
最後に
いかがだったでしょう。
リフォームとリノベーションの違い、リノベーションの問題点について理解できましたか?
リノベーションについて感じたことをまとめると、リノベーション済みのマンションや公団はオススメなのですが、中古住宅はリノベーションを薦めるべきではないのかなと思います。
リノベーションは上記で書かれている通り、新築だった時より性能・価値を高めて作り変える点としては非常に優れている。
だからと言ってマンション・公団に比べて中古住宅は改築範囲が広いため価格が高くなってしまうリスクがある。
これについてリノベーションを推進している企業は注意してお客様に説明しなければいけないと思います。
リノベーションを勧めるべき物件では無いのにも関わらず、勧めてしまう業者がいるのは、欺瞞に満ちた業者であると言わざるおえません。
昔は地域の信頼している大工さんに聞けばよかった話が異業種の参入により、何を信頼として価値と価格基準を決めていけばいいかわからない状態であるのは確かです。
なので個人のお客様がある程度の知識をお持ちにならないといけない時代になってしまったのかなとも思いました。
読んでいただきありがとうございました。