【一級畳製作技能士が語る】畳職人になるには?修業・資格・独立まで完全ガイド

こんにちは、樋口畳商店の樋口裕介です。 私は高校卒業後、京都で現代の名工・黄綬褒章受章の沢辺畳店で修業を積み、一級畳製作技能士の資格を取得。現在は東京都江戸川区で畳製作・施工を行っており、全国のお客様に畳の魅力を伝える活動を続けています。

この記事では、畳職人を目指す方に向けて、修業の実態や必要な資格、収入事情、そして独立に至るまでのステップを、実体験を交えて解説します。畳職人になりたい!畳職人を目指している方の参考になれば幸いです。

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樋口 裕介(ひぐち・ゆうすけ)
一級畳製作技能士/樋口畳商店 代表
京都市にある黄綬褒章を受章した現代の名工の店「沢辺畳店株式会社」で修業後、東京都江戸川区にて樋口畳商店を独立開業。
京都畳競技会 京都府知事賞優勝/国家資格 一級畳製作技能士 取得。
東京都江戸川区の神社仏閣から一般住宅、お茶室や屋形船、ゲストハウスまで幅広い施工実績。

畳職人ってどんな仕事?

畳職人は、畳の製作・施工・修理を専門に行う職人です。日本の伝統文化である畳を支え続ける存在であり、最近では和モダンインテリアとしての需要も高まっています。

畳職人の仕事内容は以下の通り:

  • 畳の採寸と設計
  • 畳表・畳床・畳縁の選定と加工
  • 張替えや新畳の製作・納品・設置
  • お客様への提案とアフターケア

伝統技術だけでなく、近年は新素材の取り扱い・デザイン提案・EC販売など、時代に合わせた対応力も求められています。

畳職人の仕事内容を紹介

畳の採寸と設計

畳は和室に敷き詰める敷物です。敷き詰めるということは、必ず枠というものが存在します。その枠に綺麗に入れること、これが畳職人に求められる技術になります。

畳職人の仕事としてはまず、枠の寸法を測り、部屋の大きさ、畳一枚の大きさ、部屋の歪み、柱の大きさを出します。それが決まれば、畳の敷き方をデザインし、割本法というやり方で畳の寸法を割り出します。(現在ではレーザーを使った十字法も多く使われています。どちらの方がいいか一概に言えませんが、大広間なら割本法、荷物が多い家なら十字法がおすすめです)

畳表の選定

畳職人の仕事は畳を作ることだけではありません。お客様に喜んでいただけるように、人と環境に優しく安心安全で、とても美しい畳表を選ぶ目利きが重要になります。

では、一級畳製作技能士である私がどのように畳表を選んでいるのか。

まず大切なのは、畳表の色です。い草は根から先にいけば行くほど細くなります。細くなればそれだけ色が焼けやすく色が変わりますが、一番毛といった長いい草を使用した畳表であれば先まで太く畳表の端まで綺麗です。

次にい草の芯をチェックします。

い草には繊維の詰まり具合によって、右のように円に近いものもあれば、繊維がスカスカで楕円になっているものもあります。私が畳表を選ぶ際は必ずい草が円に近いものを選ぶ。それから指でい草を潰してみます。潰した時の弾力具合などで繊維の詰まりを判断します。

※い草の繊維が詰まっていることのメリットは、見た目の綺麗さ以外にも耐久性に違いがあると言われています。調湿効果も違うと言われており、い草の繊維が詰まっている畳表を使うことはお客様にとってご満足いただける商品になると私は思います。

畳を作ること

畳職人の仕事は何と言っても畳を作ることです。

その為に必要なのは畳を製作する技術と技能。これに尽きます。

技術力と一般的に言うと、綺麗に仕上げることなどの見た目のことを言いますが、畳職人においての技術力は見た目というより、長くお客様に使ってもらう為の耐久性に関わることを指しています。

畳って敷き込んでしまえば、どのように施工したのかわからないですよね。例えば、ノリで接着したり、タッカーを打ち込んだりしても、畳を敷き込んでしまえばお客様にバレないわけです。

短期的な目線で言えば、そんな施工をしても問題はありません。ただ、長期的に考えるとノリは剥がれてきますし、タッカーは錆びて取れてしまうので、耐久性に必ず不具合が生じます。

つまり、畳を敷き込んだ表面上を綺麗にすることは当然のことであり、本当の意味での技術力ではないのです。

目に見えない箇所にいかに技術を使うのか

これが畳職人にとって大切なことだと私は思います。

最近では、畳の製造を全て機械化している畳製造の会社があると聞きます。生産性効率を考えたら正しい経営だと思う反面、畳製作の技術と技能を全て機械に任せるというのは危うさも感じます。というのも、先日伊豆七島に畳の仕事をしに行ったのですが、たくさんの畳屋に断られたと言っていたからです。

出仕事は機械を持っていくことができないので、基本手縫になります。機械頼りにしている方は手縫ができない。出来ても遅くて仕事にならない。これで畳職人と自分で呼んでいるのだからかなり危ういですよね。

今後、畳の将来を考えた時、畳には革新的商品が必要です。その時、我々は製造ラインに入らない畳を求められることになります。機械を使うなとは全く思いませんが、機械頼りにして畳を製作していれば、近い将来必ず痛い目に合うと私は考えます。

畳職人を目指す若い方にはぜひとも知っておいてほしいことです。

畳の引き上げから納品、設置まで

畳職人の仕事を畳を作って終わりではありません。畳を納品して設置するまでが畳職人の仕事です。

時には40キロを超える重たい畳を運ばなきゃいけないこともあるし、めちゃくちゃ重い和ダンスに囲まれた和室の畳を引き上げ、納品して元に戻さないといけないこともあります。

とても大変な仕事です。ただ、誇れることもあります。それは人の家で仕事をするということです。

そもそも皆さんは、我が家に赤の他人が入って来てほしいですか?いくら仕事とはいえ怪しい人は嫌ですよね。清潔感ない人も嫌ですよね。

つまり、お客様からの「どうぞあがってください」は信頼の証なのです。人の家で仕事ができるのは本当に信頼しているからこそ出来ることであり、私は誇れることだと思います。

畳職人はお客様からの信頼を絶対に裏切ってはいけないし、矜持をもって仕事しなければいけない。このことをよく覚えておいてください。

このような一般的な畳職人の仕事もあれば、有職畳のような歴史的な畳も製作販売するのが畳職人の仕事です。

畳職人の仕事①有職畳の製作と販売

有職畳とは、一般的に御神座(ごしんざ)のことを指しており、

御神座とは茵(しとね)、龍鬢(りゅうびん)、八重畳(やえだたみ)、厚畳(あつじょう)などを組み合わせた室礼のことで、神様が鎮座する所

だと言われています。

繧繝(うんげん)縁

なぜこのような畳を製作するかと言いますと、畳は歴史的に古く、1200年以上昔から存在する日本文化だからです。

畳は過去、皇族や貴族など格式の高い方々の権力を指し示す象徴的役割がありました。畳縁には紋縁と呼ばれる縁が使われ、繧繝縁=皇族、大紋→中紋→小紋と格式の高さを表していました。

現在でもその名残は残っていて、皇族関係の方々しか使えない畳縁や格式の高さによって決められた紋縁が存在します。

※本当はお写真でご紹介したいところですが、そういったものは写真撮影が不可な現場が多く、皆様にお見せできないのが残念です。

紋縁は畳職人の仕事の中でも難しい仕事になります。というのも、紋縁は紋を合わせることが求められるからです。

他にも有職畳には九条紋といった小さい紋縁が使われている畳などもあります。

小さい紋を合わせるので、中紋や大紋よりも難しい畳になります。

有職畳には他にも畳床二枚を重ねて作った二畳台、四天付きの拝敷き、六角鐘敷き、礼盤(登高座(とこざ)に用いられる畳)、廻畳(紋縁の置き畳)といった畳もあります。格式の高いお寺さんに行けばご覧になる機会もあるかと思いますので、興味がある方は是非行ってみてください。

畳職人の仕事②数寄屋造(お茶室)の畳

お茶室に使われる炉畳を作るのも畳職人の仕事です。炉畳とは、お茶室の炉に合わせ加工した畳のことで、畳の上前を縦に1尺4寸、横に1尺4寸切って炉縁が入るように作られています。

お茶室の畳は畳職人にとって最も難易度が高い仕事だと言えるでしょう。

とはいえ、見た目的にはお茶室に使われる畳と一般的な畳と何が違うのかわからない人も多いと思いますが、炉畳以外は基本的な作り方としては同じです。

ただ、施主の願いを完璧に形にしないといけない使命感が違います。というのも、お茶室の畳は施主からのご要望がとても多い。例えば、京間の畳で両方目乗りにしてほしい(64目の畳表を使っても、掛けシミズのやり方をしても両方目乗りにならないこともある)畳縁を一寸にしてほしい、炉縁を入れる枠を削ってないけど高さを合わせてほしいなど。本当にたくさんのご要望を聞きます。

それは表千家、裏千家、武者小路千家などの流派によって違いはありますが、どの流派でもご要望の数は一般的な家の畳に比べて比ではありません。

それを全て技術と技能で解決するのが畳職人の仕事になります。

畳職人に向いている人の特徴

  • 手仕事が好きな人
  • 地道な努力を続けられる人
  • 日本文化・伝統に興味がある人
  • 自営業に興味がある人
  • 人とのつながりを大切にする人

どんな仕事にも言えますが、向き不向きなんていうのはやってみないとわからないことだと思います。YouTube動画で見たから、写真を見たから、それで自分には向いていると思うのは私からすれば大丈夫かなとおもいます。

ただ、職人の仕事はめんどくさいことが重要なことだったりします。例えば、襖なんかDIYを皆さんやっていますが、下地処理をほとんどせず、襖紙の上から襖を貼っていますよね。とても楽で簡単だと思うかもしれませんが、下地処理をしないと綺麗に貼れなかったり、アクや汚れが下地から浮き出してきて後々、茶色のシミができることがあります。

だから表具屋(経師屋)はちゃんと下地処理をして襖を貼るんです。それは畳職人も同じです。簡単に作ろうと思えばいくらでも簡単にできる。でも、簡単にすればするほど、後々悪い影響が出て来てしまう可能性があるから時間をかけて、手間をかけて作業するんです。

このめんどくさいことをめんどくさがらず淡々とできる人間が畳職人に向いていると私は思います。

畳職人になるための3つの道

1.親方に弟子入り(昔ながらの修業ルート)

昔で言う丁稚奉公というやつです。親方の家に住み込みで働きながら畳職人になる為の勉強をする。凄腕の畳職人から見て学べるのは上達する速度が一番早い方法だと思います。

2.職業訓練校に通う(国家資格を目指す人向け)

各地の建築関連の職業訓練校で、1〜2年かけて基礎を学ぶコースがあります。修了後に技能検定を受け、就職や独立を目指します。

3.畳店に就職(見習い扱いからスタート)

未経験でも求人があれば入社可能。見習いから始め、徐々に技術を習得。給与が出る一方で、初めの頃は手取り収入は低めになることが多いです。


私は京都市にある沢辺畳店株式会社に丁稚奉公しながら、京都市伏見にある畳訓練校に夜通っていました。つまり親方に弟子入りと訓練校に通うを同時にしていたわけです。

国家資格である一級畳製作技能士を習得するのに一番最速なルートなのが私のルートです。ただ、デメリットもあって、私がたまたま素晴らしい畳店に拾ってもらったから良かった話で、京都の畳屋の中にはまぁやばいお店もあります。

それは運としか言えませんが。

ちなみに、これは京都だからこのようなシステムになっているわけで、他だと各々別れたシステムになっています。説明していきます。

畳の学校に通う

畳職人になるために職人の卵たちが通う学校があります。

畳訓練校は京都府、福岡県、埼玉県、茨城県、東京都、石川県(石川県の学校は技術のある畳職人がより高い技術を習う学校)に6校存在し、畳の技術や技能、畳に関係する雑学を教えています。

それぞれの学校によって特色があり、教え方も授業時間も違うので一概に言えないですが、畳を一枚作ることはどの学校を選んでもできるようになります

関東だと茨城県の訓練校は畳の工芸品(先ほど紹介した有職など)を作る技術力に定評があり、埼玉県は畳を速く作る技術に定評があると聞きました。

先程も言ったとおり

私は京都府伏見区にある畳の学校、京都畳技術専門学院に通っていました

京都の畳の学校の特徴は丁稚制度が導入されていること、毎年畳の技術を競う畳技術競技会があること産地見学や畳材料&機械メーカーの見学に行ったり、畳に関係する旅行に行ったりできることなどがメリットです。

丁稚制度が導入されているので住み込みで安心ですし、他の学校と違って普通に畳の仕事をして給料貰えるので木屋町や祇園で夜遊びもできます。

(最近では住み込みかアパートを借りるか選択できるので、住み込みに抵抗感がある方も大丈夫です。ちなみに私は住み込みを選びました。居心地が良すぎて長期休暇の際に実家に帰らなかったこともあります)

京都の畳訓練校は、やっぱり京都ブランドの知名度は高いので、若い畳職人の卵たちが全国から集まります。卒業した後々、色々な情報交換なども出来ますし、良い仲間としてずっと繋がっていけます。

私個人的には

畳職人になるには一番おすすめなのが京都の畳の学校

に行くことです。

国家資格である一級畳製作技能士の資格も早く取れるし、「京都で修業した」という京都ブランドは畳職人にとってかなり大きいです。

興味がある方はこちらの記事もご覧ください。

▼国家資格一級畳製作技能士についてはこちら↓

▼京都にある畳の学校についてはこちら↓

参考になるかわかりませんが、茨城の畳の学校HPも載せておきます。

▼茨城県の畳の学校:http://www.tatami.school-info.jp/

畳屋に直接弟子入りする

今でこそ少なくなりましたが、昔のほとんどの畳職人は弟子入りして畳の技術を習うのが一般的でした。昔は今みたいにネットがあったわけでもありませんから、技術を学ぶのであれば効率的な学び方だったと思います。

私も先ほど記述した通り、丁稚制度という弟子入りを六年間しました

弟子入りとか丁稚とか言うと「ヤバそう」「キツそう」とか思うかもしれませんが、別に大変なことはなく、とても楽しい日々を過ごしていました。簡単にどういった生活をしていたのかだけ紹介しておきます。

朝の起床は六時半ぐらいで六時四十五分に朝御飯を食べ、七時半には工場に降りて先輩のコーヒーを作ったり、ゴミを倉庫に持って行ったり、縫い糸を作ったり、機械に油を注したりと仕事を始める準備をしていました。

仕事の内容はその日によって違うので一概に言えませんが、お昼十二時まで畳作ったり、畳の引き上げ&納品に回ったりしていました。

昼休憩を終えて午後からも畳作ったり、畳の引き上げや納品をして十八時まで仕事をしていた感じになります。その後は、女将さんのご飯を食べる日もあれば、友達と木屋町に行って飲み歩いたり、先輩とドライブに行ったりと夜通し遊び回る自由時間でした。

ちゃんと休み時間もあるし、休日もあるし、みなさん優しいし、皆が思っているより絶対楽しいと思います。とはいえ、今の時代、人の家に住む、他人の釜の飯を食べることをあまり好まない人も多いのかなとは思います。

畳屋に弟子入りする最大のメリットは、親方の技術や技能を間近で見て学べることです。畳訓練校は畳の作り方を教えてくれます。ただ、教えてくれる先生は言葉だけで実演はほとんどしてくれません。

一方で、親方はお金をいただく仕事を隣で実際に作業しています。それを見られる経験は何よりも大きなものだと思います。

ちなみに私が修業した沢辺畳店の社長さんは黄綬褒章を受賞し、現代の名工にも選ばれている方です。そのような畳職人のもとで仕事ができるのは素晴らしい経験になりました。

ちなみに畳の学校に通わなくても、ちゃんと親方の元で実務経験を積むと二級畳製作技能士の試験資格が受けられます。二級取得後、一級畳製作技能士の資格も受けられますので、心配はいりません。

▼徒弟制度についてはこちら↓

畳店に就職する

丁稚奉公も畳訓練校も嫌という方には、ハローワークやネットなどで人材を募集している畳店に就職する方法もあります。

給料や労働条件は畳屋によって違いますが、実務経験がない方であればまずは見習い的な扱いで給料もそれほど高くはないでしょう。

個人的には畳しかやっていない畳店に就職するのはやめた方がいいと思っています。というのも中途半端な知識と技術技能しか習得できないのに、資格はなし。給料もそこまで高くないし、独立するのも難しい。

畳しか作業しない畳店に就職するぐらいなら畳だけでなく内装もやっている施工会社に入社する方がいいかもしれません。畳の需要は減少傾向にありますし、内装業も一緒に学べるならメリットばかりだと考えられます。

もちろん、そういった畳店では有職畳やお茶室の畳なんかを極めることはできないでしょうが、代わりに幅広く仕事を請け負うことができるので、個人的には全然ありだと思います。

ただ、畳業界や職人の業界というのは職人気質な方が多い業界ではあります。偏見を持って「もぐり」と呼ばれたり、嘘の情報を材料屋さんに流されたりと嫌な思いをすることもあるかもしれません。

職人の世界はまだ『どこで。誰に。何年。』修行したのかを大切にしている世界なので、そういった職人たちの輪にも入れてもらえない可能性もあります

とはいえ、素人革命と呼ばれる時代ですから修行した人々だけが報われる世界でなくても個人的には良いと思っていますし、今後そういう人々が輪に入れる時代になったらいいなと思います。

必要な資格とスキル

畳職人になるのに必須資格はありませんが、以下の資格があると信頼性・仕事の幅が大きく広がります:

  • 畳製作技能士(国家資格)
    • 2級と1級があり、現場経験が必要です。
    • 私もこの資格を取得しており、お客様への信頼度が格段に上がりました。
  • 畳材料の知識と選定力
    • 天然い草・和紙・樹脂など、多様な素材の特性を理解する必要があります。
  • 接客・提案力
    • 施工だけでなく、お客様に合った提案をする営業力も重要です。

畳製作一級技能士になるまで

畳製作一級技能士になるまでの過程は、まず畳製作二級技能士を取得すること

。その畳製作二級技能士の受験資格は2年以上の実務経験の後、実技試験に合格すること。(二級の実技試験は黒縁の床の間風上敷きと素框新畳製作を時間内に仕上げること)

そして畳製作二級技能士を取得した後に3年以上の実務経験をして、やっと

畳製作一級技能士の受験資格が得られます

。畳製作一級技能士の試験内容は、

実技試験

学科試験

の両方あり、実技試験は板入れ新畳製作と床の間の本式(龍鬢)を制限時間に完成させることです。

学科試験は、普段やっている仕事のことなので、そこまで難しい試験ではありませんでした。(計算問題が面倒だけど)

畳製作一級技能士になるまでの過程で最も最短ルートは、畳の学校に通って、二級合格の後に一級を取得するのが一番最短ルート

だと思います。

ただ、畳業界において必ずしも畳製作一級技能士が必要なわけではありません。畳製作一級技能士を持っている私が言うのも何ですが、今までに役に立ったことは一度もありませんし、何かに使ったこともありません。

こんなものに時間を費やすより、畳の知識や技術に時間を費やす方が良いと個人的には思っています。これはあくまで個人的な意見なので、ご自分でよく考えてもらうのが良いと思います。

畳職人の収入と将来性

キャリア段階年収目安補足
見習い(修業中)〜150万円給与は少ないが学びの時期
中堅職人250〜400万円地元密着で安定的に働くケースが多い
独立・経営者500万円〜技術+営業+経営力が必要

建築業界にとって、高齢の畳職人が多く、若手の参入は非常に歓迎されています。地域によっては後継者不足のため、即戦力として重宝されることもあります。

ただ、畳職人として終身雇用を考えると怖い面もあります。というのも、畳業界は斜陽産業です。需要は確実に減っているわけですから、今後も安定的に暮らしていくことを考えると、やはり畳以外の内装スキルを学ぶことをお勧めします。

畳職人の進路について

畳職人になった後で進む道は大きく分けて2つあります。

畳職人の進路
・どこかのお店に勤める
・自分で開業する

一生かけて職人としてやっていくか。独立し、開業するか。どっちにしても言われたことだけをやる時代は終わりました。これからは主体的な行動が求められます。

畳職人の進路には大きく分けて二つあります。

一つ目は、

どこかの畳屋もしくは畳を含めた内装会社に勤めること

です。畳は需要が低下している業界ですが、人手不足の業界でもあります。

若い人で技術を持っていて、知識もある方だったら欲しいという畳会社は沢山あります。給料や待遇については、会社によって様々だろうとは思いますが、働き口に困ることは少ないかなと思います。

二つ目は、

自分で開業する。つまり独立すること

です。ただ、開業って言うと工場を借りて、畳の機械を導入して仕事をすると普通は考えますよね。もちろん、それも開業の一つではあるのですが、樋口モデルと言いますか畳の開業の仕方にはもう一つあります。

それが

職人の下請け、つまりフリーランス的な働き方

です。

これは畳屋さんの知り合いが多いことが前提になりますが、知り合いが多ければフリーランスだけで食べていけるので、そこで上がった収益を使って道具を揃えたりと設備投資に回すことができます。

地域の知り合いや建築関係の知り合いが増えれば、自分で仕事を取ることも可能になるので、そうなったら工場を借りて畳屋を開業すれば良いのです。

ただ、私は工場を借りることはあまり考えていなくて、今あるスペースで畳の仕事を行いながら、畳を使った違うビジネスモデル(収益化)を目指しています。

それはどういったことかと言うと、畳屋のビジネスは畳の受注、生産、販売ですよね。今までこういった仕組みからでしか収益化してきませんでした。

とはいえ、インターネットが普及した今、収益化は様々な方法で行うことができます。例えば、このブログ。このブログはアフィリエイトと呼ばれる仕組みとアドセンス広告という仕組みを使って収益化しています。

これは

私が畳の修行したことによる経験と知識を収益化している

わけですね。

また、畳の技術を動画にしてアップしています。これは収益化していませんが、こういった技術動画を収益化することも将来的には可能だと考えています。

総じて言いたいことは、インターネットが生まれてこれまでのビジネスモデルではない形の収益化が可能になった。だから既存の形に囚われず、新しいビジネスモデルを探して収益化しよう!ということをしています。

皆さんもこれから畳職人になりたい!と思っているのであれば、現状に囚われず主体的に活動していって欲しいと思います。

以上、畳職人になるには?修業・資格・独立まで完全ガイドでした。

▼参考記事:畳屋をどうやって独立開業したのか詳しく書いています↓

最後に

いかがだったでしょう。

畳職人になるためにはどうしたらいいのかわかりましたか。少しでも参考になれば嬉しいです。

一つの道を極める事こそ職人なり。なんて言われる時代は過渡期を迎えているのかもしれません。私もできる事ならそういう生き方が良かったし、好きな生き方です。

ただ、生きるためには食っていかないといけない。欲しいものもあるし、ちょっと贅沢もしたい。

そうしたら変化する他ありません。好きなことをやるためにはお金が必要です。自由に仕事がしたいならまずしっかりと稼がないといけない。

私が独立して一番身に染みて感じたことです。これから畳職人になる!という方々の心に響けば幸いです。

読んでいただきありがとうございました。良かったらシェアお願いします。

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