
この記事を書いた人

一級畳製作技能士/樋口畳商店 代表
京都市にある黄綬褒章を受章した現代の名工の店「沢辺畳店株式会社」で修業後、東京都江戸川区にて樋口畳商店を独立開業。
京都畳競技会 京都府知事賞優勝/国家資格 一級畳製作技能士 取得。
東京都江戸川区の神社仏閣から一般住宅、お茶室や屋形船、ゲストハウスまで幅広い施工実績。


皆さん、こんにちは!樋口畳商店の樋口です。今回は畳職人の甲子園「京都畳技術競技大会」とは?大会で培った技術がお客様にもたらすメリットをご紹介します。
京都畳競技会とは?大会で優勝するとお客様にどのようなメリットがある畳をお届けできるのかご紹介します。
畳職人の甲子園「京都畳技術競技大会」とは?

京都畳技術競技大会は、畳職人の技術向上と後進の育成を目的として、京都府畳協同組合が主催する歴史ある大会です。この大会で競われるのは、畳の「製作技術」。一枚の畳を決められた時間内に、いかに正確で美しい畳を作れるかを評価されます。
審査員を務めるのは、厳しい目で知られる組合の指導員たち。中には、国から「黄綬褒章」や「現代の名工」といった栄誉ある称号を授与された、畳業界の名だたる技術者も含まれています。彼らの厳しい審査をクリアし、優勝することは、畳職人としての技術力が公に認められたことを意味します。
畳の技術力は見えない部分で決まる。京都畳競技会優勝者が語る、畳競技会の知られざる世界
畳屋を選ぶとき、皆さんは何を基準にしますか? デザインや価格も大切ですが、本当に良い畳は「見えない部分」の技術で決まります。そして、その技術力を客観的に証明する場が、私たち畳職人が腕を競い合う「畳の競技大会」です。
私はかつて、「京都畳技術競技大会」で優勝しました。

京都畳競技会はプロの畳職人が競う大会ではなく、まだアマチュアの子が出場する大会です。古い言い方をすれば、丁稚奉公や弟子の子が出場する大会になります。
※プロの畳職人が出場する大会「技能グランプリ」があります。
京都畳競技会の目的は、若い職人の技術を育成することなどを目的としています。ただ、それだけではなく、修業しているお店の技術レベルを披露する場所にもなっているのです。
京都畳競技会に出場するほとんどの選手は、どこかの畳屋で修業している子です。もちろん出場選手一覧にも自分の名前だけでなく修業先のお店の名前も掲載されます。つまり、京都畳競技会で優勝するということは、自分の技術レベルを証明するだけでなく、修業先のお店の技術レベルを証明することにもなるんです。
私も優勝した時、修業先のお店が私よりも喜んでくれたことが何よりも嬉しかったです。
優勝者が語る、畳作りの裏側と「見えない技術」

この優勝は、大会当日の畳製作時間である2時間50分だけで決まったものではありません。 勝負は、大会の1年前から始まっていました。私は仕事が終わってから毎日最低2時間は練習を続け、自分の動きを動画で撮影しては、無駄な時間を徹底的に削っていきました。畳作りにおいて、余計な動きと道具を探す時間はすべて無駄。いかに効率よく、道具をすぐ手に取れるように配置するか。職人の世界では、これを「段取り」と呼びますが、この「段取り」こそが、時間制限のある競技では最も重要な要素でした。
大会当日、会場に入ってまず行ったのも、道具の配置確認です。競技会直前は、緊張で手足が震える感覚もありましたが、それ以上に頭の中は自分の動きのシミュレーションでいっぱいでした。
競技が始まると、会場は一斉にカンナやノコギリを削る音に包まれます。この音で、誰が速く、誰が遅れているのかが分かります。私は練習で培った圧倒的な速さで、誰よりも早く畳を仕上げていきました。
もちろん、ただ速ければ良いわけではありません。早く仕上げようと焦ると、寸法を間違えたり、糸を切ってしまったり、床落としで切り込んだりといった致命的なミスが生まれます。最高の畳を作るには、「速さ」と「正確さ」のバランスが不可欠です。
私は練習通り、普段の仕事通りと自分に言い聞かせながら、集中して畳と向き合い続けました。
大会で培った技術が、お客様に直接もたらすメリット

競技会で培われた「見えないところに使われる技術」は、お客様の畳にどのような価値をもたらすのでしょうか。
1. 隙間や段差のない、完璧なフィット感
競技会で最も厳しく評価されるのが、ミリ単位の寸法調整です。 これは、お客様のご自宅にある建物の歪みに合わせた、完璧な畳作りへと繋がります。畳と壁の間に隙間ができたり、畳と畳の間で段差ができたりすることがありません。
2. 圧倒的なスピードと効率
大会で培った「段取り」と「作業効率」は、お客様への納品時間にも直結します。 短時間で質の高い畳を納品できるため、お客様の貴重な時間を無駄にすることなく、日常生活への影響を最小限に抑えます。
3. 長く使える、高い耐久性
競技会では、見た目の美しさだけでなく、耐久性(主に糸の締り具合など)も評価されます。 見えない部分の縫製技術や、力の加わる隅と框(かまち)の補強技術は、お客様の畳を長持ちさせ、美しい状態を保つことに繋がります。
信頼できる畳屋を見極めるために
「一級畳製作技能士」という国家資格や、今回の「京都畳技術競技大会」での優勝は、畳職人が持つ技術の「証明」です。
私がこの競技会で得た経験と、そこで認められた技術は、単なるトロフィーではありません。それは、樋口畳商店がお客様へ最高の品質と信頼をお届けするための約束です。
もし畳のことでお悩みでしたら、お気軽にご相談ください。私が競技会で培った技術で、お客様に心から喜んでいただける畳をお作りします。
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最後に
話題は変わりますが、私は小学生から高校三年の夏まで野球をやっていました。甲子園には行けなかったですが、仲間達と過ごしたあの時間は何年経っても大切な思い出です。
今回、ブログタイトルに「甲子園」という言葉が入っています。最近、私は時短のためにAIにブログ記事を書いてもらっているのですが、この甲子園という文字の導入には不満があります。
甲子園に行くために小学校、中学校、高校とどれだけ努力してきたか。何もかも犠牲にして、毎日砂まみれになりながら白球を追いかけたことか。それでも甲子園の土は踏めない。そんな高校球児が山のようにいるのが甲子園という舞台です。正直言って甲子園と比べるのは烏滸がましいと感じています。
じゃあ投稿するなよって話なのですが、プロではないアマチュアの全国大会で、わかりやすい比喩だと甲子園が一番適切なのも理解できます。(ブログタイトルはSEOなどを意識して選んでもらっています)
もし私と同じ気持ちで甲子園という言葉に対して嫌な気持ちを抱いた方にはごめんなさい。甲子園を軽視する意図はないことを理解してください。