【一級畳製作技能士が解説】畳縁の選び方|色・柄・素材で空間が変わる!

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樋口 裕介(ひぐち・ゆうすけ)
一級畳製作技能士/樋口畳商店 代表
京都市にある黄綬褒章を受章した現代の名工の店「沢辺畳店株式会社」で修業後、東京都江戸川区にて樋口畳商店を独立開業。
京都畳競技会 京都府知事賞優勝/国家資格 一級畳製作技能士 取得。
東京都江戸川区の神社仏閣から一般住宅、お茶室や屋形船、ゲストハウスまで幅広い施工実績。

こんにちは、樋口畳商店の樋口裕介です。

今回は、お部屋の印象を大きく左右する「畳縁(たたみべり)」の選び方について、一級畳製作技能士がプロの目線で詳しくご紹介します。


1. 畳縁とは?意外と知られていない役割と歴史

畳縁とは、畳の長手方向に付けられている布状の縁飾りのことです。
畳の角の摩耗を防ぐ「補強」と、空間の印象を決める「装飾」の2つの役割があります。

実は畳縁には歴史的な背景もあり、平安時代には格式を表す役割がありました。

繧繝(うんげん)縁

お雛様人形などの台にも似たような畳縁が使われていると思いますが、これは繧繝縁と言い、皇族が使うことを許されている畳縁になります。

繧繝縁以外にも高麗縁(一般的には紋縁と呼ばれる)など高貴な貴族や身分、位の高い人に許された畳縁なども存在します。

現代でもその名残は残っていて、天皇陛下の儀式の際には繧繝縁を用いた「八重畳」や「おしとね」など御神座が使われています。

一般的にはお寺さんや神社に行けば高麗縁は見られますので、もしご興味ある方はぜひ畳縁も覗いてみてください。

※余談ですが、格式の高い畳縁を一般のお客様に使うと怒る畳職人が多いです。特に文化財系の畳職人はものすごく怒ってきます。しかし、格式の高い畳縁なんて仕事でも滅多に使いません。需要がなければ供給も減っていくのが世の常です。私個人の意見ですが、格式の高い縁こそどんどん使うべきだと考えます。格式の高い縁が無くなれば、それこそ文化保存ができないですから。未来の為にも繧繝縁、高麗縁は格式関係なく使うべきです。


2. 畳縁の素材と種類

畳縁には主に以下のような素材があります。

素材特徴と用途例
綿昔ながらの自然素材。柔らかく手触りが良い。伝統的な和室向き。
ポリエステル、ポリプロピレン、ポリエチレン色あせに強く、デザインも豊富。現代的な住宅や公共施設に人気。
麻混通気性が良く、上質な風合い。茶室など格式高い空間に最適。

素材によって価格や耐久性が異なるため、用途やライフスタイルに合わせて選ぶことが大切です。

純綿縁

畳と言えば純綿縁と言われるくらい使われ続けている畳縁です。昔ながらの和室に相性抜群です。肌さわりは滑らかで、ねっ転がる時に肌に触れても不快感がありません。昔は黒と茶色、群青色ぐらいしかありませんでしたが、現在ではウグイス色や赤茶色など多様な色も出ています。

純綿縁のデメリットとしては、耐久性が低いこと。色が焼けやすいこと。汚れやすいことです。自然の素材なので仕方ない部分はありますが、それでも国産い草の畳と言えば純綿縁だと私は思います。

化学繊維(ポリエステル、ポリプロピレン、ポリエチレン)

少し前まで、畳において畳縁は脇役的存在でした。しかし、最近の畳縁は驚くべき進化を遂げています。多様な柄や多彩な色、日焼けもしにくく、汚れにくい。耐久性も高い。

お部屋のイメージを大きく左右する主役的存在と言っても過言ではないくらいに印象が強いものになりました。デメリットは触り心地が化学繊維そのものな感じ。別に気にならない方は大丈夫ですが、純綿縁になれていると違和感が残ることも。

麻縁

畳縁の最高級品である麻縁は迎賓館やお茶室などに使われています。もちろん一般家庭でも使うことはできますが、お値段は普通の畳縁の3倍くらいします。

麻縁の特徴は自然な風合い。若干の硬さと麻のゴワゴワ感はあるものの、夏でも涼しく肌さわりは気持ちいいです。

樋口畳商店では折りたためる畳マットレスで北山麻縁を使用して作っています。お客様からも大変人気で喜ばれております。


3. 畳縁の色と柄の選び方

畳縁のデザインは年々進化しており、以下のような系統から選ぶことができます。

  • 伝統柄:青海波、亀甲、麻の葉など。和室らしい落ち着いた印象に。和柄には風水的な意味もあります。
  • モダン柄:無地・チェック・ストライプなど。洋風のインテリアとも相性◎。
  • キャラクター柄:子ども部屋向けのかわいいデザインも登場。

🌟ポイント:

  • 茶室や格式ある和室 → 無地または伝統柄(落ち着いた色味)
  • 家族が集まるリビング → 柄物やカラー系で個性を演出
  • 子ども部屋や保育施設 → 明るく元気なデザインで安全性も重視

伝統的な和柄には風水的な意味もあります。例えば、麻の葉であれば邪気退散、青海波であれば平和が長く続きますようにとの願いが込められています。

家族の幸せを願って畳縁の柄模様を選ぶのもおすすめです。


4. 実例紹介|畳縁でお部屋の空間が変わる!

畳縁:八千代No.62
柄:赤色の千鳥格子
特徴:赤と白を基準にした千鳥格子。綿と化学繊維を混ぜて編まれた畳縁なので肌さわりが優しい。

畳縁:331和柄縁 麻の葉もも
柄:ピンク色の麻の葉
特徴:和柄模様でも人気の高い麻の葉を使い、ピンク色のおしゃれなデザインに仕上がっています。

畳縁:八千代No.42
柄:青色の青海波
特徴:波模様が美しい

畳縁:HANA香織Ⅱ No.20桜
柄:桜柄が施された灰桜色
特徴:日本固有の桜模様と和室に馴染む灰桜色の畳縁。化学繊維で作られているので、汚れにも強く耐久性もあります。樋口畳商店では一番人気の高い畳縁になっています。

畳縁:絢爛No.200
柄:菱形の模様が施された赤色の畳縁
特徴:格式が最も高い繧繝縁をモチーフに製作された畳縁。和室に敷くと畳縁の主張が強いですが、畳ベットや畳マットレスに使うと平安時代を感じるようなデザインです。樋口畳商店のオリジナル畳マットレスでは一番人気の畳縁になります。

視覚的な変化だけでなく、空間全体の「格」が上がるのが畳縁の力です。


5. 畳縁選びの注意点とQ&A

Q:畳縁は変えられますか?

→ もちろんです。樋口畳商店では人気おすすめの畳縁32選をご紹介しております。

他にも100種類以上から畳縁を選べます。
畳縁Webカタログはこちら:https://ohmiyaberi.co.jp/works_category/item_name/

※畳縁によって値段が違います。商品名をお伝え頂ければ料金をお伝え致します。

Q:畳縁はどれくらい持ちますか?

→ 素材と使用頻度によりますが、一般家庭なら10年〜15年程度が目安です。表替えと一緒に取り替えるのが一般的です。

Q:柄選びで失敗しないコツは?

→ 壁紙・家具とのバランスを考慮しましょう。サンプルを床に置いて比べるのがおすすめです。天然い草を選んだ場合、日に焼けて畳の色が緑色から黄色に変化することも留意してください。


6. 樋口畳商店が選ばれる理由

  • 一級畳製作技能士が直接ご提案・施工
  • 畳縁サンプルをお持ちして、実際のお部屋で色合わせが可能
  • LINEでの畳縁相談にも対応 → LINE登録はこちら

「お客様の空間にぴったりの畳縁を、一緒に選びましょう」


7. まとめ|畳縁で自分らしい空間を

畳縁は、畳の“ふち”にすぎないと思われがちですが、実は空間の印象を左右する重要なパーツです。
暮らしに合った色・柄・素材を選ぶことで、毎日の空間がもっと心地よくなります。

和モダン、シンプル、伝統的——あなたの理想の空間づくり、畳縁からはじめてみませんか?

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