
京都市にある黄綬褒章受章、現代の名工に選ばれている店「沢辺畳店株式会社」にて長年修業を積み、東京都江戸川区で独立。 京都畳競技会にて最高賞の「京都府知事賞」を受賞。神社仏閣や茶室、屋形船から一般住宅まで、1ミリの隙間も許さない「京都仕込み」の技術で江戸川区を中心に活動中。
- 📺 メディア出演:TOKYO MX「バラいろダンディ」畳職人として出演
- 🏫 地域活動:練馬工業高校にて畳の文化・技術に関する講演会講師を担当
東京都江戸川区中央にて、6畳の新畳工事を行いました。
今回使用した畳表は、ダイケンの**「カクテルフィットNo.17」と「ストリームNo.15」**です。
新しい畳に交換するだけなら、一見すると特別な工事には見えないかもしれません。
しかし今回の現場では、部屋の「寄せ」と呼ばれる木の部分に反りがありました。
畳は、ただ長方形に作れば部屋にぴったり納まるわけではありません。
特に築年数が経過した住宅では、建物の経年変化などによって、柱や敷居、寄せなどがわずかに動いていることがあります。
今回の施工では、反っている寄せの形状に合わせて畳の角度を調整し、できる限り隙間が目立たないように製作・施工しました。
畳職人の仕事の中でも、完成後には見えなくなってしまう部分です。
今回は、その施工方法について少し詳しくご紹介します。
江戸川区中央で6畳の新畳工事

今回の施工内容はこちらです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 施工場所 | 東京都江戸川区中央 |
| 工事内容 | 新畳6畳 |
| 畳表 | ダイケン カクテルフィットNo.17/ストリームNo.15 |
| 畳縁 | あり |
| 新畳 | 18,500円 × 6枚=111,000円 |
| 畳縁 | 500円 × 6枚=3,000円 |
| 古畳処分 | 2,000円 × 6枚=12,000円 |
| 諸経費 | 2,450円 |
| 税別合計 | 128,450円 |
| 税込総額 | 141,295円 |
※施工条件や材料価格などによって料金は変わる場合があります。現在の価格については、お見積もり時にご確認ください。
今回使用した畳表|ダイケン「カクテルフィット」と「ストリーム」
今回の新畳には、
ダイケン カクテルフィットNo.17
ダイケン ストリームNo.15
を使用しました。
天然い草の畳とは違った雰囲気を持つ、機械すき和紙を使用した畳表です。
今回の仕上がりをご覧いただくと、落ち着いた色合いが壁のブルーともよく合っています。
和室というと「緑色の畳」というイメージを持たれる方も多いと思いますが、現在はさまざまな色や織り方の畳表があります。
壁紙や建具、家具などに合わせて畳を選ぶことで、和室の印象を大きく変えることができます。
そして今回のような畳縁付きの一畳物でも、色の組み合わせによって現代的な和室に仕上げることができます。
今回の施工ポイントは「反った寄せ」
今回、畳職人として特に注意したのが寄せの反りです。
「寄せ」という言葉は、一般のお客様にはあまり馴染みがないと思います。
簡単にいうと、畳と壁の境目にある木の部分です。
通常、新しい畳を製作するときには、部屋を採寸して、その寸法に合わせて一枚一枚畳を作ります。
ところが、実際の住宅は完全な長方形とは限りません。
特に長年使われてきた住宅では、経年による建物の変化などによって、
- 柱がわずかに傾いている
- 敷居の位置がずれている
- 部屋の対角が違っている
- 寄せが反っている
といったことがあります。
そのため畳の採寸では、単純に「縦○cm、横○cm」を測るだけでは不十分な場合があります。
部屋そのもののクセを読み取って畳を作る必要があります。
今回も、まさにそのような現場でした。
寄せが外側へ反ると、普通に畳を作っただけでは隙間が見える
寄せの反りにも方向があります。
畳側へ内側に反っている場合もあれば、反対に外側へ逃げるように反っている場合もあります。
今回注意したのは、外側へ反っている部分です。
ここが畳施工では厄介です。
なぜなら、まっすぐな畳をそのまま入れても、寄せの中央部分などが畳から離れてしまうからです。
すると、
畳はきちんと入っているのに、壁際だけ隙間が空いているように見える
という状態になってしまいます。
畳だけを見れば寸法は間違っていません。
しかし、お客様から見れば、
「新しい畳なのに隙間がある」
となってしまいます。
ここが畳の難しいところです。
畳の角度を調整して、反った寄せに合わせる
では今回、どうやって納めたのか。
寄せの反りを確認したうえで、畳の角度を通常より少し強く落として製作しました。
まっすぐではない相手に対して、まっすぐな畳を当てるのではありません。
相手側の形状を読みながら、畳側もそれに合わせて調整します。
こうすることで、実際には寄せが反っていても、完成した状態では隙間が目立ちにくくなります。
ただし、単純に畳を大きく作ればいいわけではありません。
大きすぎれば畳が入らなくなりますし、無理に押し込めば畳表が浮いたり、畳そのものが変形したりする原因にもなります。
反対に小さく作りすぎれば、当然隙間ができます。
「入る寸法」と「きれいに見える寸法」の両方を考えながら調整する必要があります。
これは数字だけでは決められません。
実際の部屋を見て採寸し、これまでの施工経験をもとに判断していく部分です。
畳は「四角いものを作る仕事」ではありません
畳屋の仕事をしていると、お客様から、
「畳って全部同じ大きさじゃないんですか?」
と聞かれることがあります。
実は、ほとんどの場合そうではありません。
同じ6畳間でも、一枚一枚寸法が違うことがあります。
さらに築年数が経過した住宅になると、部屋そのものに歪みが出ていることも珍しくありません。
そのため、新畳を製作するときには実際の部屋を採寸し、その部屋に合わせて畳を作ります。
今回のように寄せが反っていれば、その形状まで考慮します。
以前、京都で町家の畳を施工していた頃も、まっすぐではない部屋を数多く経験しました。
古い建物では、
「図面上の寸法」ではなく「今そこにある部屋」に畳を合わせる。
という考え方が非常に重要になります。
これは新しい住宅でも基本的には同じです。
完成すると、職人の仕事は見えなくなる
今回の完成写真をご覧ください。
一見すると、普通に新しい畳がきれいに納まっているだけに見えると思います。
しかし、それでいいのです。
畳を納めたあとに、
「ここをこんなに加工しました」
と分かるようでは、かえって不自然です。
寄せが反っていても、部屋に歪みがあっても、完成したときにはできるだけ自然に見えるようにする。
何事もなかったように畳が納まっている状態を作ることも、畳職人の仕事の一つだと私は考えています。
今回も、寄せの状態を確認しながら調整したことで、写真のようにきれいに納めることができました。
ダイケン畳で和室の印象も大きく変わりました
今回使用したカクテルフィットNo.17とストリームNo.15は、一般的な天然い草の畳とは違った表情があります。
ブルー系の壁紙と明るい畳表の組み合わせによって、和室でありながら現代的な印象になりました。
「和室を残したいけれど、昔ながらの雰囲気にはしたくない」
という方にも、こうしたカラー畳は一つの選択肢になると思います。
畳は床材ですので、部屋の中でもかなり大きな面積を占めます。
そのため、畳の色や畳縁を変えるだけでも部屋全体の印象はかなり変わります。
江戸川区で新畳をご検討の方へ
樋口畳商店では、東京都江戸川区を中心に畳の表替え・新畳工事を行っています。
私は一級畳製作技能士として、京都での修業を含め、さまざまな住宅や和室の畳を施工してきました。
新しい畳を作るときに大切なのは、畳表や畳縁を選ぶことだけではありません。
今回のように、
寄せが反っている。
部屋が歪んでいる。
畳の厚みが場所によって違う。
既製の寸法ではきれいに納まらない。
こうした現場ごとの違いに、どのように対応するかも重要です。
建物は年月とともに変化します。
だからこそ、現在のお部屋をきちんと採寸し、その部屋に合わせて一枚一枚畳を製作します。
江戸川区中央をはじめ、江戸川区周辺で、
「古い和室なので新しい畳がきれいに入るか心配」
「壁際に隙間がある」
「畳が古くなったので新調したい」
「ダイケンのカラー畳を使ってみたい」
といったお悩みがありましたら、お気軽にご相談ください。
まとめ|反った寄せにも、部屋に合わせて畳を作る
今回の江戸川区中央での施工では、6畳の畳をダイケン「カクテルフィットNo.17」「ストリームNo.15」を使用して新調しました。
施工費用は、古畳処分・諸経費を含めて税込141,295円でした。
そして今回、特に重要だったのが反ってしまった寄せへの対応です。
畳は工場で同じ大きさのものを大量に作り、それを並べているだけではありません。
部屋を採寸し、歪みやクセを確認し、それぞれの部屋に合わせて作ります。
今回のように寄せが反っている場合には、その形状を考慮して畳の角度を調整することもあります。
完成後には見えなくなってしまう仕事です。
しかし、
「普通にきれいに納まっている」
その普通を作るために、採寸と加工があります。
これからも樋口畳商店では、材料だけではなく、こうした畳職人としての仕事を大切にしながら、一枚一枚の畳を製作していきます。
