京都は幽霊が出るってホント?京都で修業していた頃に体験した本当にあった怖い話

皆さん、こんにちは!京都で修業していた畳職人の樋口です。今回は私が京都で修業していた頃、実際に体験した怖い話を紹介します。

心霊話が好きな人に読んでもらいたい記事です。

京都は幽霊が出るってホント?京都にまつわる有名な怪談・心霊スポット

1. 一条戻橋(いちじょうもどりばし)

  • 場所:上京区堀川一条
  • 平安時代から「死者が生き返る橋」として知られる。
  • 陰陽師・安倍晴明の伝説や、葬送の列がここを通った際に死者が蘇ったという噂が残っている。

2. 六道の辻(ろくどうのつじ)

  • 場所:東山区松原通
  • この世とあの世の境目とされる場所。
  • お盆の時期には「六道まいり」という行事で、死者の霊を迎える人が多く訪れる。
  • 小野篁(おののたかむら)が閻魔大王に仕えるために通った「冥界への入口」ともいわれる。

3. 貴船神社(きふねじんじゃ)

  • 場所:左京区鞍馬
  • 「丑の刻参り(うしのときまいり)」の舞台として有名。
  • 丑三つ時に藁人形を五寸釘で打ち付け、強い恨みを込める儀式が行われたとされる。
  • その名残で、今でも夜の参拝はかなり不気味といわれる。

4. 清水寺の奥の院周辺

  • 場所:東山区清水
  • 観光地として有名だが、昔から「飛び降り自殺」が多かったスポット。
  • 夜には人影や声を見たという噂が絶えない。

5. 船岡山(ふなおかやま)

  • 場所:北区紫野
  • 平安京の風水的に重要な「鬼門」に位置する小高い山。
  • 古戦場でもあり、多くの武士が命を落とした地として怨念の噂が残っている。
  • 夜には足音や人影を見たという体験談が多数。

6. 河原町や祇園に残る「幽霊アパート・幽霊マンション」の噂

  • 昔から「京都の古いアパートやマンションは曰く付きが多い」と地元ではよく囁かれる。
  • 特に鴨川沿いの建物や伏見周辺は怪談話が豊富。

※これから話すことは実際に私が体験した本当にあった話です。「怖い話」と書きましたが、テレビのように誇張していないので、それほど怖くないかもしれません。ただ、実際に体験した私はとても不思議な体験をしたと思っています。

京都で修業していた頃に体験した本当にあった怖い話「清滝トンネル」

これは私が二十歳くらいの頃の話。

友達数人で夜の京都をドライブしていた。女の子もいたので、会話は盛り上がり京都有数の心霊スポットに行こうという話になった。その心霊スポットとは「清滝トンネル」。嵐山より北に上がった場所にある暗がりのトンネルである。

男友達の一人が清滝トンネルに纏わる噂話を始めた。

「清滝トンネルの真ん中でクラクションを三回鳴らすと、上から女が落ちてくるってウワサ知ってる?ある晩に、その噂が本当かどうか確かめに行った奴らがいたんだって。そんで、そいつらさぁ、トンネルの真ん中に行って、クラクションを三回鳴らしたらしいのよ。」

「女の人落ちてきたの?」前に座っていた女の子が食い気味に質問する。

「いや。落ちてこなかったんだって」

「なんだ」

「でもその話には続きがあって。デマかと思ってそいつら帰ったらしいんだけど。帰り道の途中で、後続車のタクシーに前照灯を点滅されて、クラクションを鳴らされる嫌がらせを受けたんだって。そいつらは喧嘩を売られたと思ったんだろうな。車を端に止め外に出て、タクシーの運転手をシバこうとしたら、運ちゃんが何か叫んでたらしいのよ。そいつらも様子がおかしいのに気がついて、何だ?と思い、運ちゃんに駆け寄って事情を聞くと、そいつらが乗っていた車の屋根の上に女性が乗ってしがみ付いていたんだって。」

皆んなヒィヒィ言っていた。私は正直、全部作り話だろと思った。お化けの存在を信じていないわけではないが、こういった怪談話に否定的なのは嘘くさいからだ。特に「トンネルの真ん中でクラクション三回」という点。なぜにどこもかしこも怪談話は、トイレの花子さんと同じような呼び出し方なのか疑問を覚える。

例えば、シュークリームを置いて霊を呼び寄せるとか、幽霊に「ブス」とか「バ〜カ」などの暴言を吐くとか、他にも方法はあるだろう。なんで三回やねん。馬鹿馬鹿しいと思った。

技術の発達と同時に、心霊番組が減少した理由もリアリティの欠如が一因だと思う。私たちミレニアル世代は中途半端な創作物語では満足できない。私は横を向き、もたれ掛かりながら後部座席の窓に目を向ける。

西院を通り過ぎた辺りから電燈が少なくなり、四条通りは闇夜に包まれている。車道には車が何台か止まっているが、誰も乗っていない。きっと西院近くに住む友達の家に泊まりに来た奴らが違法駐車しているのだろう。あれ邪魔だからやめてほしい。

天神川通りを北に上がり、丸太町通りを西に進む。清滝道を右折し、ただひたすら真っ直ぐに進む。仕事で何回か来たことがある見慣れた景色だが、夜になると別世界に来たかのように昼間とは全く違う色を魅せる。

もう怖いと隣に座る女の子が言う。みんなも彼女に同調する。

この道は日が照っていなければ薄気味悪さはない。別にどことも変わらない普通の道だ。人間は昔から暗闇を恐れて生きてきた。だから光源を求めて火を焚き、暗闇の中の光に安堵した。暗闇が怖いのは幽霊のせいではなく、人間の性。

きっと何も起こらない。私は一人冷めた空気で外を見ていた。


これまでの景色との違いに気づいたのは、少し進んでからのことだ。

動物も人間もいないはずなのに、どこか殺伐とした異様な気配。闇と同居する深い緑の壁に囲まれ、逃げ場のない道を彷徨っている気がした。

車内が急に静かになる。車のエンジン音と風の声しか聞こえない。なぜ誰も言葉を発しないのか。隣を見ると、さっきまであれだけ煩かった女の子も黙って助手席にしがみ付いていた。

車の速度が落ちたのと同時に私は正面を向いた。目の前には一本の道。信号機は一つしかない。これが京都有数の心霊スポット「清滝トンネル」。

噂好きの友達が言う。

「清滝トンネルの信号が青信号の時って霊に呼ばれてるんだって」

信号は青だった。後ろに後続車はない。止まることもできるが、運転手はアクセルを踏んだ。私たちを乗せた車は吸い込まれるようにトンネルの中に入っていく。

外界は真っ暗。天井には橙色の蛍光灯が薄暗い光を照らしている。車の中にいることが嘘のようである。轟音が轟く。人の悲鳴にも似た空気を切り裂く音が耳を刺激する。ただならぬ雰囲気に息を吸うこと、吐くことを躊躇うような緊張感が襲った。後部座席の車窓からは、窓に写った自分の顔だけが見える。途中、何か赤い照明的なものが見えたが、それでさえも霊的現象のように思えて心を不安にさせた。得体の知れない何かを感じる。極度の緊張感、情景、不協和音。おそらく、これらが合わさり重なりあい生み出される感情こそが恐怖なのだろう。今、私は恐怖の中にいる。

トンネルの滞在時間は長かったが、正面を向くと先の方に光が見えた。それから徐々に光は大きくなっていき、気がつくとトンネルから抜け出すことができた。その瞬間、みんなが一斉に「こわかった」と口にした。先程までうるさいと感じていた女の子たちの嘆声だったが、その声を聞いて不思議と安堵した。車はトンネルを出て数十メートル進んだところで停車した。

すると運転手が語り掛ける。

「どうする?もう一回トンネルの中に入って、真ん中ら辺でクラクション鳴らしてみる?」

皆んなが反対し、彼の意見は却下となった。

清滝トンネルには二つの帰り道がある。一つはUターンして、またトンネルの中を通って帰るルートと、トンネルを出た先右側にある一方通行の峠を上り、回り道をする形で帰るルートの二つ。私はどちらでも良かったが、みんなはトンネルを通らないルートを選択した。

一方通行の峠を上り、高い壁に囲まれた平面を走る。車の中は騒がしくなる。みんなの緊張も完全に解れたのか、またうるさいドライブに逆戻りした。

峠を下ると、車は清滝トンネルの入口に戻ってきた。真っ暗なトンネルが目に入る。今見ても確かに薄気味悪い。あまりトンネルの方を見たくなかったが、勝手に視線がむく。これが怖いもの見たさというものなのか。

「帰ろうぜ」

車は少しずつ速度を上げて暗がりのトンネルから遠ざかって行く。

それからは何事もなく、友人一人一人を家まで送って解散した。結局終わってみれば、何もない、心霊現象は何も起こらなかった。

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次の日の夜、布団に入って眠りにつくと不思議な夢をみた。

どこかのトンネルに入って、峠を登り、平面を走って峠を下る。そしたらまたトンネルに入る。これを繰り返している。何周かループすると私の右の耳元で「クチャクチャ」とガムを噛んでいるかのような不快な音と、何を言っているのか聞こえない程の小声で呟かれた。左耳は「キーン」と耳鳴りがしている。

いつの間にか夢から醒めて意識が戻った。だが、身体は何かに締め付けられているようで動かない。目も開くことができない。金縛りだ。

誰かが私の上を跨いでいる感覚がある。さらに近い距離感で視線を感じた。ただ、恐怖というのは不思議となかった。それより体が締め付けられて窮屈であったのが辛く、早くそちらを解放して欲しいと思った。

このような状態になって、どれくらいの時間が流れたのだろうか。何分経ったか、何十分経ったかわからないが僕に跨いでいた誰かが消え、クチャクチャの呟きと耳鳴りもほぼ同時に消えていった。金縛りも徐々に解けて、数分後に私の身体は完全に解放された。

私はすぐに体を起こして周りを見渡した後、ネットで「金縛り」を調べながら必死で頭の整理しようとした。ネットの情報によれば金縛りは霊的現象ではなく、体の疲れによるものらしい。

では、跨っていた存在は?クチャクチャの音は?耳鳴りは?それらも全て精神的ストレスと疲労が溜まっていただけ?

薄気味悪さはあったが、布団を掛け再び眠りに就こうとした。

私にはもう一つだけ気になることがある。それは金縛りになる前に見ていた「夢」のことだ。夢に出てきたトンネルは間違いなく清滝トンネルだった。両壁に囲まれ一本の道、仄暗い不気味なトンネル。私は清滝トンネルと峠をひたすら走っていた。

ただ、不思議だったことが二つある。それは私が運転手だったこと、もう一つはなぜか逆回りだったことだ。あの日私は運転していない。それにトンネルに入って、右の一方通行の峠を登って、元の位置に戻ってきた。

しかし、私が見た夢はその逆。トンネルの入り口から出て左に行き、峠を登ってトンネルの出口に戻ってきたのだ。私は逆回りの風景を見てない。しかも私は正面ばかりを向いていたわけではなく、後部座席の車窓を眺めていた。運転席の眺める風景を知らない。

見ていない景色をどうやって夢で見ることができるのか?

疑問と恐怖でその夜は寝ることができなかった。あれから何年も経つが、あのような夢は見てない。あのような金縛りもない。ただ、疲れていただけなのかもしれないが、とても不思議な体験だったと今では思う。

最後に

いかがだったでしょうか。お化けが出てくるわけではないので怖くはないかもしれないですが、本当に不思議な体験でした。夢は海馬の情報処理で出てくるバラバラなピースを繋ぎ合わせた映像だと科学的にわかっています。もしかしたら私の見た夢も色々なトンネルの映像を繋ぎ合わせて清滝トンネルと思い込んだのかもしれません。

ただ、私東京生まれ、東京育ちなので、トンネルって通ったことないんですけど。

読んでいただきありがとうございました。

▽京都で修業していた頃の体験話はこちら:https://note.com/higu_yuu/n/nbd193d5c4a4a?sub_rt=share_pw

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