畳屋が絶対に選ばない安すぎる畳とは?一級畳製作技能士が価格だけで選ばない理由
この記事の監修・執筆者
一級畳製作技能士 樋口裕介
樋口 裕介 (ひぐち・ゆうすけ)
国家資格 一級畳製作技能士 樋口畳商店 代表

京都市にある黄綬褒章受章、現代の名工に選ばれている店「沢辺畳店株式会社」にて長年修業を積み、東京都江戸川区で独立。 京都畳競技会にて最高賞の「京都府知事賞」を受賞。神社仏閣や茶室、屋形船から一般住宅まで、1ミリの隙間も許さない「京都仕込み」の技術で江戸川区を中心に活動中。

  • 📺 メディア出演:TOKYO MX「バラいろダンディ」畳職人として出演
  • 🏫 地域活動:練馬工業高校にて畳の文化・技術に関する講演会講師を担当
一級畳製作技能士 資格証
国家資格証
京都府知事賞 優勝トロフィー
知事賞受賞
講演会の様子
講演実績

皆さまこんにちは。

東京都江戸川区の樋口畳商店、代表の樋口裕介です。

私は京都で6年間修業し、一級畳製作技能士として多くの畳替えを行ってきました。

お客様から、

「一番安い畳でお願いします。」

と言われることがあります。

もちろん、ご予算に合わせたご提案はします。

しかし、私自身が自宅では絶対に使わない畳があります。

今回は、現役の畳職人だからこそ分かる「安すぎる畳」について、本音でお話しします。


安い畳には理由があります

最初にお伝えしたいのは、

安いことが悪いわけではありません。

どんな商品にも用途があります。

例えば、

  • 数年間だけ住む賃貸住宅
  • 建物を売却する予定
  • 使用頻度の少ない部屋

このような場合は、価格を重視した畳が選ばれることもあります。

一方で、

10年、15年と長く使いたいのであれば、

価格だけで選ぶと後悔することがあります。


私が勧めない畳表「チャボ」

まず一つ目は、

2×2(チャボ)

と呼ばれる畳表です。

※ここに普通の畳表とチャボを並べた写真

一般のお客様は初めて聞く名前かもしれません。

チャボとは、

い草の本数を極端に少なくして織った畳表です。

材料が少ないため価格は安くなります。

しかし、その分だけ耐久性も下がります。


摩擦に弱く、い草がすぐ抜ける

チャボは摩擦に非常に弱く、

歩くだけでも

い草が擦り切れ、

靴下や衣服に細かない草が付着することがあります。

※ここに擦り切れたチャボの写真

もちろん、

丁寧に使えば多少は長持ちします。

しかし、

通常の畳表と比べると寿命は短く、

私は一般住宅にはほとんど勧めません。

実際、

私自身の家でも使うことはありません。


なぜ販売されているの?

「そんな畳なら、なぜ売っているの?」

と思う方もいるでしょう。

実は、

公共住宅や短期間だけ使用する建物など、

価格を最優先する現場では一定の需要があります。

用途が合えば問題ありません。

しかし、

毎日生活する住宅では、

私はおすすめしません。


次に勧めないのが25ミリの2型ボード

もう一つあります。

それが

25ミリの2型ボードです。

※ここに55ミリと25ミリの比較写真

畳は、

基本的に畳床が厚いほど丈夫になります。

もちろん材料にもよりますが、

藁床は特に耐久性が高く、

何十年も使用されることがあります。


なぜ薄い畳が増えたの?

最近は、

マンションやリフォームで

薄い畳が使われることが増えました。

これは住宅事情によるものなので、

薄い畳そのものが悪いわけではありません。

しかし、

軽量化だけを目的にした

25ミリの2型ボードになると話は変わります。


厚みは半分、耐久性も大きく変わる

一般的な畳床は

約50〜55ミリあります。

一方、

25ミリはその半分です。

人が歩くたび、

体重は畳床に掛かります。

毎日その負荷が積み重なることで、

数年後には

へこみ

ゆがみ

ベコベコ

になることがあります。

※ここに傷んだ畳床の写真

もちろん使用状況によります。

しかし、

10年以上快適に使いたいのであれば、

私は選びません。


実は海外では25ミリを使っています

ここまで読むと、

「あれ?」

と思う方もいるでしょう。

実は私は、

海外へ畳を輸出するときには

25ミリの2型ボードを使っています。

「矛盾してるじゃないか。」

そう思われるかもしれません。


理由は送料です

海外発送では、

重量が送料に大きく影響します。

55ミリの畳を送ると、

送料だけで何万円も変わることがあります。

そのため、

軽量な25ミリを採用しています。

ただし、

そのままでは耐久性に不安があります。

そこで、

樋口畳商店では

柔道用フェルトクッションを縫い付け、

耐久性を高めています。

※ここにフェルトを縫い付けた写真

この加工によって、

海外でも安心して長く使える仕様にしています。

「軽いから使う」

のではなく、

「弱点を理解した上で補強して使う」

これが職人として大切だと考えています。


私ならこんな選び方をします

安い畳でも十分なケース

  • 数年で引っ越す予定
  • 賃貸住宅
  • 売却予定
  • 使用頻度が少ない部屋

長く使うならおすすめしないケース

  • 子育て世帯
  • 毎日使うリビング
  • 寝室
  • 10年以上使用したい
  • 和室でゴロゴロしたい

長期間使用するのであれば、

初期費用だけでなく、

耐久性まで考えた方が、

結果的には経済的になることもあります。


私が大切にしていること

私は、

「一番高い畳を売りたい」

とは思っていません。

本当に大切なのは、

お客様の生活に合った畳を選ぶことです。

だからこそ、

私自身が使いたくない材料は、

一般のお客様にも積極的にはおすすめしません。

価格だけを見ると安く感じても、

数年後に

「もう傷んでしまった」

となれば、

結局高い買い物になってしまいます。

畳は毎日使うものです。

だからこそ、

値段だけではなく、

「なぜその価格なのか」

まで知ったうえで選んでいただきたいと思っています。

江戸川区に根差し、地域に寄り添う畳店

一級技能士の店主が直接お伺いし、
あなたの大切な畳を診断・施工いたします。

表替え 4,000円〜 (税込4,400円〜)

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