もしも職人は必要ない!と言うと・・・・。
ふざけんな〜((((;゚Д゚)))))))
職人足りてねぇーんだ。何いってんだボケカス:(;゙゚'ω゚'):
と熱り立つ言葉が返ってくることでしょう。
実際建設や建築現場では職人の人手不足で現場は回らず、困る元請け会社が続出しています。
とはいえ従業員を募集しても厳しい現場仕事。長続きする若い人は少なく辞めてしまう人も多いです。
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国としては打開策として、外国人の働き手を増やす政策をしようとしていますが、海外の移民問題とも繋がり懸念が拭えないところです。
元々長い間、鎖国していた国ですから致し方ないのかなと思います。
ですが、もう一つ国として力を入れていることがあります。
最先端テクノロジーの分野です。とは言っても日本は他国に比べてめちゃくちゃ遅れていると言われています。
特に最近話題のAI(人工知能)などはアメリカや中国に何周も遅れをとっていると東京大学准教授の松尾豊氏は言います。
とはいえロボット・機械分野に関して日本の技術力は世界でもトップクラス。
経済産業省は「ロボット介護機器開発・標準化事業」に11億円の予算をあて介護ロボットの市場を勝ち取ろうとしています。
少し話がそれてしまいましたが、最先端テクノロジーの部門に力を入れ少子高齢化社会を乗り切ろうとしているわけです。
言い方を変えれば、中長期的に考えた時、労働人口が減ってもインフラ整備、跡継ぎがいなくても伝統産業の生産が行える仕組みづくりに力を入れている。ことになります。
少し遠い未来かもしれませんが、職人がいらなくなる可能性は十分にあるんです。
前置きがだいぶ長くなってしまいましたが、この記事では過渡期を迎えた職人の業界でどうアップデートしていくかについて書いていきたいと思います。
職人という仕事
みなさんは今の仕事が好きですか?
大嫌いです(ㆀ˘・з・˘)
って答える人が多いと思いますが(笑)
職人で「仕事が嫌い」だと言う人はあまりいないと感じます。
え〜嘘でしょ!って思うかもしれませんが、本当です。
現場でお会いする職人は皆活き活きと働く人ばかり。
中にはイライラしてる人もいますが・・・。
これは感覚的な話ですが、おそらく「好き」と答える人が多数派じゃないかなと思います。
というのも飲み会の席で職人さんと話すことは、どこの現場の仕事をしたとか、自分の技術自慢や体力自慢。
自分の仕事を誇りに思っている証拠でしょう。
ちなみに私も同類。
わたしも自分の仕事が大好きだから起業までしちゃったわけです。
もっと良い物作って畳の価値観を変えたい!ってね。
これは、ものづくり全てに共有できることかもしれませんが、物を作るっていうのは楽しいもんなんです。
ものづくりの楽しさ
ものづくりの楽しさは一言でいえば”自己満足”です。
「どこまでも美しさを追求したい」といった自分の欲求を満たす為に作るのです。
それは誰かに認められたいといった承認欲求ではありません。
ただ、私のようにまだ歳が若いと腕がないと思われる可能性もあるので技術誇示のため、作業工程の説明をしたりはします。
でも自己満足がいき過ぎると生産性の低下を招き、仕事的にマイナスになってしまうので注意が必要なんです。
それともう一つ。危険と隣り合わせだから凄く集中するんです。
皆さんも小学校の図工の授業を思い出してください。
ペットボトルを使って何か作るにしても、紙を折って何か作るにしても先生から「刃物(ハサミ)を使って危険だから遊ばずに真剣にやるように」と指導を受けたと思います。
自分で折ったり、貼ったり、切ったり、刺したり、どれも怪我をする可能性があるため、人間の危機管理が集中力を呼び出してくれるのです。
集中する=楽しいわけです。
良い仕事ですよ。ものづくりって。
日本における芸術の始まり
wekiより引用
ちょっとここで芸術の話をしたいと思います。
なんで?芸術?と思うかもしれませんが、これからの話に必要になってくることなので簡単に説明させてください。
我々、人間は物を作って生きてきました。
始めは生きる為の道具。
頭が賢くなると、あると便利なものを作り出します。例えば石器とかですね。
石を使って獲物を捕らえたり、切ったり、乗せたり色々な使い方に応用されました。
それから時が過ぎ、次第にアート的な作品を生み出します。縄文土器です。
縄文土器は日本列島が唯一大陸からの影響を受けずに作られた作品と言われています。
また、もう一つ有名なのが土偶です。
土偶は精霊を表現したと言われ、信仰の対象?として作られました。
ところが、弥生時代になると大陸から金属器などが輸入され、縄文土器や土偶の創作が減少してしまいます。
そして弥生土器の新しい時代に突入すると荒々しいかった縄文土器とは違い、洗練された温和な土器になっていきます。
また、この時代の頃に描いたであろう絵画っぽいものも見つかっており、日本のアートの始まりなのではと言われています。
飛鳥時代になると、仏教が伝来したことにより、仏像を始めとした宗教的なモニュメントが作られます。
平安時代には権力を表すための創作物といった豪華で芸術的な作品が次第に増えていきます。
とこのように簡単ではありますが、日本の芸術の始まりではないかと言われていることをご紹介しました。
職人と芸術家の違い
次に職人と芸術家の違いについて触れたいと思います。
とはいえ、海外(特にヨーロッパ)では職人と芸術家が明確に分けられているわけではありません。
それは言語からもわかる通りです。
職人のことはアルチザン。芸術家のことはアーティスト。
イントネーションが似ているだけでなく。どちらも元々は同じ枠内であり、時代が進むにつれて分かれていきました。
分かれていったとはいえ、基本的には職人は芸術家と近い存在として話されるとのことです。
では、日本ではどうでしょうか。
日本では職人と芸術家は全く違う業種として話されます。
職人の作る物は実用性に重きをおき、芸術家の作る物は独創性に重きをおく。
大まかにこのような違いがあります。
芸術家は天才的な才能があって出来る職業で、職人はお客様からのヒヤリングと努力で創り上げていく職業なんて言い方もできますし。
また別の言い方をすれば、人に使ってもらって価値が生まれるモノと人に見てもらって価値が生まれるモノの違いと言われることもあります。
どちらにせよ、日本では職人に対して芸術的な仕事と表現することはありませんし、芸術家に対して職人的な仕事という事はありません。
もし言うケースがあった場合、それは批判的な意味だと思ってもらって構わないと思います。
ただし、これまでは・・・ですが。
職人をアップデートする
さて、本題に移りたいと思います。
冒頭でお伝えしたAI・ビックデータ・ロボット・量子コンピューターなどテクノロジーの進歩は、間違いなく我々の生活を変えていきます。
生活だけでなく仕事のあり方も同様にです。
では、職人の世界はどう変化するのでしょう。
人工知能により設計した物を機械が作る。
産業革命以降、物を生産するには機械が絶対的に必要になりました。
さらなる資本の増殖を求めた企業は物を大量生産する為に機械化に取り組みます。
その結果「機械無くして大量生産はもとより物の生産でさえ考えられない」現状にしてしまったのです。
AIや高性能な機械はそこに拍車をかけ、職人を必要としないスタイルを形成していくことでしょう。
AIが物の設計図を書き、計算し、高性能な機械が生産し、出荷する。
この工程に職人を含めた人間は一切必要ありません。
この目的は産業革命以降の現状と同じように人件費を削減し、経費を抑え、生産性を向上するためのもの。
もっといえば資本の増殖こそが目的です。
と、ここまでの話だと進歩主義の否定、資本主義の否定をしているように感じると思いますが、そんなつもりはありませんよ(笑)
グローバル社会になり、競争が激化した日本で企業が勝ち残っていく為には資本を増殖するのは当然だと思いますし、テクノロジーの進歩は良質な物を安く提供できるので貧困層にも使ってもらえるなど社会的にみたメリットも沢山あります。
むしろ、これから変わらなくてはいけないのは職人の方なのです。
変わるというかバージョンアップですね。
その一つが、私たちの取り組んでいる職人のアーティスト化です。
まず職人のアーティスト化には二つのポイントがあります。
職人によるクリエイティブな作品
職人よ!芸術家になれ!
とそんなことをお伝えしたいわけではなく(笑)
職人の方にもっと自由な発想でものづくりを考えてもらいたいのです。
先述のとおり、職人は実用性に重きをおき物を作っています。
ですが、安くて実用性のある物なんてこの世の中溢れてしまっている。
職人と機械との差別化をしていくためには実用性というより独創的なデザインが必要になってくると考えます。
とはいえ使ってすぐにボロが出たら話になりませんが。
では、独創的なデザインはどこから生まれるのか。です。
私が日本の芸術の歴史を紹介した意図はここにあります。
人間のアウトプットは神様からの贈り物ではなく過去の人物からの贈り物である。
って誰が言ったか忘れましたが、このような言葉があります。
確かにアウトプットはインプットがあって初めて生まれるもの。
何かの拍子に閃いた!ことでも、前に見たアート作品が影響している可能性は十分にありえます。
つまり、独創的なデザインをアウトプットしたかったら過去を調べれば何か良いイメージが生まれるのではという論理です。
職人による施工工程をエンターテイメントとして提供する
何でこんなに高いの?
違いってなに?
昔、あるお客様に言われた言葉です。
皆さんも一度は想ったことがないですか。
例えば、畳でチラシ業者の値段と地域の畳屋さんの値段に大きな違いがあった時、「高い!なにがそんなに違うの?」って。
そんなこと聞かれても職人さんなので、口で上手く説明できなかったりします。
私たち職人の仕事は言葉で説明するより、お客様に直接見せた方が早いのです。
また、物珍しいものに人は集まってきます。
人の家で畳を縫うは30〜40年前は一般的な光景でした。
しかし、機械の性能の向上に伴い、出仕事をする畳職人はほとんどいなくなりました。
ほとんどいなくなったということはチャンスなんです。
いないならやりまくったらいい。
お歳を召した方には懐かしくて、若い人には面白いエンターテイメントなんです。
これは私の経験談からの話。
私は25歳という年齢で畳業を起業しました。
起業当初は信頼をデザインすることが難しいと感じ、行き詰まっていました。
そこで人の家で畳を縫うことにしたのです。
腕を見せれば納得してくれるのではないか。そんな淡い期待からです。
埃が立たぬよう養生をし、台や道具をセットして工事を始めました。
思いのほかお客様は凄く喜んでくれて、別のお客様をその場で呼んで紹介して下さったのです。
これだ!と確信しました。
若い青二才の私が畳業としてやっていくためにはこの方法しかないと思い、今も続けて行なっていることです。
ただ、家で作業するのは嫌がるお客様もいらっしゃいますので注意が必要です。
最後に
いかがだったでしょう。
今回の記事の題名にもした「職人をアップデートする」という言葉。
アップデートとはソフトウェアを最新のものに更新することを意味しています。
つまり職人を最新のものに更新しようという意味でこの言葉を使いました。
当ブログでは何度も言っていることですが、ただいま今過渡期を迎え、この過渡期をどう過ごすかが問われていると感じます。
古い業界である職人の業界をアップデートするにはバグが起きる可能性大ですが、プログラムを作り丁寧に浸透させていけば問題解決の糸口は掴めると思います。
というわけで今回は私が思うこれからの職人論についてお伝えしました。
読んでいただきありがとうございました。