
京都市の黄綬褒章受章店「沢辺畳店株式会社」にて長年修業を積み、東京都江戸川区で独立。 京都畳競技会にて最高賞の「京都府知事賞」を受賞。神社仏閣や茶室、屋形船から一般住宅まで、1ミリの隙間も許さない「京都仕込み」の技術で江戸川区を中心に活動中。
- 📺 メディア出演:TOKYO MX「バラいろダンディ」畳職人として出演
- 🏫 地域活動:練馬工業高校にて畳の文化・技術に関する講演会講師を担当
みなさまこんにちは、樋口畳商店の樋口です。
今回は、畳づくりの中でも非常に重要な基本技術でありながら、一般の方にはほとんど知られていない**「からくり(かがり)」**について解説します。
地味な作業に見えますが、実は**「畳の仕上がり」と「数年後の耐久性」を左右する、職人の腕の見せ所**でもあります。
まずは、実際の手裁きを動画でご覧ください。
Watch how traditional tatami craftsmanship works behind the scenes.
「からくり」とは何か:畳の寿命を延ばす“端止め”の技
「からくり」とは、畳表の縦糸(麻糸)を一目ずつ拾い、専用の糸で固定していく技術です。
なぜこの一手間が必要なのか。それは、単に見た目を整えるためだけではありません。 京都という、盆地特有の厳しい湿気と戦ってきた先人たちの知恵が凝縮されているのです。
■ 京都で発展した「湿気対策」としての合理性
京都の夏は非常に蒸し暑く、畳にカビが発生しやすい環境です。 一般的な施工では畳表を裏側に折り込みますが、そうすると端の部分に湿気がこもり、腐食の原因になることがあります。
そこで「からくり」を施し、畳表を畳床の面位置でピタリと固定します。
- 通気性の確保: 端を折り込まないため、風通しが良くなる。
- カビ・腐食の抑制: 湿気が逃げやすく、畳を清潔に保てる。
- 「裏返し」への配慮: 数年後のメンテナンス時、厚みを変えずに美しく仕上げられる。
👉 見えない部分ですが、10年後、20年後の畳の状態に決定的な差が出ます。
もう一つの効果:畳表を極限まで「締める」

「からくり」には、畳表にピンとした「張り」を持たせる役割もあります。 この一手間を加えることで:
- シワが出にくい: 経年による弛みを防ぐ。
- 美しさが長持ちする: 表面が均一に締まり、光沢が美しく出る。
修業時代、京間サイズ(大きいサイズ)を「5分以内(約300秒)」で仕上げろと厳しく指導されました。「遅い!それでは仕事にならん」と叱られた記憶は、今の私の基礎となっています。
海外向け・折りたたみ畳にも「からくり」が不可欠な理由

現在、私が手掛けている「海外発送用の折りたたみ畳」にも、この技術をフル活用しています。
薄くて軽い現代の畳は、実は**「反り」や「弛み」が出やすい**という難点があります。 一般的な安価な製品ではボンドや接着剤で固定しますが、それでは縦糸が抜けやすく、長くは持ちません。
私は、海外という厳しい環境で使われるからこそ、 👉 接着剤に頼らず「からくり」で一本ずつ糸を締めて固定します。 非常に手間はかかりますが、これが海外のお客様から「一生もの」と喜んでいただける理由の一つです。
まとめ:本物の仕事は「見えない部分」に宿る
畳の「からくり」は、単なる端処理ではありません。
- 日本の四季(湿気)への対策
- 長く愛用するための耐久性
- 職人としての美学
これらすべてが詰まった、畳づくりの原点です。 動画を通じて、少しでも「本物の職人技」を感じていただければ幸いです。
最後に
樋口畳商店では、一級技能士が「からくり」のような基礎工程から一切の妥協なく製作しています。
「長く、美しく使える畳」をお探しの方は、ぜひ江戸川区の樋口畳商店へご相談ください。国内の畳替えはもちろん、海外発送も心を込めて対応いたします。
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