畳製作一級技能士が解説する半帖縁なし畳の長所と短所

 

皆さん、こんにちは!畳製作一級技能士の樋口です。畳製作一級技能士が解説する半帖縁なし畳の長所と短所。

 

今、流行りの半帖縁なし畳。そのおしゃれなデザインが、若者と主婦たちの間で口コミで広まり、まさかの人気を博しています。

 

そんな半帖縁なし畳ですが、一部では施工後に不満の声もあるようで・・・。そこで今回は、畳製作一級技能士が解説する半帖縁なし畳の長所と短所を紹介します。

 

半帖縁なし畳にしたい!と思っている方の参考になれば嬉しいです。

半帖縁なし畳の長所

半帖縁なし畳の長所
・光の反射が美しい
・和室のイメージを変える
・洋室にもマッチするデザイン

 

 

光の反射が美しい

 

 

 

半帖縁なし畳の長所といえば、何と言っても光の反射が織りなす自然の美しさです。

 

通常の畳だと長方形であるため、光の反射をデザインとして取り入れるのには物足りなさを感じてしまいます。

 

半帖縁なし畳は約正方形である為、市松敷き(縦横の敷き方)にすることで光の反射を上手に利用しデザインに取り入れることができます。

 

ちなみに、正方形の形の畳だけじゃなく、様々な形の畳を敷きこむことで、別次元のデザインに変えている畳屋さんもあります。

 

 

 

割付が難しそう・・・。

 

光の反射はまさに半帖縁なし畳の1番の長所であると言えます。

 

 

和室のイメージを変える

 

 

 

 

 

 

 

半帖縁なし畳は和室のイメージを一新するデザイン力を有しています。

 

和室といえば、「おばあちゃん家にきた感じ」「田舎の風景」「古き良きノスタルジックな古民家」など”昔”のイメージから離れることができませんでした。

 

 

ある意味で日本の文化として肯定できるのですが、若い方たちにはどうしても敬遠されがちなデザインになってしまいます。

 

しかし、そのようなイメージも半帖縁なし畳は変えていく。

 

新しい日本文化を形成する和の起爆剤にも成り得るインパクトと、日本文化を忘れない調和的スタンスは他の国には無い魅力で有り、これからの床材として世界を牽引していくに事足りる存在であると私は思います。

 

とはいえ、半帖縁なし畳はあくまで空間デザインの一部。

 

空間を無視した無茶苦茶なカラーの半帖縁なし畳を敷き込んだところで、主役の空間を破壊してしまっては意味がありません。

 

デザインする側の感性も、これから先は問われてくるかと思います。

 

 

洋室にもマッチするデザイン

 

 

 

 

 

 

 

洋室のデザインにもマッチする。それが半帖縁なし畳です。

 

従来の縁付き畳であればリビングに敷いて使うことにかなりの抵抗感があったことだろう。

 

畳職人である私でさえ、リビングに畳を敷きたいなどと思わない。

 

しかし、半帖縁なし畳なら自分は元より、人におすすめしてしまうほどの磁石的魅力がある。

 

その秘密は先ほど紹介した光の反射に加え、カラーの種類が豊富なことだ。

 

洋室のデザインにマッチさせるためには、カラーが重要になる。

 

というのも、最近の壁紙は以前と違い、様々な色、デザインの壁紙が数多く登場している。

 

おしゃれな海外壁紙なんか使った矢先には、家具を置くことでさえ頭を悩ませるだろう。

 

しかし、半帖縁なし畳なら大丈夫。アジアンテイストから北欧デザインまで、様々なデザインに対応できる。

 

 

半帖縁なし畳の魅力を多くの人に伝えたい!

 

ウチは和室が無いし、関係ないわね

 

今まで和室が無いから畳とは関係ないと思っていた方たちにも、置き畳なら提供できます。

 

▼置き畳はこちら置き畳のおすすめって何?|置き畳のメリット&デメリットについて紹介

 

皆さんの御宅のリビングにもマッチするデザインの置き畳が見つかるかもしれません。

 

一度チェックしてもらえたら嬉しいです。

 

それでは続きまして、半帖縁なし畳の短所を紹介します。

 

半帖縁なし畳の短所

半帖縁なし畳の短所
・耐久性が低い
・お金が掛かる
・掃除がめんどくさい

 

 

耐久性が低い

 

半帖縁なし畳は縁付き畳に比べて耐久性が低いです。

 

その理由は構造と畳ヘリにあります。

 

縁なし畳は畳表を折り曲げて施工しています。

 

折り曲げた箇所は傷みやすく、和紙表や化学表ならまだしも、天然い草の畳表なら早い段階(使う頻度や畳表のグレードによって左右される為、正確な年数は不明)で綻びが生じる可能性があります。

 

また、畳ヘリも畳の耐久性において重要な役割を果たしています。

 

そもそも畳ヘリは畳と畳の摩擦を軽減し、畳の耐久性を上げる目的で付けられています(昔は格式を表す意味で畳ヘリは付けられていた)

 

したがって畳ヘリの付いていない縁なし畳は縁付き畳と比べて耐久性が低いと言わざるおえません。

 

ちなみに、半帖縁なし畳は摩擦が起こる箇所が長方形の一般的な畳に比べて多いです。

 

当然のことですが、摩擦が起こる箇所が多いということは、それだけ痛む箇所も多いということになります。

 

 

お金が掛かる

 

半帖縁なし畳は縁付き畳に比べてお金が掛かります!

 

その理由は畳の枚数と縁なし畳の施工によるものです。

 

例えば、六帖の畳の部屋を畳替えするとします。

 

縁付き畳であれば「一枚あたりの値段×6枚=総額」ですが、半帖縁なし畳だと「半帖一枚あたりの値段×12枚=総額」になります。

 

要するに縁付き畳に比べて半帖縁なし畳は、畳の枚数が多いので料金も高くなるというわけです。

 

また、縁なし畳の施工も料金に関係してきます。

 

縁なし畳は縁付き畳に比べて施工に時間がかかってしまいます。

 

その理由は畳床のカットと折り曲げるまでの待ち時間が関係しています。

 

施工の話なので、詳しくはお伝えできないですが、寸法通り畳床をカットする時、縁付き畳なら同時作業ができるが、縁なし畳はできません。

 

また、い草が柔らかくなり、折り曲げられるようになるまで少し時間を置かなければならないので縁付き畳に比べて時間がかかる。

 

ものづくりにとって料金は、時間+原価なので、施工に時間のかかる半帖縁なし畳は料金が高くなるわけです。

 

 

掃除がめんどくさい

 

半帖縁なし畳は縁付き畳に比べて掃除がめんどくさいです。

 

基本的に畳のメンテナンスは、縁付き畳にしろ、縁なし畳しろ、めんどくさいです。

 

何がめんどくさいかというと、水拭きができない(してもいいけどオススメできない)畳の目に逆らって掃除機をかけるとホコリが取りきれないといったことです。

 

半帖縁なし畳は縦横で畳を敷いています。

 

畳の目に沿って掃除機をかけるなど、苦痛な仕事を増やす羽目になってしまうでしょう。

 

また、畳の下の換気に関しても縁なし畳はめんどくさい。

 

 

普通の縁付き畳であれば、6枚の畳を上げ換気すれば良いものが、半帖縁なし畳なら12枚もの畳を上げなければいけません。

 

めんどくさいですね。

 

以上、畳製作一級技能士が解説する半帖縁なし畳の長所と短所でした。

最後に

いかがだったでしょう。

 

半帖縁なし畳の長所短所はわかりましたか。

 

半帖縁なし畳を購入する際の参考になれば嬉しいです。

 

縁なし畳ってすごくおしゃれで、主婦層から人気がある一方、問題が起こりやすい商品でもあります。

 

というのも、縁なし畳は技術的に差が生じやすく、「畳と畳の間の隙間が空いてる」とか「畳がプカプカ浮いている」などのクレーム相談が相次いでいると聞きます。

 

実際、技術的なレベルは年々上がってきているのは間違いありませんが、更なる技術の向上が求められているのかもしれませんね。

 

 

 

読んでいただきありがとうございました。

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