
Yusuke Higuchi is a premier tatami craftsman based in Tokyo, Japan, dedicated to delivering authentic Japanese comfort to homes worldwide. He perfected his craft in Kyoto under the tutelage of a "Contemporary Master Craftsman" (Medal with Yellow Ribbon recipient), mastering the millimeter-level precision required for temples and high-end tea rooms.
- 🏆 Award: Winner of the Kyoto Tatami Competition (Governor’s Award)
- 📜 Certification: National Level 1 Tatami Craftsmanship (The highest in Japan)
- 🌎 Global Service: Specializing in custom-made tatami mats for international shipping.
みなさまこんにちは、江戸川区の樋口畳商店・代表の樋口裕介です。
畳職人として日々現場に立ち、多くのお客様とお話ししていると、決まって聞かれる質問があります。
「やっぱり最近、新築の和室って減っていますよね?」
実際、統計データを見ても新築住宅における和室の割合は減少傾向にあります。では、なぜ日本人は和室を作らなくなってしまったのでしょうか?
今回は、京都での修業を経て一級畳製作技能士として現場を見続けてきた私が、「和室が減った本当の理由」、そして今まさに起きつつある「畳の新しい可能性」について本音でお話ししたいと思います。
1. 一般的によく言われる「和室が減った5つの理由」
ハウスメーカーの営業マンやインテリア雑誌などでは、和室が減った理由として主に以下の5つが挙げられます。
- 住宅全体のコンパクト化(家が小さくなった)
- 和室の正しい使い方が分からない
- 障子や襖(ふすま)の張り替えなど、メンテナンスの手間と費用
- デザインが昭和っぽく、古く見える
- 天然い草の香りが苦手
どれも現場で耳にするリアルな声です。しかし、職人として数多くの間取り図と向き合ってきた私が最も強く感じるのは、「和室が嫌われたわけではない」ということです。
2. 職人が現場で感じる最大の原因は「住宅のコンパクト化」
昔の日本の家と比べると、現代の都市型住宅は限られた敷地に建てられるため、全体的にコンパクトになっています。
限られたスペース(坪数)の中で間取りを決める時、どうしても優先されるのは以下の空間です。
- 家族が集まる広いリビング
- 子どもの個室
- 在宅ワーク用のスペース
- 大容量のファミリークローゼット
その結果、「本当は和室も欲しいけれど、スペースの優先順位を下げざるを得なかった」というのが、現代の施主様のリアルな本音ではないでしょうか。
「ジョイントマットでいい」という妥協
子育て世代にとって、和室は「子どもをお昼寝させる」「オムツを替える」「洗濯物をパッと畳む」のに最適な空間です。 しかし和室がない場合、現在は「とりあえずリビングにジョイントマットやコルクマットを敷けばいい」という選択肢が一般的になりました。
つまり、和室の「機能」は今も求められているのに、「部屋」として独立して作られる機会が減ってしまったのです。
3. 「来客文化の変化」と「襖(ふすま)のプライバシー問題」
昔の和室は、親戚やゲストが泊まるための「客間」としての役割を担っていました。しかし現代では、来客はホテルに泊まったり、リビングにエアーベッドを敷いたりと、ライフスタイル自体が変化しています。
さらに、畳職人以外の視点として「襖(ふすま)」の問題も挙げられます。 木と紙で作られた襖は、日本の気候には最適ですが、現代の住宅に求められる「防音性能」や「プライバシーの確保」という点では、どうしても洋室のドアに劣ってしまいます。「隣の部屋に声が漏れるのが気になる」という理由で、和室を避ける選択をされる方も少なくありません。
4. しかし今、海外では「和室」の価値が大絶賛されている
日本の新築から和室が減る一方で、実は今、海外では驚くほど面白い現象が起きています。 世界中で「畳(TATAMI)」の人気が爆発的に高まっているのです。
大変ありがたいことに、当店のホームページにも海外からのお問い合わせが年々増えています。これまで、欧米、アジア、中東、そして直近ではギリシャ、オランダ、メキシコ、オーストラリアといった国々のお客様へ、当店の畳をお届けしてきました。
海外のデザイナーや施主様は、畳を「古いもの」とは捉えていません。むしろ「これほどミニマルで、サステナブルで、美しい床材は他にない」と絶賛されています。
世界を席巻する「Japandi(ジャパンディ)」の波
その背景にあるのが、日本の伝統美(Japanese)と北欧の機能美(Scandinavian)を融合させたインテリアスタイル「Japandi(ジャパンディ)」の流行です。 無駄を削ぎ落とし、天然素材の温もりを主役にするこのスタイルにおいて、日本の「い草の畳」は、空間を完成させる最高のピースとして選ばれているのです。
5. 畳の普及はいつも「新しい文化」と共にあった
歴史を振り返ると、かつて畳は貴族や武士など一握りの特権階級だけのものでした。それが室町から江戸時代にかけて一般庶民へ広がった背景には、「茶道文化」の普及がありました。四畳半の茶室という「非日常の静寂な空間」を作るために、畳が必要不可欠だったのです。
そして今、海外で畳が求められている理由も、当時の日本とよく似ています。 世界中で「抹茶(MATCHA)」「禅(ZEN)」「マインドフルネス」への関心が高まる中で、その精神を体現する場所として、自宅に「茶室」や「畳スペース」を設ける外国のお客様が増えています。
6. 現代人にこそ、和室の「余白」が必要である
私は、日本国内の和室も完全に無くなることはないと確信しています。むしろ、デジタル過多のストレス社会だからこそ、近いうちに必ず見直されるはずです。
スマホやSNSの情報に追われ、脳も身体も疲弊している現代人に必要なのは、「何もない、静かな余白の空間」です。
部屋に一歩入った瞬間に優しく香る、天然い草の香り。 靴を脱ぎ、靴下も脱いで、直接床にゴロンと寝転がれる開放感。
この和室ならではの心地よさは、フローリングの暮らしでは絶対に味わえない、日本人が本能的に求めている癒やしそのものです。
職人からのご提案:形を変えて、現代の暮らしに「畳」を取り入れる
「家が狭くて和室は作れない」「洋風のインテリアに合わせたい」 それなら、部屋としての和室を諦める必要はありません。現代のライフスタイルに合わせた、新しい畳の取り入れ方があります。
当店では、畳の原点回帰をテーマに、他社にはない独自技術で「折りたためる畳マットレス」や「モダンな畳ベッド」を製作しています。
これらは、フローリングのリビングに敷くだけで、いつでも極上の和空間を作ることができ、不要な時はコンパクトに収納できます。まさに、現代のコンパクトな住宅事情やJapandiインテリアに寄り添うために、職人の意地をかけて開発したオリジナル商品です。
時代や暮らし方が変わっても、日本人が培ってきた「畳の上で寛ぐ」という贅沢の本質は変わりません。
間取りの制限で和室を諦めそうになっている方も、ぜひ一度、新しい畳の形をご相談ください。一級技能士の視点から、あなたのお住まいに最適な「静かな調和」をご提案いたします。
