みなさん、こんにちは!畳製作一級技能士の樋口です。今回は、畳職人をやめようと思った?畳職人を続けてこれた理由を紹介します。

 

畳職人をやめようと思った

 

私は高校卒業後、京都に畳職人の修行に行きました。

 

畳職人になったばかりの頃は、わからないことばかりで今を生きるのに一生懸命だった為に畳職人をやめたいという感情は湧いてきませんでしたが、仕事で結果を求められるようになった頃、だいたい3ヶ月ぐらい経ってから、度々畳職人をやめようかなと思うようになりました。

 

俺、畳職人向いてないかも・・・。

 

仕事中も仕事が終わってからも何度も考えてしまい、本気で「畳職人をやめます」と言おうと思った事もありました。とはいえ、今も私は畳職人をやめずに頑張って畳を作って売っています。

 

それは一体何故なのか。

 

そこで、今回は畳職人をやめようと思った?畳職人を続けてこれた理由を紹介します。今、俺この仕事向いていないかも・・・。と思っている方の参考になれば幸いです。

 

畳職人をやめようと思った?

 

畳職人をやめようと思った事は、畳職人になった十年間で二回ありました。

 

1つは、畳職人の修行を初めて3ヶ月後の初夏、仕事で結果を求められるようになった頃です。

 

最初の失敗

弟子になったばかりの頃は研修期間と言うか、速さより丁寧さが重要視され仕事が遅くても許されていました。

 

特に上敷きの製作や粗品作り、畳の解体、からくり(かがり)などは「ゆっくりで良いから丁寧にやってくれ!」と言われ、見様見真似で作業していました。

 

しかし、3ヶ月も経つと「まだ終わらないのか」「遅いし雑だろ」と先輩達から丁寧さに速さを求められるようになりました。(誤解が無い様に言うと先輩達も良かれと思って言っていたこと。決して悪気があっての注意ではありません)

 

私は物覚えも悪かったし、手先も縫うこと以外そこまで器用な人間ではなかったので、先輩達の期待に応えることができませんでした。

 

1日に何度か言われるうちに「自分に職人は向いていないかも」と思うようになってしまったのです。

 

そんなある日、急ぐ畳の配達がありました。

 

新しい畳を運ぶ際、普段であればゆっくりと丁寧に持っていくのですが、その日は急ぎという事もありスピード勝負で畳を運んでいました。

 

畳もあと数枚に差し掛かり気が緩んだのでしょうか。玄関のドアノブに畳を擦ってしまい畳の丈(框から1寸ぐらいの箇所)を傷つけてしまいました。

 

もちろん、先輩からは怒られ、畳は作り直し。急ぎだったのに余計な時間を費やす羽目になってしまったのです。

 

この時、本気で畳職人をやめようかなと私は思いました。

 

 

もう1つは畳職人の修行期間が終わりを迎え、東京に残るか京都に帰るのか、人生の岐路に立った時です。

 

自分がわからなくなる

私が23歳の12月、京都に残って畳職人を続けるか、故郷である東京に帰って畳職人として就職するか、選択に迫られていました。

 

自分はどうしたいのか。考えても考えても一人では答えが出せず、沢山の人に相談しました。

 

しかし、皆「自分で考えろ」の一点張り。結局自分がどうしたいのか、何がしたいのかわからなくなりました。

 

いっそ畳職人をやめる。そんな選択肢が有ってもいいのかも。その様に思ってしまったのです。

 

私は元々確固たる決意のもと畳職人になったわけではありません。

 

畳職人になった理由は祖父に憧れたことがキッカケでした。

 

▼畳職人になった理由:なんで畳職人になったの?畳職人になろうと思ったキッカケ 

 

だから畳職人をやる目的が小さかったし、畳職人をやめてもいい!という選択肢が出てしまったのだと思います。

 

どうしたらいいのか。悩み苦しんでも答えは出ず、23歳の春を迎えるのです。

 

畳職人を続けてこれた理由

畳職人をやめようと思ったことが二回もあったのにやめずに続けてこれたのは、この3つの理由があったからです。

 

畳職人を続けられた理由
・沢辺畳店のおかげ
・畳が好きだから
・付き合っていた彼女に言われた一言

 

沢辺畳店のおかげ

 

沢辺畳店とは私が京都に修行に行ったお店です。

 

どこの馬の骨かわからない私に沢辺家の皆様は本当に優しくしてくれました。

 

仕事が終われが日本昔ばなし級の山盛りご飯に缶ビールを出してくれて、社長さんと女将さんと三人で野球を見ながら談笑し、息子さん(現社長)には週一で飲みに連れて行って頂き、嘘みたいに美味いお酒やご飯を食べさせてもらいました。

 

本当に楽しかった。

 

もちろん、仕事では怒られることもありましたが、楽しい時間だったからこそやめることなく六年間続けてこれたのだと思います。

 

 

畳の仕事が好きだから

 

ものづくりの楽しさは言葉では言い表せません。

 

ただ、嫌なことも苦しいことも不安なことも悲しいことも全部仕事が始まってしまえば忘れられる。それがものづくりの良さだと思います。

 

私たちが見つめるのは畳と時計。

 

余計な感情を排除して没頭できるのは、たぶん私が畳の仕事を好きだからだと思います。

 

きっとこれからも。

 

 

付き合っていた彼女に言われた一言

 

「畳なんて需要ないよ。職人なんて儲からないよ」

 

私が独立するキッカケになった言葉でもあり、今尚私を突き動かす原動力になっている言葉でもあります。

 

「だったら畳で、畳職人でお金を稼いでやる」

 

こう思った私は、東京に帰ってフリーランスの職人として東京で知り合い作りに励みました。

 

▼東京に帰った後の仕事の作り方はこちら:どうやって仕事をもらうようになったの?|ゴミ捨てから始まった畳の起業 

 

知り合いも増えて自分で畳の仕事が貰える様になった頃、完全な独立を果たし今に至ります。

 

途中諦めそうになった事もありましたが、この言葉を思い出す度に沸々とやる気が湧いて出てきます。

 

当時は言われて悔しかった言葉ですが、今では感謝しているぐらいです。

 

以上、畳職人を続けてこれた理由でした。ありがとうございました。

 

 

【畳製作一級技能士 】畳の端止め「からくり(かがり)」

 

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最後に

 

ここでは書きませんでしたが、畳職人をやめなかったのは京都で出会った友達や家族の影響も大きかったです。

 

畳職人に対して批判的な言葉が多い中、何人かの人は本気で応援してくれました。

 

後は、もちろんお客様の喜ぶ姿。

 

畳でお金を稼ぐために独立した私でしたが、お客様に喜んでもらう度にお金よりも大切なものを頂けている気がして、とても満足してしまいます。

 

もちろん、お金は大事な事です。これは言うまでもありませんが。

 

ただ、お客様に喜んでもらえるとお金を貰うよりも嬉しい。

 

そういった仕事をこれからもしていきたい。そう思っています。

 

読んで頂き、ありがとうございました。

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