どうやって畳を作ってるの?【畳職人の作業風景を見せます】

 

みなさま、こんにちは!畳職人の樋口です。今回はどうやって畳作ってるの?畳職人の作業風景を見せたいと思います。

 

皆さんはどうやって畳を作っているかご存知ですか?若い人なんか知らないよ!という方がほとんどだと思います。

 

そこで今回は、どうやって畳を作ってるの?畳職人の作業風景を見せます。畳作りに興味を持ってもらえれば幸いです。

どうやって畳を作ってるの?【畳職人の作業風景を見せます】

作業の流れ
1.畳を作る準備
2.畳床の修理&隙間の補修
3.畳表の張り付け
4.畳表の縫い付け(框縫い)
5.畳ヘリの逢着(平刺し縫い)
6.畳ヘリの逢着(返し縫い)

 

それではまず、畳職人の作業場から紹介したいと思います。

畳職人の作業場

 

樋口畳商店の作業場の広さは10畳程度。一般的な畳屋からすれば狭い作業場になります。狭いとは言っても1時間で作れる畳の枚数は2枚。1日9時間労働(休憩はさみ)で14枚程度は畳を作ることができます。

 

だいたい東京都江戸川区、葛飾区、足立区、墨田区、江東区の家は一件あたりの畳の枚数が6畳から12畳ですので、地域の一般住宅の畳替えであれば、この広さでも十分対応可能です。

 

ちなみに社寺や旅館、ゲストハウスなどの畳の枚数が多い仕事は、その時だけシェア工場を借りて作業を行なっています。

 

畳を作る準備

畳を早く綺麗に作るためには、畳を作る準備が重要になってきます。畳を作る準備とは、包丁を研いだり、畳針を磨いたり、縫い糸をほぐしたり、機械のメンテナンスをしたり、道具を配置したり、畳を解体したり、畳表を切ったり、目落とししたりなどなど作業に入る段取りのことです。

 

今回は、畳を作る準備を代表して、からくり(かがり)という畳表の端止めを見てもらいたいと思います。

 

 

「からくりが遅くて汚い人は、畳を作るのも遅くて汚い」と言われるくらい、この作業は基本中の基本であり、大切な作業です。

 

ちなみに、東京でからくりやってるのは私ぐらいだと思います。京都行ったらいっぱいいますけどね。

畳職人の畳を作る作業風景

畳を作る準備が完了したら、いよいよ畳を作る作業に入っていきます。作業の流れは2.畳床の修理&隙間の補修3.畳表の張り付け4.畳表の縫い付け(框縫い)までをぜん立て5.畳ヘリの逢着(平刺し縫い)6.畳ヘリの逢着(返し縫い)を縁付けとして、前半後半と別れて作業を行う場合2〜6までの作業を全部通しで行う場合と2パターンあります。

 

今回は2〜6まで通しの作業ということで畳作りを解説したいと思います。

 

 

※こちらはYouTube動画でも解説しています。動画を見ながら読み進めて頂けたら嬉しいです。

 

まず作業台に畳を置き、畳のヘリを取り、糸を抜いていきます。畳を綺麗な状態にしたら畳床の補修と畳の隙間を埋めていきます。

 

藁床であれば畳表や藁、藺がらなどで補修し、建材床なら型紙などで補修していきます。ただ、建材床の場合、補修には限界があるので、その点はお客様に理解しておいてほしいです。

 

畳の補修が完了したら次は畳表を張っていきます。

 

 

畳表は綿シングル、綿ダブル、麻シングル、麻綿、麻麻などの種類によって張る強さが変わってきます。また、畳床の痛み具合によっても変わってくるので、気をつけないと表がたるんだり、藺草の筋が曲がってしまう可能性があります。

 

現状の畳と相談しながら畳表を張っていくという感じです。

 

畳表が張り終わったら畳表を縫い止めていきます。

 

 

框縫いはうわ綴じと伏せ框の2種類があります。うわ綴じは主に表替えの場合、伏せ框は主に新畳の場合にする縫い方です。

 

こちらの動画ではうわ綴じで畳の框を縫い止めています。しっかりと指に糸を絡めて締めることで、畳表が緩むのを防いでいます。

 

余談ですが、極稀に畳表をタッカーで止めている方がいらっしゃいますが、タッカーは錆びると畳表から外れる可能性があります。特に湿気の多い地域、お風呂場の近くの和室や水場が近い場所、風通りが悪い和室などの畳はタッカーで止めると二、三年で畳表が緩んでボロボロになってくるので、注意が必要です。

 

さて、畳表を縫い止めたらぜん立ては終了。続いては畳作りの後半戦。縁付け作業に入っていきます。

 

 

縁付け作業とは、畳縁と呼ばれる素材を畳の幅に縫い付けている作業になります。最近は縁なし畳が流行っていますが、畳縁が付いていると、畳と畳の摩擦を軽減してくれるので、藺草で作った場合の畳の耐久性は段違いに違います。藺草の畳を選ぶのであれば、私は縁付きをおすすめします。

 

畳ヘリの縫い付けには、平刺し作業と返し縫い作業の2種類があります。平刺し作業とはミシン縫いのように上から下(または下から上)へと畳床と畳ヘリを縫い付けていく作業で、返し縫い作業は畳ヘリを巻きつけていく(表替えを手縫いで返し縫いした場合は、巻きたおしと呼ぶ)作業になります。

 

 

返し縫いの際、藁を入れて畳の厚さを調整することもあります。

 

 

こういった場合には、畳の機械は使えず、手縫いで作業を行わなければなりません。

 

これで畳を作る作業は完了ですが、細かい部分では畳のブラシ掛けやタオル拭きなど色々とあります。そいった細かい部分もYouTube動画やこのブログでも伝えていけたらいいなと考えているので、よければまたみてください。

 

縁なし畳の作業風景

 

縁なし畳は一般的な縁付きの畳と作業が全く異なります。難易度はそこまで変わりませんが、手間は縁なし畳の方が掛かると思って間違いないです。(ただし、板入れ新畳やお茶室の畳、社寺の紋縁などは例外)

 

最近では複雑な形の縁なし畳も作っています。後日、ブログ記事にアップしますので、チェックしてみてください(2022年8月下旬)

 

以上、どうやって畳を作ってるの?【畳職人の作業風景を見せます】でした。

最後に

畳を作ることで大事なのは、畳の構造や畳の材料、納品するお客様の家(環境)をよく理解することだと思います。

 

手縫いだ何だ!なんてのは大きな問題ではないのです。これからも自分なりの信念をもって畳作りに励んでいきたいと思います。

 

読んでいただきありがとうございました。

おすすめの記事