【質問コーナー】お客様が気になる畳に関する10の質問

 

樋口裕介
こんにちは!畳職人の樋口です!

 

今回は実際にお客様から問い合わせがあった畳に関する10の質問をご紹介します。

 

質問に答えた後で「まだよくわからない」というユーザー様がいらっしゃったらご遠慮なくお問い合わせ下さい!

 

【質問コーナー】お客様が気になる畳に関する10の質問に解答

畳に関する質問を厳選しました。もっと詳しく知りたい方はリンク先の記事をご覧ください。

 

質問①どこの畳屋に頼む?

 

畳の張り替えってどこの畳屋に頼めばいいの?
知り合いに聞くか、お近くの畳屋さんから調べましょう

 

 

皆さんは飲食店などを探す際にネットを使ってお店を探したりしませんか?

 

ネットでの口コミだったり、店内の様子、メニューの幅などネットを使えば効率よく良いお店を見つけることができますよね。ですが、畳屋さんをネットで選ぶのは時期尚早です。

 

その理由はネットで評価が高い=畳技術&サービスが良いとは限らないからです。

 

飲食業では大分少なくなりましたがサクラが多いんです。

 

 サクラとは公演主催者や販売店に雇われて客の中に紛れ込み、特定の場面や公演全体を盛り上げたり、商品の売れ行きが良い雰囲気を作り出したりする者を指す隠語
畳の頼み方で一番おすすめなのは、信頼できる友達や知り合いに畳屋さんを紹介してもらうことです。

 

もし、そういう人がいない場合はお近くの畳屋さんをお調べ下さい。実際にお店に訪れて目で見て判断した方が良いと思います。

 

良い畳屋と悪い畳屋の判断の仕方は以下の記事で紹介していますので参考にして下さい。

 

▼畳屋を選ぶコツ:【畳製作一級技能士が教える】畳屋を選ぶコツ!畳屋さんの選び方

 

質問②畳の値段ってどれくらい?

 

一般的な畳の値段ってどれくらい?
●新畳1万円〜●表替え5千円〜●裏返し3千500円〜●縁無し新畳半帖1万円〜●縁無し表替え半帖7千円〜

 

こちらが中国産の天然い草を使っての一般的な目安となる値段になります。

 

ただ、中国産にも上から下までランクがあり、最低ランクの商品であればもっと安いですし、最高ランクの商品であればもっと高いです。(国産も同じくです。)

 

したがって、あくまで目安となる畳の値段だと思って下さい。

 

ちなみに国産は、その年、その時期によって値段に多少違いがあります。「国産畳表は時価」となっているのはその為です。畳替えをするその都度、畳屋さんにお値段を聞いた方が良いかもしれません。

 

▼畳の値段についてはこちら畳の値段ってどれくらい?|畳製作一級技能士が教える一般的な相場

 

質問③畳の張り替え時期はいつ頃?

 

畳の張り替え時期はいつ頃がいい?
5月頃が一番オススメです

 

 

10月〜11月頃にかけ、今年とれた新グサが出回り始めます。

 

い草の刈り取りが6月から7月下旬ぐらいで、そこから乾燥、泥染め(日焼け止め)い草の選別、畳表に織る作業をします。今年とれた新草はだいたい10月中旬くらいに品評会に出され、11月くらいに市場に出回ります。

 

11月にとれたばかりの新グサは使いにくい(焼けやすい)ので、基本的に半年間ほど新グサの畳表を寝かせます。なので、5月くらいに畳替えをすると昨年取れた新しい新グサを使うことができます

 

ただし、中国産の畳表であれば4月〜6月の畳替えはおすすめできません。あまり良いい草が出回る時期ではありませんので。

 

▼い草についてはこちら畳の材料「い草」とは何?|国産い草の機能と現状について解説

 

ちなみに、畳は新しく張り替えてから裏返しするまで2〜3年くらい。表替えするまで、7年くらい。新畳するまで12年くらいです。それぞれ畳のグレードや使用環境によりますが、目安にしてもらえたらと思います。

 

質問④畳替えってどれくらい時間かかる?

 

畳替えってどれくらいかかるの?
一間だったら1日で出来ます

 

一般的には、朝に畳を引き上げて夕方には納品します。おそらくどこの畳屋さんも同じだと思います。だいたい6〜10帖くらいなら一日で出来ると思います。

 

ただし、その日の都合や仕事状況、現場までの距離によっては1日で納品できない場合もありますので、畳替えをする際には必ず確認をしましょう。

 

▼畳替えについてはこちら:【畳張り替え講座】畳表替えにかかる時間は?|畳替えの時期は今でしょ

 

余談ですが、早く畳を作ることはお客様にとって望んでいることかもしれませんが、きちんと修理したり、手間掛けて仕事をしたい点については、あまり好ましくありません。

 

畳加工会社に畳替えを頼むならそれでも良いのですが、職人に頼むなら時間より技術的な面を重要視してもらいたいです。

 

質問⑤畳の色が違って見える?

 

畳替えをしました。でも畳の色が違って見えるんです。違う種類の畳表がついているのですか?
いいえ。光の反射によって畳の色が違って見えるのです。

 

畳の色が違う!

 

これはかなり多く受ける質問です。確かに和室の画像を見てもお客様が言う通り敷いてある畳の色が違って見えます。「あれ?畳屋さん。もしかしたら違う表面張り付けたんじゃないの?」と疑問をもたれるのも理解できます。

 

しかしながら多くの場合、そのような違う畳表を付けることはありません。これは違う種類の畳表が付いているわけではなく、畳表の縦横が光の反射によって違った色合いに見えるのです。

 

 

また、畳表の色にムラがあると仰るお客様がいらっしゃいます。お客様の気持ちは理解できなくもないのですが、畳は自然物ですので、人工的に作られた畳表、もしくは着色された畳表でもない限り多少ムラはあります。

 

トマトの形が全て同じでないように。木目が全て同じでないように。自然で作られたものは残念ながら全て同じ色にはならないのです。

 

ただ、人為的なムラ(考えられるのは工程の中で、又は施工の中で日焼けしたもの)人為的なキズに関しては、畳屋さんのミスなので、そのような場合には遠慮なく

 

これ!どうなっているんですか!!!

 

と言ってください。

 

質問⑥畳にカビが生えた?

 

新しい畳に替えたらカビが生えました。なぜですか?
畳は乾燥した状態でお客様の元へお届けします。乾燥した状態の畳は部屋にある湿気をたくさん吸います。梅雨の時期や雨が続いた期間などに畳替えをされた場合、畳の吸湿量のキャパがオーバーしてしまい表面にカビが発生します。

 

畳は他の建築材と比べても吸湿機能が優れたものになります。その為、カビが発生するリスクが高く、納品後は一段と注意しなければなりません。

 

では、どう注意したらいいのか。

 

まず、お部屋の換気をお願いします。お客様の家に届けられた新しい畳は、乾燥した状態(雨が降っていなければ)ですので、お部屋の湿気をよく吸ってくれます。

 

風通しの良い家なら未だしも、湿度が高い家ならカビが発生するリスクが高まるので、晴れた日は窓を開けてよく換気をしてもらい部屋の空気を入れ替えてください。

 

もし雨の日が続くようであれば、エアコンや除湿機などを活用して湿度を下げてもらうとカビ発生のリスクが下がりますので、協力のほど宜しくお願いします。

 

また、納品後10日程度(雨季の時期は雨季が過ぎるまで)水拭きはしないようにお願いします。もしどうしても水拭きをしたい場合は固く絞ったタオルで水拭きするようにしましょう。

 

▼カビについてはこちら:畳にカビが生えたらどうすればいいの?|和室のカビ予防と対策を紹介

 

質問⑦チラシの格安店との違い

 

ある畳屋さんのチラシを見てビックリしました!チラシに書かれた金額は、以前畳替えをした時より格安だったのですが、なぜこれほど金額に差があるのでしょうか?
理由は以下3つです。①大量生産による生産性の向上②店舗数拡大による購買力の増加③価格の吊り上げ方式

 

 

①大量生産による生産性の向上

チラシ業者の多くはライン式の機械を導入しています。

 

ライン式の機械とは、ほぼ人の手を必要とせずベルトコンベアー的なものの上に畳をのせていたら勝手に出来てしまうというものです。

 

この作り方によって一枚あたりの生産時間は大幅に短縮することが出来ます。生産時間が大幅に短縮出来るということは、それだけ価格が安く出来るというわけです。

 

ただ、現時点で技術を落とさずに大量生産をすることは不可能です!

 

畳の施工にはどうしても人の手が必要になる部分があります。その必要になる部分こそ耐久性であったり、完成時のクオリティに直結することなんです。

 

とはいえ、これから近い将来、AIやロボットの進化によって技術を落とさずに大量生産することも可能になるかもしれませんが・・・・。

 

②店舗数拡大による購買力の増加

店舗数を増やせば増やすほど、お客様からの購買力は増加します。購買力が増加するということは、それだけ畳の材料を仕入れるわけですから、仕入れ値が他社より安くなります。

 

それによりチラシ業者は一般的な畳屋に比べて安い価格で商品を提供できるのです。

 

ただ、それは中国産畳表や国産畳表の低価格な商品に限った場合である可能性も高いです。国産畳表で良いものを低価格で施工したいなら畳屋の方がおすすめです。

 

③価格の吊り上げ方式

企業努力で低価格化を実現したチラシ業者ならそれは素晴らしいことですが、一部のチラシ業者では、畳替え2000円という低価格で餌を巻き、針にかかった途端値段を吊り上げるチラシ業者も報告されています。

 

特に、悪質なケースでは表替えで出来る畳を新畳に変えさせ高額化するケース法外な追加料金を請求するケースもあるそうです。

 

こういったチラシ業者は畳業界としても大問題で消えて欲しいわけですが、我々の仕事はお年寄りを相手にするビジネスなので、こういった問題が逆に増えてしまっています。

 

ですので、お客様自身にも情報を知っておいて欲しいと私は思っています。

 

下の記事では良い畳屋さんを見つけるための方法も紹介しています。三者見積もりすること、三者見積もりをしていることを伝えること、概算でも良いので大体の確定金額を先に出してもらうことなどの対策を詳しく説明しています。どうぞ読んでください。

 

▼良い畳屋の見つけ方:三社見積もりがおすすめ?|良い畳屋さんを見つける3つの方法

 

質問⑧畳屋って儲かるの?

 

ぶっちゃけ畳屋さんって儲かるの?
儲けたくてやっているのかわかりませんが、頑張れば儲かります

 

 

そもそも論になってしまうのですが、畳屋さんは地域密着の商売です。地域の人に愛され、必要とされ、そのコミュニティの中で商売をしていく形態になります。

 

店舗数を増やさない限り、地域密着での職人商売は儲かるビジネスモデルではありません

 

ただし、畳屋は知り合いが多ければ設備投資にお金がかからないで独立することが可能です。また、利益率が非常に高いモデルではあります。例えば、一般的な商売で利益率というと5%〜20%ぐらいですよね。

 

ところが畳業は利益率が50%を超えます。(正確な数値は出すと怒られそうなので)他の商売に比べると二倍以上高い利益率なのです。

 

畳交換の回転率上昇と地域密着からの脱却を目指せば、ある程度儲かるのではないでしょうか

 

▼畳の利益についてはこちら:畳屋の利益ってどれくらい?|畳屋の年収を暴露します!

 

質問⑨畳からダニが出た!

 

畳からダニが出ました。すごく痒いです。どうしたらいいですか?
まず畳の上、畳の下にある埃を綺麗に掃除し、風が通らないジメッとしている所を開けて乾燥させましょう。次にバルサンなどダニ駆除の薬剤を使用します。最後に掃除機を畳の目に沿ってかけダニの死骸を駆除しましょう。

 

ダニが発生する条件は三つ。室内の湿度が70%〜80%程度、室温が20度〜30度程度、ダニの餌となる人間の垢や皮膚、髪の毛、食べカスなどが豊富にある場合にダニは発生します。

 

そうした環境は畳だけでなく、ソファやクッション、布団や座布団、押入れなど多数存在します。したがって、畳だけを掃除してもダニ駆除の効果は期待できません。

 

▼ダニの駆除はこちら:畳のダニ駆除はどうしたらいい?|畳にダニが湧いた時の対処法

 

畳と同時にダニが発生するに至る場所を手当たり次第掃除する必要があります。布団やクッションなどは天日干し、押入れなどは防湿シートなどを敷くこと、ソファは徹底的な掃除とダニ駆除剤で処理することをおすすめします。

 

肝心の畳はと言うと、畳の下の床板掃除&乾燥から始めましょう。

 

 

このように持ち上げたら隙間ができるので、空き缶などを畳の下に入れて挟み、掃除を掛けて乾燥させましょう。

 

 畳の持ち上げ方はホームセンターなどで「手鍵」が売っていますので、それを使うといいでしょう。ただ無理矢理やると畳が傷つく恐れがあります。行う時は慎重にお願い致します。

 

タンスの裏など普段風が通っていない場所には隙間を開け、掃除機をかけて少しの時間乾燥させましょう。

 

畳の表面の掃除は畳の目に沿って掃除機をかけることでホコリを綺麗に吸い取ることができます。

 

 

 

必要あらばバルサンやダニ駆除スプレーなどを使うこともおすすめしますが、使った後には必ず掃除機をかけることをおすすめします。

 

また、畳には防虫シートと言うダニよけシートもあります。これは畳工事が必要になりますが、とても効果的な商品なのでおすすめです。

 

詳しくはこちらをご覧ください。

 

▼防虫紙についてはこちら:防虫シートはどれくらい効果があるの?|畳や敷物に人気おすすめ防虫紙

 

質問⑩畳の未来は大丈夫ですか?

 

畳の需要が減っているとよく耳にします。畳の未来は大丈夫ですか?
過去と他人は変えられない。でも未来と自分は変えられる。「畳の未来を変えたい」と思っている人はたくさんいる。だから畳の未来は明るい。

 

 

仰る通り、畳の需要は年々減っています。それに伴って、い草農家さんや畳屋さんも減ってきています。これから10年後、もっと少なくなっているかもしれません。

 

でも私は悲観的に畳業界を捉えていません。

 

それは「畳の未来を何とかしたい!」と思っている畳屋さんをたくさんあることを知っているからです。

 

未来を諦めている人ばかりなら業界に対して絶望しか抱きませんが、未来を変えたい!頑張りたい!そう思っている人が多いなら絶対に業界は良い方向へと舵を切ります。

 

もちろん、私もその一助になる為にこのブログを含めて自分に出来ることを頑張っていこうと思います。

 

これからもブログ更新頑張りますので、どうぞ宜しくお願いします。

 

以上、お客様が気になる畳に関する10の質問でした。

最後に

 

いかがだったでしょう。

 

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これ以外にも質問や疑問、今回の回答でわからなかったなどありましたらご遠慮なくお問い合わせ下さい。

 

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読んでいただきありがとうございました。

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