最近、現場で女性の職人さんを見かける機会も多くなりました。重たい木材を肩に担いで運ぶ姿、インパクトドライバーやマキタのタッカーを巧みに操る姿は、女性がどうとか男性がどうとかは全く関係なく、一人の職人だと感じます。

 

これも本音で間違いないですが、私を含めて実際のところ女性が職人をやっていることについて、女性の職人が増えることについて男性の職人はどう思っているのか。本音を紹介したいと思います。

 

女性の職人ってどうなのだろう?と気になる方々の参考になれば幸いです。

女性の職人についてどう思っているか

 

女性の職人について、お世話になった社長さんと一度だけ話をしたことがありました。それはまだ社長さんが京都畳組合の理事長をしていた頃の話になりますが、ある女性の方が京都畳組合事務所に電話を掛けて来たことがあったそうで、その時女性は「畳職人になりたい。京都で修行できないだろうか」と社長さんに相談したそうです。社長さんは驚いたし、返答に困ったと言っていました。

 

正直、女性が畳職人になりたいと言ったことは面白いと思ったそうですが、重さ40キロもある京間サイズの畳を京町家のような細く狭い通路を腕力だけで持ち上げ、持ち運べるだろうかと懐疑的に思ったこと、当時はまだ女性の職人が全くいなかったことが理由となって、社長さんは「京都では面倒みれない」と女性に言って受話器を置いたと言っていました。

 

ただ、電話を切った後も社長さんは、その事を後悔というか残念がっている様子で、出来れば京都で面倒をみてあげたかったと言っていました。

 

もし、この話を他の親方連中に話ししたら皆何と言うだろうか。私が思うに社長さんと同じような、もしくはそれよりも強い否定の意見が圧倒的多数だったと思います。というのも私が修行していた頃はまだ女性の職人自体、数が少なく現場で会う機会などほとんどありませんでした。

 

もちろん、畳職人にも女性の畳職人がいるなんて話聞いたこともなく、そもそも畳職人は男性がやる仕事というイメージがガッツリ付いている職業なので、女性が職人をやることに対しての偏見は些かあったであろうと推測します。

 

その潮目が変わったのはそれから数年後のこと、茨城県にある畳の訓練校に女性の畳職人が入校したという噂が広まったことでした。(確か私の記憶が正しければ敷物新聞という畳業界が出版しているメディアとNHKのおはよう日本で特集が組まれたことがきっかけだったと思う。どちらのメディアも女性の職人について肯定的で、女性でありながら男性社会である職人業界に挑戦する姿を賞賛するような伝え方だったと思います)

 

京都の親方連中は「ヘェ〜。すごいなぁ」と驚いていた様子でしたが、口数多くは言及しませんでした(社長さんはその時、病気で入院されており、この話を知らない)。割と現場でも女性の大工さんと出会うことが多くなったことも要因なのか、否定的な意見は少なかったように感じます。

 

一方、若い弟子達の反応はどうだったのかと言うと、満場一致でめっちゃ羨ましい!と言った意見が圧倒的多数だった。なんで京都には男しかおらんのや!みたいな事を叫んでいた奴もいた。クラブに行くかBARでナンパするかぐらいしか、女性との出会いがない弟子達からすれば当然の意見だろうと思いますが、職人として一緒に学んでいる女性に対して、本当に恋愛的な眼差しを向けられるのか疑問を抱いた。

 

ただ肯定的な意見が多かったとは言え、否定的な意見が全く無かったわけではなく、「え?畳って重いやん。持てるのかな」と指摘する奴もいた。

 

「畳なんか担がんでも、施工だけしてたらええやろ」と誰かが反論して「おぉ〜そうやな」みたいな感じで何となく皆んなが納得していた様子だったが、私はむしろそちらの方が良い気がしないのではないかと思った。

 

確かに京都の畳は重たい。身長177センチメートル、体重75キロ、十二年間の野球部生活と高校卒業までの半年間ボクシング生活をしていた私でも京町家の二階に畳を上げるのは苦しい。それが18枚もあると死にそうになる。

 

それを幾ら身体を鍛えた女性とは言え、「畳を持ち上げろ!どんどん駆け上がれ!」とは言えない。だから施工だけしてたらええやん。という意見が出るのはわかるにはわかるが、だがそれを聞いた女性の職人はどう思うだろうか。おそらく、皆んなから気を遣われて職人であることに息苦しく感じてしまうのではないだろうか。

 

そう言った事を考慮すると、社長さんの選択は必ずしも間違いだったわけではないような気もする。

女性が職人をしていることについての個人的な意見

女性が職人をしていることについて私個人の意見としては、特に何とも思わない。たぶん、これが一番の本音だと思います。ぶっちゃけ女性が職人をやることに賞賛もしないし、非難もしない。

 

もっと言えば、仕事でしか判断しない。男性だろうが、女性だろうが適当な仕事をする人は嫌いだし、細かいところにまで気を遣って仕事をする人は大好き。私にとって性別は全く関係ないです。

 

上のお爺ちゃん世代の親方連中は、周りに女性の職人が居なかったからどうしてもラベリングしてしまう人は多いでしょう。

 

「女性に職人の仕事ができるのか」

 

こんな言葉を投げかける人もまだまだいると思います。とは言え、私を含めて若い世代の職人は、女性という性別に関して何も思っていない人も多いはずですから、もしこの記事を見ている女性の職人さん、これから職人になりたいと考えている女性の皆さんは、あまり上の世代の言葉を真に受けないで、仕事に取り組んで欲しいなと思います。

 

ちなみに、腕力がないのは女性に限られた話ではなく、私も重たい畳に音を上げて兄弟子に助けてもらったこともあったし、死にそうになっている弟弟子を助けたこともあります。今だって恥ずかしながら大工さんに助けてもらうこともあります。辛い大変な現場は助け合いですよ。

 

以上、女性の職人についてどう思っているかでした。

最後に

 

なぜこんな話をしたかと言うと以前「女性の職人さんって増えたよね。女性で職人さんやるってすごいなぁって思うんだよ。君はどう思う?」と聞かれたことを思い出したからです。

 

その時はなんて答えたか覚えてないですが、たぶん適当に「素晴らしいですね」とか何とか言っていたと思います。

 

最近だと女性の起業家とか、女性の社会進出とかメディアが持ち上げますが、神輿担がれる女性達も有り難迷惑じゃないのかなと私は思ってしまうのですが。どうなのでしょうか。

 

読んでいただきありがとうございました。

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