畳の素材はい草だけ?
昔から天然のい草を使用し、畳を作ってきた畳職人。
それゆえ、畳のスタイルというのは、1200年近くほとんど発展せずに進んできました。
畳業界は、そのような油断から衰退産業の一途を辿ることになってしまいます。
とはいえ、畳の文化を守りたい!と思っている業界の方はたくさんいます。
今回紹介するのは畳という伝統産業に求められている、畳の固定概念を覆すような商品たちを紹介したいと思います。
畳ヘリは無地の黒色と茶色しかない時代は過ぎ去り、100種類以上の豊富なラインナップを取り揃えれています。
畳表は、天然い草だけでなく、和紙表や化学表など色彩鮮やかでデザイン性に優れ、色が変わりにくい、汚れにくいものが登場しました。
それに伴い、縁無し畳などスタイルの変化もみられるようになった。
そして、これから畳はもっと進化していく・・・・。
畳縁が和室を変える
皆さんは畳縁(タタミヘリ)ってご存知ですか?
畳の巾についている生地のことです。
畳縁の素材は、麻や綿、PPなどが主流で、有職畳の際には絹などが用いられます。
突然ですがクイズです!
耐久性において、縁無し畳と縁付き畳では縁付き畳の方が長持ちすると言われています。
その理由は、畳と畳の摩擦から畳縁が守ってくれているからです。
まさに先人たちの知恵ですね。
また畳ヘリは他にも空間を仕切る役割や格式を表すものとして使用されている例もあります。
▼畳縁について詳しくはこちら:畳のへりはどこで販売してるの?知っておきたい畳縁の役割
一般的な意見として、畳を長く使ってもらう為に縁付き畳をオススメしたい!と思ってはいるのですが・・・。
デザイン的な部分で縁無し畳の方がいい!と仰るお客様は年々増えています。
昔は木材が主体で漆喰の壁に天然のい草といったシンプルさを追求した和の空間でした。
現在では、シンプルで日本的な和の空間より、洋風な和室の方が好まれる傾向にあります。
そうなると、畳へりだけで洋風の和室にマッチするようなデザインを作れるのか疑問なところ。
いくら畳縁の種類がたくさんあるからって言ったって・・・・。不安ですよね(ㆀ˘・з・˘)
では、写真で判断してもらおうと思います。
おしゃれな畳縁を紹介
これから紹介する畳へりは、千利休が追求した和室の概念とは真逆のデザインです。
とはいえ、新しい和室をお客様のイメージで創造することは、今の世にあっていると考えています。
まさに完全オーダーメイドの畳です。
畳縁だけで部屋の様子がガラッと変わって見えるのを感じると思います。
皆さんも御自宅の和室を畳縁によって、おしゃれに変えてみてください。
▼畳縁の種類についてもっと詳しく知りたい方はコチラ:人気おすすめの畳ヘリは?|和室の雰囲気を変えるおしゃれな畳ヘリ
和紙表や化学表が和室を変える
畳の素材はい草だけではありません!
デザイン性豊かで、かつ汚れに強い!そんな畳の素材が和紙表と化学表です。
和紙表と化学表との違い
和紙表とはダイケン工業が出している商品になります。
どんなものか簡単に説明すると、和紙をクルクル巻いてい草のような形状にし、い草と同じように織り込んでいく製法になります。
和紙表は摩擦に強く、い草より強度があるため長持ちします。また、い草のように日に焼けることも少ないので、色が変色するのを抑えることができます。
撥水加工はされていますが、水に強いわけではないので、注意は必要です。(藺草よりは断然強いですが)
それと比べて、セキスイが出している化学表は、撥水加工に優れているため、飲食店などで使われている商品になります。
素材は、ポリプロピレンと無機材料(吸湿性炭酸カルシウム)を配合させてい草のような形状にし、織り込んでいったものです。
こちらも和紙表同様に、い草より強度があり長持ちします。私の実家でもセキスイ美草アースカラーを使っていますが、ほとんど痛んでいません。
和紙表や化学表のデメリット
高機能な畳の素材である和紙表と化学表ですが、デメリットも存在します。
その中で一番のデメリットと言われているのが、畳の香りです。
和紙表、化学表は天然の素材ではないので畳の香りは一切しません。
従来の畳の素材である天然い草の香りには、フィトンチッドとバニリンという人間をリラックスする成分が含まれています。
和室はごろっと昼寝をするなどリラックス空間として利用されている方も多いため、香りがないことはデメリットだと感じる人も多いかもしれません。
また、畳の香りは瞑想する際に適した香りだということで、アメリカのIT企業の間で天然い草を使った畳を導入する例が相次いでいます。
畳の香りはクリエイティブな仕事をされている方から重宝されるほど、素晴らしい天然素材なのです。
▼い草について詳しくはコチラ:畳の材料「い草」とは何?|国産い草の機能と現状について解説
縁無し畳が和室を変える
皆さんは縁無し畳ってご存知ですか?
縁無し畳とは、畳縁が付いていない畳のことを言います。
縁無し畳は洋室にも合う柔軟なデザイン性があり、若い人を中心に人気を集めています。
縁無し畳の特徴は、光の反射を利用して、デザイン性を向上させているところにあります。
本来畳は光の反射が美しい素材です。
ところが、従来の敷き方はあまり意識せず、昔のままの敷き方でいました。
そこで縁無し畳では縦、横と市松敷きにすることで、光の反射をうまく利用し、デザイン性を向上させました。
もちろん、これだけでも十分おしゃれなのですが、和紙表や化学表を使うことで、色に変化を加えさらにデザイン性が高まりました。
いかがでしょう。
従来の和室の空間ではないように感じるかと思います。
とはいえ、縁無し畳にはデメリットもあります。
まず、値段が高いこと。
縁無し畳は縁付き畳と施工が異なります。
縁付き畳に比べて時間もかかる上に、高度な技術を有するのです。
また、一帖ものでの施工ではなく、半帖で施工するケースが多い。
すると、自然と値段は高くなってしまいます。
私たちとしてもこれからもっと値段を下げられるように努力していきたいところです。
▼縁なし畳のデメリットについて詳しくはこちら:琉球畳のデメリットは?|和室を洋風にしたい方にオススメな縁無し畳
縁無しで置き畳は洋室を変える
https://youtu.be/O3RRrTla1lo
最近は和室のない御宅が増えました:(;゙゚'ω゚'):
悲しいことですが、畳が必要なくなったわけではない!と思っています。
畳マット ユニット畳 置き畳 セキスイ 美草フローリング畳 フィーネ 4枚セット樹脂製畳 縁なし畳 琉球風畳サイズ:約82cm×82cm×厚さ2.5cmアースカラー ラグ 日本製 送料無料 価格:34,560円 |
購入者の声
価格:11,880円 |
こちらの商品は上のyoutube動画で紹介されているセキスイの表を使用した置き畳になります。
洋室にも、和室にもあうデザインが特徴です。
値段はかなり高いですが、おすすめの商品です。
他にも天然のい草で作った置き畳などもあります。
気になる方はこちらをご覧ください↓
▼置き畳について詳しくはコチラ:置き畳のおすすめって何?|置き畳のメリット&デメリットについて紹介
新しい畳のスタイルが和室を変える
これまで新しい畳について紹介してきましたが、これから紹介させていただくのは、従来の畳の固定概念を変えるような商品になります。
モダン乱敷き
畳は基本的に決められた敷き方に沿って敷かせていただきます。
敷き方の意味には「家内安全」や縁起を考えた敷き方になっているのです。
ただ、先述通り、純粋な和室ではなく和風の洋室がほとんどになったのでそういった意味合いの敷き方にこだわらなくてもよくなりました。
これはその1つでモダン乱敷きという施工の仕方です。
畳の敷き方から畳のデザインまでお客様自身がデザインするスタイルになります。
これまでより遥かにオリジナルティ溢れる商品になることは間違いありません。
株式会社草新舎のデザイン畳
ー畳のフェラーリを目指してー
畳は本来長方形のもの。
縁無し畳が出てくるまで、これは当たり前でした。
もちろん昔から三角形・台形などの畳はあったのですが、それらをパズルみたいに組み合わせて敷き込んだのはこれが初めてだと思います。
この施工の最大の特徴は光の反射による美しさを生かしている点にあります。
畳は光の反射によって色が違って見えます。当然ながら皆さまの家に敷いてある畳も縦と横では色が違って見えます。
通常であれば何枚かの色が違うのですが、このデザイン畳はほとんど全ての色が違って見える、見る位置によってまた違って見える光の反射を利用したすごい畳だなと思いました。
日経のインタビュー動画の中で「この畳を一言で言うと何ですか?」の問いに「畳のフェラーリです」と答えていました。
畳業界の跳ね馬は畳の未来をどう変えていくのか!皆さんもチェックしてみて下さい!
光る畳
LEDを内蔵した光る畳 pic.twitter.com/Bnk8TA7kqs
— ミライノシテン-アイディア・デザイン (@mirainoshiten_6) 2016年11月5日
光る畳とセットで欲しい pic.twitter.com/ZzqFjfhou2
— 「よはん」 (@yohan_4jo) 2014年10月9日
皆さんは光る畳をご存知でしょうか?
LEDライトを使い色々な色を出す畳です。
光る畳なんてすごく未来的でカッコいいと思う反面、用途には多少限定的になってしまいます。
一般家庭に普及せずともチームラボや夜の水族館、介護施設など、ビジネスチャンスはありそうです。
これからどう変化していくのか楽しみです。
最後に
いかがだったでしょう。
未来を切り開く新しい畳について知ってもらえましたか?
少しでも知っていただけたら嬉しいです。
私たち畳業を営む同業者同士で畳の未来の話をするといつも悲観的な話しか出てきません。
世間からは廃れゆく産業などと呼ばれているからでしょう。
皆が悲観的になる理由もわかります。
ですが、今回紹介した方達をはじめ、畳業の未来を変えたい!と強く思っている人たちはたくさんいます。
もちろん、私たちも同志です。
私たちが掲げているビジョンこそ「畳の価値観を変える」なのですから!
でも残念なことに畳業を営むもの同士小さな競争で縛られてしまっています。
その人たちの気持ちが競争より共創になった時、畳業界は大きく変化していくものだと思います。
かの坂本龍馬は薩摩と長州をまとめ手を繋ぎ合わせて、倒幕という偉業を成し遂げました。
小さな競争を辞め、大きな目的のために手を携えれば、畳の未来を変えることができるかもしれない。
未熟な私たちですが、坂本龍馬を目指してこれからも一歩づつ進んでいきます。
読んでいただきありがとうございました。