
畳の値段ってピンからキリまであるからどれにすれば良いかわからない!!!そんな声にお答えして、畳の値段について詳しく説明したいと思います。
お伝えする内容としては大きく分けて3つ。
畳の値段がピンからキリまであるのは、畳(い草&和紙&化学表)の種類がたくさんあり、なおかつ施工方法が違うので値段に幅が生まれてしまうのです。
①ではそんな畳の種類と施工方法に関して詳しく説明します。
また、紹介した畳の種類にはそれぞれ良いこと、悪いことがあります。
③は私たちがオススメするベスト3を紹介したいと思います。
見積もり時に「在庫処理したいだけじゃないの」などの疑問が少なからずあると思います。
この記事では一切そのような事とは関係なしにベスト3をお伝えします。
目次
畳の種類&施工方法の違い
ではでは、従来の畳のサービスから紹介したいと思います。まず畳の基本的なサービスは3つとなります。
床ごと全てを新しく変える「新畳」
床はそのままで畳表だけを変える「表替え」
床も畳表もそのままで今使っている畳表を裏に返す「裏返し」
床がわからない人はコチラのYouTube動画をご覧ください。包丁で切っている藁を敷き詰めたものこそ畳の「床」です。
近年では藁床だけでなく木材を細かく砕いて圧縮した「木製ボード」と断熱材「スタイロフォーム」を縫い合わせて作った「スタイロボード2型・3型」や木製ボードのみの1型、藁床とスタイロフォームを合体させた「藁サンドイッチ」などがあります。
新畳について
皆さんが家で歩き回ったり、ジャンプしたり、王貞治氏のように畳の上で素振りしたりすれば、畳表だけでなく畳の「床」も痛んできます。
「表替え」や「裏返し」を注文していただければ基本的には修理してお客様にお届けするのですが、ヘタって修理不可能の場合は「新畳」のご注文をオススメしています。
コチラは参考としての写真です。※これぐらいでもお客様が望むなら表替えする事はありますのであくまでも参考で・・・・
畳表は手入れすればまだ使えそうですが畳の「床」はヘタってボコボコですよね。これは修理してもピシッとした状態には戻せません。
このような場合には「新畳」をオススメします。
表替えと裏返しについて
「表替え」と「裏返し」は基本的に「床」の痛みが少なく畳表が日に焼けて茶色に変色した、またはスレて服などに付着する場合にオススメする施工です。
コチラもあくまで参考までの画像ですが、基本的に茶色になるということは日に焼けてしまいイグサの優れた機能が低下していることを表しています。
▼イグサの機能についてはコチラ:有名ない草の生産地はどこ?|国産い草の機能と現状について解説
せっかく畳(イグサ)は素晴らしい機能を持っているのだからそれを活かさないのはもったいない!!!と私たちは思ってお客様に説明しています。
ただ、裏返しの場合は「新畳」「表替え」の施工をして年数期間が3〜6年くらいを目処にしています。それ以上の年数が経つと裏返しをしてもあまり変わりない畳になってしまいお客様も私たちも満足になったサービスにはなりません。
また陽の当たり具合によって焼ける速さが変わるので、年数もあくまで目安にして下さい。畳屋さんの見積もり完了後に畳表の裏側を見せてもらうのが一番良いと思います。
▼畳替えについてはコチラ:【畳張り替え講座】畳表替えにかかる時間は?|畳替えの時期は今でしょ
イグサの種類について
イグサの種類は大きく分けて3種類になります。
国産い草(主に熊本県、広島県、岡山県、大分県、石川県など)
中国産い草(寧波・上海・蘇州)
四川省のい草
国産い草について
畳に詳しい人はご存知かと思いますが、昔は備後の畳表が有名でした。
その品質は最高峰で「使えば使うほど金色に輝く」と謳われるほど。
しかし、現在は備後でい草を生産する農家さんも少なくなり、ほとんどが受注生産になってしまいました。
その代わりに国産い草の代表地となったのが熊本県八代市です。
国産畳表の生産地で熊本県が約93%も占めるなど、とても高いシェア率をほこっています。
国産い草の特徴として、い草の芯の中にしっかりと繊維が詰まっている分、強くしなやかなで傷つきにくいモノになっています。
また細菌処理や空気調節なども中国産より繊維が詰まっている分、効果大で行ってくれると言われています。
国産い草の香りは言葉では説明できないので(笑)是非、畳屋さんに足を運んでみて下さい。ちなみに「い草」の香りにはリラックス効果があります。
中国産い草について
上記の通り素晴らしい品質の国産い草ですが現状は厳しいものになっています。世の中に出回っている畳表の80%は中国産と言われ席巻している状態です。
品質も以前は酷いもので花がついていたり「赤い焼けた、い草の筋」が入っていたり、色の悪さを隠すため着色していたり、乾燥させる工程で酸っぱい匂いを付着させたりと散々な品物でした。
最近は、改良され見た目から匂いまで良くなったのですが、未だに、い草の中に詰まっている繊維はスカスカとなっています。

北九州市立大学森田研究室
このようなスカスカな状態だと耐久性にも差が出てきます。マンションや寮、アパートなどの入れ替え工事などでは適したい草かと思いますが一般的には向かない商品と考えましょう。
四川のい草について
国産い草の品質に劣るまでも非常に美しい畳表がこの四川い草です。い草自体は国産のイ苗を使い内陸部の綺麗な土地で育てられています。
国産い草に比べ曲げた時に破れやすいなど耐久性と繊維の詰まり具合は劣るまでも中国産い草よりムラがなく綺麗で香りも少し甘い香りがするなど上等な商品と言えます。
国産い草の生産が厳しさを増す中、紹介しにくい商品ではありますが、一応皆様にも知っていただけたらと思います。
▼安い畳と高い畳がどう違うのかはこちら:値段が安い畳と高い畳って何が違うの?|畳の違いを比べてみたよ
縁無し畳と多彩な畳表について
皆さんの畳のイメージは茶色な畳表に縁がついていて、敷き詰められている物だと思います。
ですが、近年畳は色と形と敷き方を変えて新しい畳として商品化されています。
コチラは旅館の写真をフリー画像から持ってきました。
一般家庭に比べて旅館は人の往来が激しいです。
なので自然のい草で編まれた畳表ではすぐに痛んでしまいます。
そこで和紙や化学表で編まれた畳を提供しています。
傷や汚れに強く自然のい草より耐久性は優れていて色も多彩で選ぶ楽しさも良いポイントだと思います。
しかし、自然のい草に比べて値段は高く、リラックス効果を出す匂いもありません。
旅館の画像と同じように縁がついてない正方形な畳ですが、これを縁無し畳もしくわ琉球風畳と言います。
このように和紙や化学表ではなく、自然のい草でも縁無し畳の施工は可能となります。
また敷き方にもこだわりがあり「縦横」の市松敷きで敷く為、光の反射で色が違って見えるのが特徴的です。
い草の織り方も従来の畳の織り方ではないので和室の雰囲気がガラッと変わることと思います。
コチラの画像は宴会場となります。
宴会場となると酔っ払ってお酒をこぼした、醤油をこぼした、ジュースをこぼしたなど汚れるのは当たり前ですよね。
そんな時に効果を発揮するのが和紙、化学表となります。旅館の画像と紹介した内容は一緒なのですが、畳に縁がついてますよね。
縁が付いている場合は縁無し畳より施工が簡単なのでお値段が安くなります。
もし、和食系の飲食店など経営されている人がいらっしゃったらこのような縁付きの和紙・化学表などをオススメしています。
それぞれの畳の値段について
畳のような技術職は料金が不確定なのが一般的です。
理由としてはお客様の家によって畳一枚の寸法が違うので現段階で料金を出すのは難しいというのがあるのですが、ある程度の相場でしたら参考程度になるかなと思います。
新畳の値段
一般的な縁付きの新畳ですと、一番安いので一帖約7000円ぐらい。
材料は「床」がスタイロボード2型で畳表は中国産い草2×2相当の物と思います。
耐久年数は使い方にもよりますが3〜6年くらいかと思います。
主にマンション、アパート、借家、寮のオーナーさん向けの商品です。
材料に国産い草を使い、スタイロボード2型・3型で施工した場合の一般的な畳の値段は一帖1万4000円〜1万8000円ぐらいになります。
なぜこれだけ料金に幅が出るかというと国産い草にも上から下まで何種類もあるからです。
畳一枚に対してい草の詰まり具合が変わると耐久性にも影響してきます。
もちろん、よく詰まっている「い草」ほど耐久力は増します。
それならスタイロボードに分厚い上等ない草の畳表付けたらいいじゃないか!と思ったでしょうが、それはオススメ出来ません。
なぜなら畳の角が出ないからです。
畳はピシッと敷き込んであるから美しいのであって角が丸い畳など綺麗には感じません。
やはりそのような場合は藁サンドイッチ・藁床を選ぶコトをオススメします。
国産い草の上等な品を付けて藁床・藁サンドイッチ床の場合の値段は一帖1万7000円〜5万0000円ぐらいとなります。
この5万円クラスの畳はお茶室や社寺など格式の高い場所に敷くものなので一般的には3万円ぐらいまで十分過ぎる商品です。
次に縁無し畳の新畳の値段を紹介したいと思います。
縁無し畳は一般的に縁付き畳よりは値段が高いです。
それは天然い草を選んでも縁付き畳よりは高くなってしまいます。
理由は施工にあります。
縁付き畳より施工に時間と手間が掛かる、その為少しばかり高くなってしまうのです。
縁無し畳の一般的な値段は半帖約1万円〜1万3000円くらい。
材料はスタイロボードに天然い草(1万円ぐらい)か和紙の表(1万3000円ぐらい、ダイケン清流など)の相当な品になると思います。
※お間違いないように念の為言いますが、コチラは縁無し畳の半帖のおよその値段になります。4帖半の部屋なら半帖が9枚、6帖の部屋なら半帖が12枚となります。
他にもセキスイからでた「アースカラー」という新商品やダイケンの「ちゅら」など少し高価な和紙・化学表もありますが半帖1万3000円にプラス1000円〜3000円ぐらいだと考えてもらったら大丈夫だと思います。
表替えの値段
続いて表替えの一般的な値段を紹介します。
表替えの一番安い値段で一帖約3500円〜4000円くらい。
この材料は中国産い草2×2相当だと思います。コチラも新畳と同じようにマンション、アパート、借家、寮などが対象になります。
材料に国産い草を使った畳の表替えの場合は一帖約1万2000円〜3万円くらいだと思っていただけたら良いと思います。
3万円くらいの商品は新畳でいうところの5万円くらいの畳でお茶室や社寺など格式の高い場所が対象の商品です。
これは新畳にも共通するコトですが、畳表は中国産から国産まで種類(グレード)がたくさんあります。
何を注文すれば良いかわからない!この疑問に答える為には現在使っている畳を見て考えてもらうことが一番良い方法だと思います。
現在お使いの畳を何年使い続けることが出来たのか。
5年?10年?はたまた20年?と使用年数で計算して畳を選ぶと良い買い物になると思います。
次に表替えの縁無し畳の値段を紹介します。
一般的な縁無しの表替えの値段は半帖約8000円〜1万1000円ぐらい。
半帖約8000円ぐらいの縁無し畳の材料は天然い草、半帖約1万1000円ぐらいの材料は和紙(ダイケン清流)相当になります。
新畳の縁無し畳と同様に高価な和紙・化学表は半帖1万3000円にプラス1000円〜3000円ぐらいと考えてもらえれば大丈夫だと思います。
よくある質問で、現在使っている6帖の畳を半分に切って半帖にして縁無し畳で表替え出来ないか?と聞かれるのですが、不可能では無いですが無理です。
私たち職人は、やろうと思えばその様な事も出来ますが、お客様も私たちもお互い満足のいく商品でなければいけないわけです。
「表面上だけ綺麗に見えるからOKでしょ!」そんな仕事をする人は職人ではなく詐欺師です。
長く使ってもらう為にも縁無し畳にする際は新畳での施工でお願い致します。
裏返しの値段
一般的な裏返しの値段は一帖約3500円くらいが相場だと思います。ただし畳屋さんによっては、「畳縁」の別途料金が掛かる事もあるので注意が必要です。
ちなみに最近の畳縁は多彩な種類に溢れ、選ぶだけでも楽しくなる様な畳縁がたくさんあります。よければコチラを参考にして下さい。
▼畳ヘリはこちら:畳のへりはどこで販売してるの?知っておきたい畳縁の役割
ではでは、縁無し畳の裏返しの一般的な値段を紹介します。と言いたいのですが、縁無し畳は裏返し出来ません。理由は単純で縁無し畳は施工で表を曲げてしまっているので裏返しすることが不可能なのです。
筆者オススメのベスト3
これまで一般的な値段を紹介してきました。
しかしながら、安い商品の値段&高い商品の値段を紹介したところで何がお買い得なのかはわかりませんよね。
そこで、畳製作一級技能士の私たちが選ぶお客様がお買い得だと思う商品を紹介したいと思います。
四川省のい草を使った畳表

お客様の声
縁無し畳半帖(ダイケン和紙表:清流)市松敷き

お客様の声
国産い草を使った畳

お客様の声
以上、畳製作一級技能士が教える一般的な相場でした。
最後に
いかがだったでしょう。
少しは参考になりましたか。
最近お客様から「畳ってこんなに高いの???( `ω´)」と怒りの相談をうけました。品質の高い畳を頼めば料金が高くなるのは当たり前ですが、施工内容は中程度なのにボッタクリみたいな値段を提示する業者も残念ながらいます。
畳を安く売るのは企業努力ですが、高くボッタくるのは詐欺です。畳業界全体の信頼を揺るがす様な行為はやめてもらいたいという思いと同時に、残念ながら「そういうクズがいる」とお客様にも知っておいてほしいと思います。
もし「不安だな」とか聞きたいことがありましたらお問い合わせ、twitter、Facebookからでもご相談下さい。ただ返信が遅れることがあります。ご了承下さい。
読んでいただきありがとうございます。