建築現場にカーストはある?
建築業と言うと現場におけるカーストがあるのではないかと、よく言われています。でも、実際のところどうなのか。そこで今回は、建築現場にカーストはある?職人のヒエラルキーについて考えてみました。
建築現場にカーストはあるのか?職人のヒエラルキーとは?について知りたい方の参考になれば幸いです。
建築現場にカーストはある?
建築現場にカーストはあるのか、ないのか。
結論を言ってしまえば、
建築現場にカーストはありません
建築現場でも最下層に位置していそうな畳職人が言っているのだから説得力あるでしょ?
そもそも建築現場では、みんなが協力し合っていて、譲り合って仕事をしています。それは大工さんだろうが、設備だろうが、畳だろうが、何だろうが全てです。
狭い通路に資材を通す時は「どうぞ、どうぞ」と言って譲ったり、「後ろ通ります」と言って作業している場所を通ったり、「私ら先に出るので車を外に出しますわ」と言って駐車スペースを譲ったり、「和室に物を置かせてもらってもいいですか?」「どうぞ、どうぞ」と言ってスペースの確保を手伝ったり、これが日常茶飯事に行われています。
誰が一番身分が高くて、誰が一番身分が低いのか。そんな身分格差みたいなことを現場で感じることは一切ありません。したがって、建築現場にカーストはないと断言できます。
とはいえ、現場監督さんや工務店の社長さんが可哀想だなと不憫に思うことはあります。例えば、雨などの天候によって現場に遅れが生じてしまった時、どうしても現場ではバッティング(畳の仕事で言えば、表具屋さんや洗い屋、塗装屋などといった他業種と、現場でかちあってしまうこと)が起こってしまいます。
こればかりは仕方のないことで、本来であれば譲り合って仕事をするのですが、人によっては怒ってしまう職人さんもいます。だいたいその怒りの矛先は、現場監督さんや工務店の社長さん(大工の親方は例外)など現場を管理して段取りしている方々に向けられ、永遠と怒鳴りつけられています。(怒って帰ってしまう人もいます)
確かに段取りが狂っていると現場が混乱して面倒は面倒ですが、わざとやっているわけではないので可哀想に思えます。カーストではないですが、一番気を使うのは建築現場を管理している方なのではないでしょうか。
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職人のヒエラルキーについて考えてみた
なぜ私たち建築業の職人達にはヒエラルキーがないのか。これは各々の業種を尊敬し合っているからだと思います。
例えば、私たち畳職人は大工さんが作った和室の枠(よせ)の後に寸法を測って畳を製造し敷き込みます。大工さんの腕が悪いと対角に差が生じて畳が歪んだものになります(別にそれでもいいんですけど)。一方、大工さんの腕が良いと対角に差がほとんどなく、完璧な枠になっている為、畳も綺麗な長方形で作ることができます。
だから私たち畳職人は大工さんの腕が良いか悪いかすぐに分かります。腕の悪い大工さんなら未だしも、腕の良い大工さんは本当に尊敬するし、自分の腰が勝手に低くなってしまう。お仕事の邪魔になってはいけないな、面倒をお掛けしてはいけないな、と行動に出てしまうのです。
また、建築現場でのとある話になりますが、「畳の納品を忘れていた」と夜21時頃に現場監督から電話が掛かってきて、私が夜中にひっそりと建築現場に向かった日のことです。もう夜も深かったことから建築現場には私しかいないとばかり思っていたのですが、現場には電気屋さんがいて、色々な器具の取り付けをやっていた。「随分遅い時間まで仕事されているのですね」と私が話しかけると「今日は朝までだよ。」と笑いながら話していました。
その日は、真夏の熱帯夜です。汗ダクダクになりながら仕事をしている姿を見てたら、それは尊敬の念を抱きます。大工さんの時と違って、その職人さんの腕が良いのか悪いのかわかりませんが、夜中にこんなにも汗だくになって一生懸命仕事をしている姿を見たら技術とか技能とか関係なく尊敬します。
それは向こうの電気屋さんも同じだったようで「夜中に重い畳担いで大変だね」と私が仕事をしている間にコーヒーを買ってきてくれました。
その後、その電気屋さんとは飲みに行ったり、遊びに行ったりと全くとしてしないものの、現場で会う度に尊敬の絆を感じます。
建築現場ではこのような出来事が本当によく起こる。何か一緒に仕事をしたとか、一緒に現場を作り上げたとか、色々な業種の職人さんを尊敬するように勝手になってしまう。
だから建築現場でのカーストもないし、職人同士のヒエラルキーもないのだと思います。私目線の記事なので建築現場をちょっと美化しているようにも感じますが、誰に聞いてもそこまで大きな差異はないと思います。
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以上、建築現場にカーストはある?職人のヒエラルキーについて考えてみたでした。
最後に
世の中には「下請け」という言葉があります。これは主に建設業やものづくり産業で使われる言葉ですが、私はこの下請けという言葉があまり好きではありません。
いや、元請けの会社に下請けと言われるのは良いのですが、自分が元請けの場合に、仕事をしてもらう会社に対して下請けという言葉を使うのが嫌いなのです。
だから私は作業をお願いする会社の事は協力会社と呼んでいます。実は建築業の多くは下請けという言葉を使わず、協力会社と呼んでいる方が多いです。
その理由は感謝と尊敬があるからだと思います。感謝と尊敬があるからこそ協力会社と呼ぶのだと私は思っています。
読んでいただきありがとうございました。