・守破離って何?
・職人の勉強って?努力ってなに?
名工と呼ばれる職人には誰でもなれる。たくさん勉強し、たくさん努力し、それを何十年間継続できれば。
これは京都修行時代に、私の尊敬する職人さんが仰っていた言葉です。私はこの言葉を信じて今日も畳を作っています。とはいえ、職人の勉強って、努力ってどうやればいいのかわからない。そういう人も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、職人になる前に知っておくべき考え方を紹介します。職人になりたい!春から職人見習い!丁稚奉公する!そんな方々の参考になれば幸いです。
職人になる前に知っておくべき守破離の考え方
守破離とは、修行における過程(プロセス)を示したもので、守は道を極めた者のやり方、言いつけを守る。破は道を極めた者のやり方を破る。離は道を極めた者から離れ自分のスタイルを見つけることを意味します。
守破離は主に茶道や芸術の世界で推奨されている教えの過程ですが、私は職人の世界にも必要な考え方だと思います。現に私も京都で学んだのですが、守破離の考え方を理解したことで、より早く上達することができました。
とはいえ、職人においての守破離の考え方ってどうすればいいのかわかりませんよね。そこで私の実体験を通して学んだ職人においての守破離の考え方を紹介します。
守の考え方
守はその言葉通り、親方や先輩の職人のやり方を真似して、ひたすら研鑽していく。これが守の考え方です。自分の考えを捨て、とりあえず言うことを聞く。素直な心と謙虚な気持ちで作業にあたるということです。
ただし、守にも気をつけないといけないことがあります。それは親方と先輩の職人たちとの教えの違いです。親方はこう言った、でも先輩はああ言った。そういう教えに違いが生じることは現場ではよくあります。
その場合には、親方が言ったことを優先して守った方がいいです。もちろん。親方が間違えていて、先輩が正しい場合もあるのですが、間違えていると自分で理解しても、とりあえず親方の言うことを聞きましょう。
守の期間は個人差もあるので一概に言えませんが、だいたい1年〜2年程度。早い人だと半年程度かと思います。その間は間違っていると思っても親方、先輩の職人の言うことは守りましょう。
破の考え方
破は親方、先輩の職人だけでなく、色々な方々(異業種の職人やアスリートなど)の意見を取り入れて、どんどん自分の技術を高めていく。これが破の考え方です。新しいことにチャレンジする挑戦心や色々な方法を学びたいと思う好奇心を大切に作業にあたりましょう。
ただ、この過程は親方や先輩の職人と衝突が多い過程になります。今まで言う通りにしていただけあって、違うやり方をやると怒る人もなかにはいます。もしかしたら自分のやり方を理解してもらえないことに悩むかもしれません。
そこで大切になってくるのが素直な心と謙虚な気持ちです。人間は不思議なもので、素直な心と謙虚な気持ちを持って相手と接すれば、余計な衝突を生むことなく、作業にあたることができます。挑戦心や好奇心を大切にしつつ、素直な心と謙虚な気持ちも大事にしましょう。
破の期間も守の期間と同様に人によって変わると思いますが、3年〜5年程度。やる業種によっては10年程度かかる職人業もあるかと思います。この期間は早く終わらせようと考えず、ゆっくりと積み上げていきましょう。
離の考え方
離の考え方は自分のスタイルを確立させていくこと。これこそが職人の学びの終わりであり、始まりでもあります。
守、破までは誰かのやり方を真似して、努力してきました。こんな言い方をすると語弊もありますが、人のやり方を真似すること、人に言われてやることってそこまで難しいことではありません。誰にでもできることです。
離は違います。自分自身が新しい技術を考え、身につけ、作り上げていく。そこには弛まぬ努力が必要になります。努力とはすなわち微調整の反復作業。わずかな違いを改善し続ける根気と熱意が必要になります。
守、破までは職人の誰もが到達できる教育プロセスですが、離には辿り着くことができずに、多くの職人が諦めてしまう。そして離に辿り着いた者も、終わりのない迷宮で技術を求め、一生かけて彷徨い続けなけらばならない。まさに離でありながら、職人にとっての理(り、ことわり)なのです。
したがって、離の期間はありません。一生学びです。迷いながら戸惑いながら諦めず頑張っていきましょう。
以上、これが私が思う職人における守破離の考え方でした。職人について興味がある方は関連記事もぜひお読みください。
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最後に
たくさん勉強し、たくさん努力する。言葉にすると軽いし、誰でも出来る気がします。でも、それを継続することは、ほとんどの人ができません。
もしかしたら勉強や努力を継続すること、これこそが最強に難しい難題なのかもしれません。私もまだ道半ばです。これを見ている人と一緒にこれからも勉強と努力していければいいなと思います。
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