【畳張り替え講座】表替えとは?|畳の張り替え工事について紹介

 

こんにちは! 畳職人の樋口です!

 

猫が畳の上でガリガリする:(;゙゚'ω゚'):

 

犬が畳の上でオシッコした:(;゙゚'ω゚'):

 

畳張り替えたいんだけど!

 

とはいえ、畳の張り替えって正直めんどくさそう〜とか、どこに頼んで良いかわからないとかよく聞きます(ㆀ˘・з・˘)ショボーん

 

そんなわけで、今回の記事は畳の張り替えについて一連の流れの説明と畳の張り替えに関して注意してもらいたいことなどを紹介します。

 

この記事でわかること
・畳の張り替えってなに?
・畳の表替えってなに?
・表替え工事の一連の流れ
・表替えするにあたって注意すること

畳の張り替えってめんどくさい?

 

 

 

畳の張り替えってめんどくさそうと寄せられた、ありがたい?(笑)意見の中で最も多かったのを紹介します。

 

和室にはタンスがあって、物置部屋みたいに物がゴチャゴチャしてるの。それ全部片付けないと畳張り替えてくれないでしょう。
いいえ。片付けなくて結構です。畳屋がやります!

近年では多くの畳屋さんが無料サービスで動かしてくれます。また、一部の畳屋さんでは廃棄処分(一般廃棄物処理業)ゴミ処理をしてくれる畳屋さんまであります。

 

 

畳張り替えたらホコリがでるから掃除しなきゃいけないでしょ
いいえ。掃除しなくて結構です。畳屋がやります!

多くの畳屋さんでホコリを取ってくれたり掃除機をかけてくれたり無料でサービスしてくれます。ただ、洗い屋さんのような専門業者ではないのであれほどのクオリティーを求められても困ってしまいます。もしピカピカにしたいのであれば、洗い屋さんにお願いしましょう。畳屋はだいたい洗い屋さんと仲が良いので言ってくれれば紹介してくれると思いますよ。

 

 

畳替えの時期っていつ頃がいいの?
期間は中国産い草の低価格品で3〜6年くらい。国産い草の上物で10年〜13年くらい。オススメの季節は新しいい草が入荷する11月から半年後の5月。オススメしない季節は梅雨の時期。

畳替えの期間は一概に言えません。使い方によってはもっと早く交換した方が良い場合もありますし、まだ交換しなくても良い場合もあります。ペットを買ってらしたり、子供がいる場合は結構な頻度で痛んでいるケースがあるので畳屋に聞いてみてください。季節に関して11月に新しいい草(新グサ)が入荷します。ですが、新しいい草(新グサ)は何かと使いにくい。焼けやすかったり、カビが生えやすかったりします。なので半年ほど寝かせた5月頃に畳替えをすると良いでしょう。逆にオススメしない季節は梅雨の時期になります。その時期は湿気が溜まっていますのでオススメできません。出来れば梅雨が終わってからの畳替えが良いでしょう。

 

 

▼い草についてはこちら有名ない草の生産地はどこ?|国産い草の機能と現状について解説

 

ただ、職人の世界は古い世界ですからサービス悪いところも未だに存在するんですよね。

 

俺たちは畳屋じゃ

畳しかやらんのや!

 

みたいな人達。。。。

 

なので念のため、畳工事をする前に聞いておくことをオススメします。

 

でも多くの畳屋はそうじゃないっていうのを知ってもらいたいし、少なくても私が知ってる畳屋は素晴らしい仕事・サービスをしてくれます。

 

もし不安であればご紹介することも可能なのでコメント欄にご記入ください。あ、地域はどちらでも構いませんよ。

 

畳の張り替えって何?

 

ではでは、畳の張り替えについて説明していきたいと思います。

 

畳の張り替えについて詳しくやるとそれだけで超長文になってしまうので、ここでは畳の張り替えについて大事なことだけを取り上げておきたいと思います。

 

畳の張り替えと呼ばれる施工には大きく分けて3通りの施工方法があります。

 

畳の床ごと全てを変える【新畳】

畳表だけを変える【表替え】

今使っている畳表を裏に返して新しい畳縁を付ける【裏返し】

 

【表替え】と【裏返し】は工事の流れが同じなのでまず【新畳】の工事の流れから書いていこうと思います。

新畳の工事の流れ

新畳の工事の最初は寸法取りから始まります。

 

畳は一枚一枚寸法が違う物なので、お客様の家にお邪魔して正確に寸法を測らなくてはいけません。

 

基本的に見積もりとセットで行われることが多いので、ほとんどの畳屋は寸法道具を常備して行きます。

 

もしかしたら寸法を取る際に家具や小物を動かして採寸する場合があるので、貴重品などは安全な場所に置いてください。

 

次に取った寸法を工場に持って帰り、製造に移ります。

 

製造過程はお店によっても(手法が違う)、商品の種類によっても違いますが、今回は私が実際に製作した畳の製造過程を見ていただこうと思います。

 

 

畳が出来上がったらお客様の都合の良い日、時間に合わせて納品を行います。

 

お客様が使っていた畳を引き上げて掃除し、新しい畳、新畳を納品します。

 

納品にかかる時間は、畳の枚数、荷物の数によって時間は違いますが6帖であれば20分〜1時間あれば終わると思います。

 

今まで使っていた古い畳は畳屋に言って処分してもらいましょう。

 

たまにお客様自身で古畳を処分される方がいらっしゃいますが、正直、畳屋に処分させた方が得です!

 

畳屋は業者なので捨てられる量が一般の方より多いですし、細かく切って捨てるため、余分はゴミ箱に入れます。

 

お客様が捨てるより断然安いと思いますよ。畳を捨てに行く時間ももったいないですしね。

 

以上で新畳の工事は終了です

 

ね!簡単だったでしょう!(笑)工事が終わった後に皆様言ってくれるんです。もう終わったの?って(笑)

 

日数は表替えや裏返しに比べて、沢山かかりますが、出来上がったらあっという間に終わります。

 

施工自体は畳屋の腕の見せ所と言いますか、頑張らなくてはいけないんですがね(笑)

表替えと裏返しの工事の流れ

 

それでは、表替え、裏返しの工事の流れについて説明していきたいと思います。

 

表替えも裏返しも基本的にはその日仕事と言って一日で終わらせるのを基本にしてます。

 

何日間も家に出入りされたら迷惑ですよね。

 

それに和室でお休みになるお客様もいらっしゃいます。

 

早い事終わらせてお客様の大事なプライベートルームを戻して差し上げなくてはいけません。

 

畳の引き上げの日程は見積もり段階で決めることと思います。

 

お客様の都合の良い日を選んでいただき、それに合わせて畳屋は日程を組み、当日の朝、畳の引き上げに向かいます。

 

引き上げの手順はお店によって違うので一概に言えないのですが、畳を引き上げたら掃除をし、何時に完了し納品に来るのかをお客様に伝達します。

 

ただ、その日に急に違う仕事が入り急務であると、どうしても遅くなってしまうことがあります。

 

その際にはお客様に一報、お知らせすると思いますが、ご了承頂けたらと思います。

 

 

畳を引き上げたら車に畳をのせ、工場に持って帰り、畳の張り替え作業に入るわけです。

 

よく寄せられる質問で、部屋の除湿はどうしたいい?と聞かれるのですが、一番は除湿器を使うことをオススメします。

 

近年、畳屋さんがサービスで貸し出してるお店もあるみたいですよ。

 

除湿器が無い、もしくは二階以上で除湿するほど湿気っていない場合は窓を開けて換気だけしといてもらうと良いでしょう。

 

湿気はノミやダニ、カビの元凶で畳の1番の敵!!!で注意しなければいけません。

 

特に梅雨の時期などはずっと窓を閉めっぱなしですよね。

 

知らない間に湿気は溜まっていきます。

 

最近はホームセンターなどに様々な便利グッズがありますが、それだけで安心せずに、よく晴れた日には窓を開けていただき換気をしていただくことをオススメします。

 

ほんとは昔の衛生掃除みたいに畳を外に干したりした方が良いのですが・・・・

それでも日々のメンテナンスは行いましょう。

 

不明な白い粉

 

マンションや古民家なんかで畳を引き上げた後によく見られる白い粉( ゚д゚)

 

これは大半がDDTまたは石灰の粉です。

 

DDTはかなり昔に防虫効果を期待して撒いたものなのですが、最近は国際がん研究機関発がん性評価ではグループ2Bの人に対して発がん性が有るかもしれない物質に分類されています。

 

とはいえ、世の中に在るもので発ガン性の物質のものは多くありますが・・・

 

もし撒いてあったら念のためにマスク着用をして窓・ドアを閉め掃除機をかけた方が良いと思います。

 

※DDTは明治・大正・昭和時代に建てられた古民家などに撒かれていることがある

 

石灰の粉は防虫効果があると言われていますが、洲本製紙が提供してる、畳屋業務用の防虫シートの方が断然効きます!ので畳屋さんにお問い合わせください。

 

古民家は少し注意が必要かもしれませんね。

畳の施工について

 

お客様から預かった大事な畳がどう施工せれるのかについて簡単に説明したいと思います。

 

ただ、技術を言葉で語るのって非常に難しいんです。全部体が覚えてしまってることですから。

 

説明不足と思った方は畳屋の前を通った時にのぞいて見てください(笑)

 

畳が工場に運ばれてくると畳は台に積まれてキレイに解体されます。

 

それから畳の床が傷んでいるところを補修工事したり、寄席の隙間が空いていたところは丈・巾を出したりした後で畳表を張り縫い合わせます。

 

 

上のYouTube動画は工程の1つ『からくり(かがり)』という作業です。

 

畳表の端は取れやすいもので時間が経てば緩んできてしまいます。

 

そこで麻糸を使いしっかりと端止めをします。

 

これは主に湿気の多い地域で行われる作業で床の裏に畳表を曲げられない(曲げてしまうとカビで裏返しができない)ところで使われます。

 

特に京都は盆地なので湿気が溜まりやすく日常的にこの作業を行なっていました。

 

 

次に畳表を張り付けていきます。

 

藺草の筋が曲がらないように真っ直ぐに畳表を引っ張っていきます。

 

次に畳表を縫い付けていきます。

 

しっかりと糸を引っ張る事で長持ちする良い畳を作ることができます。

 

ここまでの工程を『前立て』というのですが、表替えはここまでがとても大事でお客様の満足のいくような畳を作れるかは前立てで決まります。

 

 

これは平刺し縫いという作業です。畳屋さんと言えばこうだよね!とよく言われる通り、肘で糸を締めていきます。

 

 

 

平刺し縫いが終わったら畳縁を畳んで隅を整えて縫っていきます。

 

 

最後に返し縫いで畳縁を縫い付けて完成です。

 

では、ここで畳の縁について説明したいと思います。

数十年前の畳縁というと単色の黒、茶が主流でした。今は数百種類の畳縁が存在するため選ぶだけでも迷ってしまうと思います。

 

▼人気おすすめの畳縁はこちら:人気おすすめの畳ヘリは?|和室の雰囲気を変えるおしゃれな畳ヘリ 

 

▼畳縁の柄には意味がある:畳縁の模様デザインには意味がある?幸運を呼び寄せる畳ヘリの柄

 

もちろんお好きな色を選んでいただければ良いのですが、ひとつポイントとして高い値段の畳縁だから強度がある&高い値段の縁だから汚れに強いわけではありません!!!

 

最高級麻縁は別として、綿糸で織った畳縁とかすごい綺麗ですけど頻繁に使う部屋の畳には向いてないです。

 

商品名を名指しで言えないですが、めちゃくちゃ色が綺麗な高価な畳縁なのに、シミができやすいとか汚れやすいとか、日焼けしやすいとかあります。

 

そういうのを畳屋は全部知ってますが・・・・

この畳縁、綺麗!これにする!

これ耐久性ちょっと弱いですよ!

えっ?

なんか嫌な気持ちになりますよね。。なのでお客様の感性で選んだものをケチつけることはしません。

 

もし心配であればお客様の方から耐久性について畳屋にご質問ください。

 

※ただ全ての畳縁はJIS規格より許可された縁ですので普通のより少し耐久性が弱いというだけで、不良品なワケではありません。

 

▼畳ヘリに関してはこちら:畳のへりはどこで販売してるの?知っておきたい畳縁の役割

 

ざっと簡単に工場の中の工程を説明しましたが、もっと細かく工程がありお客様から預かった畳を施工しています。

夕方に納品

 

 

それでは!!!キレイになった畳をお部屋に敷きこんでいきます!!!

茶色かった畳が青緑の綺麗な色の畳(裏返しは薄い金色)に変わります\\\\٩( 'ω' )و ////

 

敷き込みが完了したら納品完了なのですが、最後に知っておいて欲しいことがあります。

畳には染土という自然の土を配合して作った粉が塗ってあります。雑巾で新品の畳を拭くと緑色が付着します。これが染土なのですが、なにも嫌がらせで付いている訳ではなく、染土は日焼け止めのためにつけているんです。

 

もちろん完璧に取ってしまってもいいんですが、よく陽が当たるところで使わない(踏まない)ところなんかは取らないでそのままにしとくほうがいいと思います。

 

畳屋さんの善意で完璧キレイに拭き取ってくれるところもあるようなので朝の段階で聞いてみるといいと思います。

 

 

もう一つ繰り返しになりますが、換気はよくしてください!!!

 

新品の畳は湿気をよく吸います。天然のい草の良い香り、色を長く保つ為には晴れた日には窓を開けていただき、雨の日には閉じてもらう。

 

特に納品して最初の10日ぐらいは意識して換気していただくことをお願いします。日頃のメンテナンスが畳を長持ちさせる秘訣です。

 

▼カビについてはこちら:畳にカビが生えたらどうすればいいの?|和室のカビ予防と対策を紹介

 

▼ダニについてはこちら:畳のダニ駆除はどうしたらいい?|畳にダニが湧いた時の対処法

最後に

いかがだったでしょう。

少しでも皆様の疑問を解決することに繋がったのであれば幸いです。

 

最後に畳職人の気持ちみたいなものを書こうと思います。

私は畳を作る時、お客様に対していろんな想いを込めて施工しています。畳って、それほど頻繁に張り替えしないじゃないですか。だから、少しでも長く使っていただけるように修理の方に時間かけて行なっています。

 

畳の修理って目に見えるものではありません。畳を踏んでもどうでしょう。

ここ修理したんですよ!

覚えてないです(笑)』ってなりそうです(笑)。お客様には伝わりにくい事かもしれません

 

目に見えない、言葉でうまく伝えられない、でもそこに手間をかけるのが職人なのかなと思います。

 

読んでいただきありがとうございました。

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