皆さん、こんにちは!樋口畳商店の樋口です。いつもブログをご覧いただきありがとうございます。
おかげさまでブログの記事数も500記事を達成することができました。いやぁー長かった。100記事くらいで挫折するかと思ってましたが、まさか畳のブログでこんな沢山の記事数を書けるとは。
本当に読者の皆様のおかげです。ありがとうございます。
500記事を超えたということで月間PV数も上々。アクセス数を気にしない記事がようやく書けるようになるなと嬉しく思います(笑)
そこで、ちょっと京都修行時代の思い出話を書きたいなと思っています。
私のプロフィール記事を読んでくださった方はご存知だと思いますが、私は高校卒業後京都に修行に行きました(京都では丁稚奉公という言い方でした)。
▼プロフィール記事:樋口裕介って誰?畳職人の自己紹介プロフィール【Yuusuke Higuti】
そこでの六年間の体験は本当に色々なことがありました。独り言的な内容にはなるのですが、ぜひ皆様にも知っていただけたらと思います。
【京都修行時代の思い出⓵】初日
東京駅、新幹線を待つ間は不安な気持ちが強かった。友達も知り合いもいない街で、一人生活しなきゃいけない。ましてや畳のタの字も知らない自分が、本当に畳を作れるようになるのだろうか。
何も考えず「畳修行?いいね!そんなら京都行くわ!」って感じだったから、ようやく現実を実感した瞬間だった。それが京都に修行いく初日なんだから今思えば若いなって思う(笑)
東京から京都は2時間20分くらいで着く。2名掛けの窓際席に座り、ちょっと外眺めながら音楽を聴いて、くだらない恋愛小説読んで過ごした。リラックスできたのか京都駅に着くと不思議と覚悟が決まった。というか、不安な気持ちより頑張ろう!の気持ちの方が強くなった。
先輩が待つ桂川駅への足取りも軽い。スーツケースひとつ押しながら先輩を探した。もちろん先輩がどんな人かも知らない。できれば向こうから声かけてほしいなって思いながらキョロキョロ歩き回った。
すると、ガタイの良いお兄ちゃんが二人話しかけてきた。それが沢辺畳店の先輩にあたる藤本さんと成田さんだった。お店に向かうまでの移動の時間、自己紹介とか色々な話をしたのだが、早速驚く事を言われた。
「今日の夜、合コンあるから」
え?まじか・・・。と思いました。修行とか丁稚奉公とかのイメージって夜は22時消灯、寝るまでの時間は畳作りの練習!!!みたいなのを想像してた。
それが夜は合コンって(笑)
しかもメンバーは知らない畳職人の先輩たち(他の畳店で丁稚奉公している先輩たち)。女性だけじゃなくて男性にも緊張するじゃねーかって(笑)
波乱の幕開けだと思った。
畳の解体とからくり(かがり)
初日に教えてもらったことはふたつ。
ひとつは畳の解体作業です。
畳の解体とは畳を表替えする際に必要な作業で、古い畳表(古い畳縁)と畳床を縫い合わせている糸を切って分離させる作業のことを言います。
これは包丁で糸を切るだけの作業ですから初心者にもできる簡単な作業です。とはいえ、実はこの畳の解体作業は初心者にとって大切な作業でもあります。
畳を早く綺麗に作るためには畳の構造を理解していなければなりません。藁床には藁床の構造、藁サンド(藁とフォームをサンドした床)には藁サンドの構造、建材床には建材床の構造、もっと言えば畳の厚みや藁床を作る職人によっても構造が異なります。
ということは、それぞれの構造にマッチした運針技術や糸の締り具合が必要になるわけです。畳の解体作業は、ただ畳を解体するだけでなく、畳の構造を把握するために確認する作業でもあります。
初心者には全てを把握するのは難しいですが、解体作業を積み重ね少しずつ覚えていくといった感じです。
もうひとつはからくりという作業です。
別名「畳表の端止め」「かがり」とも言います。
畳表は縦糸(麻糸や綿糸)にい草を編み込んで作られています。畳は一枚一枚大きさが違うわけですから、畳表も畳の大きさに合わせて切らなければなりません。
畳表を切るということは縦糸を切断することですから、もちろん編み込んだい草が解けてきます。それを解けないよう麻糸でからくって止めるのがからくり作業です。
この技術は主に湿気が多い京都で使われる技術で、詳細は省きますが環境に適した畳を作る為の技術だと思っていただけたら幸いです。
私も初日はからくりばかりをやっていました。初めは京間サイズの畳表をからくるのに10分以上かかってしまい、全然仕事にならんわ!と笑われたのを今でも覚えています(笑)
ちなみに、今では1分48秒で京間サイズの畳表をからくれるようになりました(笑)時間が経てば上達するものですね。
では、今回はここまで。読んでいただきありがとうございました。
次回は『初めての畳製作』です。次の記事も宜しくお願いします。